娘の大学寮で父親が始めた「邪悪なセックス・カルト」 エリート女子大生を洗脳し、性的人身売買…

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　1月20日、自身の娘の大学の宿舎で性的人身売買を行っていたとして、ラリー・レイ（63）に60年の懲役刑が言い渡された。これには恐喝、性的人身売買、強制労働などの15の罪が含まれている。

　父親が娘の大学寮で人身売買を行っているという前代未聞の事件は、米「New York Magazine」の2019年の特集で明らかになった。その後、事件を重く見たアメリカ連邦捜査局（FBI）が動き、2020年2月にラリーは逮捕された。

　この奇妙な話の始まりは2010年に遡る。

　当時、犯罪組織絡みの証券詐欺で服役し、出所したばかりだったラリーは、娘が通う名門私立大学サラ・ローレンス大学の学生寮に転がり込む。そこで、彼はタリアを含んだ、サントス・ロサリオ、ダニエル・レヴィン、イザベラ・ポロック、クラウディア・ドーリーらと生活することになるのだが、そこで彼は父親のようにふるまい、学生らを家族から隔離する「セラピー」を行ったという。それはセラピーとは名ばかりの恐怖による支配と洗脳であり、体を切断するなどと脅し、被害者が犯してもいない犯罪について、それぞれ偽の自白を強要させた。

　被害者の一人はこう話している。

「彼はみんなの子供時代を書き換えて、私にいろんな恐ろしいことが起こったと言ったんです。彼は私に、私の父が私に売春をさせたとか、私が父から性的虐待を受けたと言わせました。事実とは異なる恐ろしいことばかりでした。」

　検察側は、「（ラリーは）被害者に自分は価値がなく、愛に値せず、救いようがないと信じ込ませようとした」「被害者を脅して、自分の気持ち悪いライフスタイルを続けさせた」と指摘。

　彼による暴力、心理的虐待、悲惨な脅迫などにより、少なくとも5人の女子学生が、ラリーに日本円で約1350万円を奪われたという。

「news.com.au」の報道によると、ある若い女性はラリーへの借金の返済を性行為でするよう強要されたと言われている。また彼の下で人身売買させられた別の女性、クラウディア・ドーリーは、「彼の悪は私たちを枯れさせた。完全に伝えることができない方法で、深く侵害されたと感じています」と話している。

　ラリーはアメリカ中央情報局（CIA）への勤務経験があり、コソボでの停戦を仲介したチームの中心人物であったと主張し、その時の感謝状を見せびらかすことがあったという。また、米露の政府要人と親しい仲だと風潮していたが、そのような証拠はなく、感謝状も少しでも停戦に関与した者なら誰でも受け取った簡単なものだという。唯一確実なのは、彼が過去に19日間アメリカ空軍に所属していたことがあるということだけだ。

　タリアの母テレサとの離婚後、子どもの親権に関する契約違反、保釈金の飛び出し、法廷侮辱罪など数々の違反や罪を犯してきたラリーだが、それは彼を潰そうとする国家的陰謀だと信じ込んでいたという。

　ルイス・J・ライマン判事はラリーを「邪悪」と評し、残りの人生を獄中で過ごすよう言い渡した。

　ところで、娘のタリアは事件に関わっていたのだろうか？　この点については判然としないことが多い。ラリーが大学寮に住めるようアレンジしたのはタリアだと言われており、ラリーが女子生徒にカルト教団的洗脳を施していたということも把握していたという証言もあるが、事件にどれほど深く関わっていたかはわかっていない。少なくともわかっているのは、ラリーが逮捕された時、タリアはノースカロライナ州ダーラムでパラリーガルとして働いていたということと、今日まで罪に問われていないということだ。

　ただ、「The Cut」によると、タリアはしばしば父親を知恵の神とみなしており、ラリーが刑務所に入る前、彼が「虐待する母親」から自分を守ってくれていると信じていたという。彼女は母親から自分を引き離そうとした彼の努力を「英雄的」と呼び、当時の彼の投獄は不当であり、「根深い政府の腐敗」の結果であると主張していたそうだ。出所後に父親を大学寮に住めるよう手配したのは、タリアの父親への愛情からだったのだろう。

　後にラリーの愛人となったイザベラ・ポロックは、性売買の共謀の罪で起訴されている。2022年9月にマネーロンダリングの共謀罪1件を認め、最高で5年の禁固刑に処せられる可能性がある。

　この事件の詳細はHuluのドキュメンタリーシリーズ「失われた青春：洗脳されたエリート学生たち（原題：Stolen Youth: Inside the Cult at Sarah Lawrence）」で観ることができる。

参考：「Daily Star」「Ready Stead Cut」「Entrepeneur」「The Cut」ほか