航空用ジェットエンジンを搭載したソ連の狂気的高速列車! ジョークのような圧倒的なヴィジュアル

2023年2月13日(月)11時0分 tocana

 日本の新幹線やフランスのTGVなど、世界中で運用されている高速鉄道。近い将来にはリニアモーターカーを導入して、更なる高速化が見込まれている。


 かつても激しい開発競争が行われ、スピードを増すためにさまざまな方法がとられていた。たとえば、旧ソビエト連邦は冷戦時代にアメリカの鉄道に対抗するため、ジェットエンジンを積んだ時速220キロの列車の設計を試みた。


 このプロジェクトは「高速走行実験鉄道車両」と呼ばれ、エンジニアが列車速度の新記録を樹立するために行ったもので、1970年には航空機Yak-40に使用されているAI-25エンジンを2基搭載した車両を開発した。これはアメリカのニューヨーク・セントラル鉄道のジェット機関車であるM-497(コードネーム「ブラックビートル」)に対抗したもの。M-497はアメリカは時速184kmを記録していたが、ソ連側は「もし線路が耐えられるなら、時速220kmを出すことができた」と語っていたそう。


 ソ連の高速走行実験鉄道車両はKalininsky Carriage Worksによって1960年代に設計され、1970年10月に正式に発表された。車両の特徴的なノーズコーンやテールコーンは速度を出すために搭載された飛行機のエンジン……と誤解されがちだが、実際は空気抵抗に対抗するために欠かせない部品であった。「The Eurasian Times」によると、スピードワゴンは実際にソ連鉄道の一部の一般区間を走ったそうだが、最終的にはガソリンエンジンの価格が高く、余裕を持って走らせることができないと判断されてしまったようだ。結局、計画は成功したものの、1975年に中止された。


 ちなみにこの車両は風洞実験(人工的に小規模な流れを発生させ、実際の流れ場を再現・観測する実験)が行われたこともあって、15台の模型が作られたといわれている。しかし、現在それらはほとんど残っていないそう。昔はサンクトペテルブルクのスクラップ置き場に錆びた状態で1両が残されていたそうだが、2008年にモスクワの北西に位置し、ヴォルガ川とトヴェルツァ川の合流点にある都市トヴェルの工場の前に、ペンキを塗り直した状態で展示され、現在に至っている。


 ところで、ソ連にとってこうした「ターボジェット・トレイン」の開発は高速走行実験鉄道車両が初めてではなかった。1920年代にも航空用エンジンとプロペラを搭載された「アエロワゴン」が開発されている。この車両は時速140kmを記録したが、脱線事故で7人の犠牲者を出した。


 ちなみに2023年2月現在、世界一速い磁気浮上式鉄道としてギネス世界記録に登録されているのは、日本の「L0系(エルゼロけい)」。2015年に測定された最高時速は驚異の603km。技術の進歩とは恐ろしいものだ。


参考:「Daily Star」「The Eurasian Times」「Fastest maglev train(ギネス世界記録)」ほか


【本記事は「ミステリーニュースステーション・ATLAS(アトラス)」からの提供です】



tocana

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