禁煙や食事制限など「しない習慣」を成功させるコツとは。まずは「すごく目標を下げる」ことから始めてみる
2025年2月21日(金)12時30分 婦人公論.jp
(写真提供:Photo AC)
勉強やダイエット、筋トレなど、習慣にしたいことがあるのについダラダラしてしまうという方もいるのではないでしょうか。bondavi株式会社代表取締役・戸田大介さんによると、自身が開発した習慣化アプリ「継続する技術」で得た客観的な事実をもとに考案した「習慣三原則」を守った人は、30日間の継続成功率が8.23倍になったという結果が出たそうです。そこで今回は、戸田さんの著書『200万人の「挫折」と「成功」のデータからわかった 継続する技術』から、いつも三日坊主で終わってしまう社会人3年目の若者・高橋くんと、習慣化について研究してきた習慣博士のストーリー形式でお届けします。
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**しない習慣
原則1 すごく目標を下げる
「まず原則1。大事なのはあくまで『すごく目標を下げる』という原則なんだ。いきなり完全に禁煙とかはできないから」
「あ、なるほど。禁煙っていうとある日を境に『今日から1本も吸わないぜ』って思っちゃいますけど、たしかに無理がありますもんね」
そこで高橋くんは一瞬考え、言いました。
「そうすると、『1日1本だけ減らす』とかがいいんですか?」
「それも悪くはないんだけど、『しない』目標にはちょっとした技があってね。何かを『する』に置き換えるといいんだ」
そう言って博士は、いくつか例を示しました。
**しない目標の例
● おかしを食べない … 少しずつ小皿に分けて食べる
● おかしを食べない … ヘルシーなおかしにする
● 糖質制限 …………… 食前に水を飲む(この効果を示す研究もあるらしい)
● 禁酒 ………………… 小さいグラスで飲む
● 禁煙 ………………… ガムを噛む
1日単位の結果に一喜一憂しない
博士は解説を続けます。
「『1本減らす』とかだと、一日中誘惑に耐え続けないと達成できないでしょ? でも吸いたくなったときに『ガムを噛む』だったら、それをやった瞬間に達成だから、ストレスが小さくて続けやすいんだよね」
「おお、たしかにそれなら続きそうです」
「もちろん『ガムを噛んだのに本数が減らない』みたいな日もあるけど、それでも平均的には減っていくから、1日単位の結果に一喜一憂せず『ガムを噛んだ! よし』と思うといいよ」
「それは寛容でナイスな考えですね」
実施者に努力を求めないその考えを、高橋くんは歓迎しました。
動けるときに思い出す
原則2 動けるときに思い出す
「たとえば惰性でおかしを食べすぎないよう『小皿に分けて食べる』のならば、おかしを食べる前の時間にリマインドする。そうすればおいしく食べる最初の数口は減らさず、惰性でほとんど無意識に口に運ぶのを防げる」
(写真提供:Photo AC)
博士は惰性でほとんど無意識にチョコレートを口に運びながら、例を挙げました。
**しないタイミングの例
● 小皿に分けて食べる …………… おかしを食べはじめる午後の仕事前
● ヘルシーなおかしにする ……… コンビニに行く前
● 食前に水を飲む ………………… お昼ごはんの前
● お酒は小さいグラスで飲む …… 夕飯の前
● タバコの代わりにガムを噛む … 惰性で吸っている午後の休憩前
例外を設けない
原則3 例外を設けない
「何かをやめる場合に例外をつくらないのは大事だよ」
博士の手は単純作業をくり返すマシーンのように、チョコレートと博士の口を往復しています。
「でもダイエットで『今日はいくらでも食べていい』みたいな日があるといいって聞いたことがあるんですけど、それってどうなんですか?」
「ああ、それはそもそもの方針が全然違うんだよね。それは前提として、日々ストレスの大きいダイエットをしているんだ。だから、たまにストレスを解消しないと続かないっていう考えなんだよね」
「なるほど。考え方が全然違いますね」
「うん。習慣三原則は、そもそもストレスのすごく小さい目標を定着させていく考えだから。これだとリバウンドもしないから、定着したら他の習慣もつくれるし」
そう言って博士は、最後の1粒のチョコレートを迷うことなく食べました。
POINT
■1 一気にやめず、「代わりに何かする」など無理なく続く目標にする
■2 やめるための行動を起こしやすいタイミングで思い出す
■3 例外を設けずに、毎日少しずつ定着させる
※本稿は、『200万人の「挫折」と「成功」のデータからわかった 継続する技術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
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