もう「マルちゃん焼そば」に戻れないかも…埼玉『岡本製麺』の「鉄板 焼そば麺」が旨すぎた!
2024年2月22日(木)10時50分 食楽web
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●自宅で作る美味しい焼きそばと言えば「マルちゃん焼きそば」。しかし、埼玉県深谷市で「マルちゃん焼きそば」を凌駕する焼きそば麺を発見。その味わいとは?
市販の焼きそば麺といえば、全国で圧倒的シェアを誇る「マルちゃん焼そば」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。あの慣れ親しんだ味、実に美味しいものですが、しかしこの王道の焼きそば麺を凌駕すると噂の焼きそば麺を埼玉県深谷市で発見しました!
その名も「鉄板焼そば」(※写真には『板鉄』とありますが、これはレトロ風なデザインによるもの)。「鉄板焼そば」は、埼玉県深谷市にある1950年創業の『岡本製麺』が作る焼きそば麺。『岡本製麺』は70年以上地元で絶大な支持を受ける製麺所で、太さや食感など顧客のニーズに寄り添ったさまざまな麺を取り扱うメーカーです。
今回は、「『マルちゃん焼そば』を凌駕する」と噂のこの「鉄板焼そば」と「マルちゃん焼そば」を実際に調理し食べ比べ。その違いに迫ります。
「この麺じゃなければ」という深谷市内外の厚い支持
(左)『岡本製麺』の「鉄板焼そば」。(右)お馴染み「マルちゃん焼そば」
「鉄板焼そば」のパッケージは、古き良き味わいを連想させるデザインで、これだけを見れば「『マルちゃん焼きそば』を凌駕する」とはイメージできません。しかし、埼玉県深谷市では「この麺じゃなければいけない!」という飲食店からの絶大な支持があり、そして地元の学校給食などでも「鉄板焼そば」が採用されていると言います。
『岡本製麺』のイメージキャラクター「オカチャン」が目印
また、この「鉄板焼そば」の味を知った遠方の飲食店からのオーダーもあり、一般に広く知られているわけではないですが、「一度この味を知るともう他のやきそば麺では満足できなくなる」とも言われているようです。
(左)「鉄板焼そば」と(右)「マルちゃん焼そば」の麺。「鉄板焼そば」は太麺で色が濃く見えます
何がどう違うのか? 「鉄板焼そば」と「マルちゃん焼そば」の麺をパッケージから取り出し比べてみると、見た目の印象もまるで違うことがわかります。白っぽい細麺の「マルちゃん焼そば」に対し、「鉄板焼そば」は太麺タイプ。いかにもコシが強そうな印象で、調理前からテンションが上がる筆者。
火が入ると立ち上がる豊かな小麦感と強いコシ
「鉄板焼そば」を炒めたところ
さっそく調理していくことに。やきそばの作り方自体は「鉄板焼そば」も「マルちゃん焼そば」もそう変わりはなく、最初にフライパンや中華鍋をしっかり温め油を敷き麺を投入。適量の水を加え、ほぐしながら炒めていくというものです。
しかし、この行程ですでに大きな違いが見られました。「マルちゃん焼そば」は、油に馴染みやすく、比較的誰でも簡単に麺に火入れできる一方、「鉄板焼そば」は麺が強く、なかなか火が入っていきません。根気強くほぐしながら焼いていくと、火が入ったところから濃厚な小麦の風味が立ち上がりました。また、炒め続けても麺が柔くならず、小麦の風味や麺のコシが程よく強さを増していく印象。もうこの時点で「かなりうまい麺」であることがよくわかります。
左から「鉄板焼そば」と「マルちゃん焼そば」の完成系の違い
完成した「鉄板焼そば」と「マルちゃん焼そば」を比べてみても、その違いがよくわかります。「鉄板焼そば」は、黄色く太めでしっかりとしたコシが残っています。もちろん、食べ慣れた「マルちゃん焼そば」も実に美味しいものですが、実際にいただいてみると、その差は歴然。「鉄板焼そば」は、まさにプロの味になっているのです。
強いコシが残る「鉄板焼そば」
炒めると風味豊かな小麦感とコシが強まった印象で、よくある「焼きすぎて焦げた」「水入れすぎでベチャベチャになった」といった失敗はなく、まさに「ザ・焼きそば」という印象。大袈裟ではなく、ここまで優れた焼きそば麺に筆者は感動を覚えました。勢いあまって『岡本製麺』に「どうしてこんなに美味しい麺ができるのか?」と電話で問い合わせしました。
全国で数軒のみ? 焼きそば麺の「蒸しっぱなし」製法
風味豊かな小麦感と、強いコシでまさにプロの味に!
突然の電話にもかかわらず親切に対応してくれた『岡本製麺』の社長さん。「焼き方がうまいんじゃな いですか」と謙虚に接してくれましたが、同時に「鉄板焼そば」の製法の秘密も惜しみなく教えてくれました。
聞けば、「蒸しっぱなし」という製法によって作られるもので、コシや風味を引き上げるために、一般的な焼きそば麺よりもはるかに長く蒸し続けているそうです。その製法により一般的な麺よりも濃厚なやきそば麺が完成する一方、当然コストがかかる上に、蒸しっぱなしによる「歩留まり」という完成ミスがどうしても出やすくなるそうです。
また、古くはこの「鉄板焼そば」と同様の「蒸しっぱなし」の焼きそば麺を作る製麺業者は各地にあったそうですが、コストや手間がかかることから、「今では全国的に見ても、ほんの数軒でしかこの製法で作っていないのではないか」とも教えてくれました。
まとめ突然の電話にもかかわらず、快く対応してくださった『岡本製麺』の社長さんに感謝! そして、製麺の秘密である「蒸しっぱなし」製法が、本当に全国で数軒しか行っていないとなれば、現存する「日本一の焼きそば麺」はまさにこの『岡本製麺』の「鉄板焼きそば」かもしれません。
1パッケージ200gという多めの量ではありますが、小売価格は150円前後。「マルちゃん焼きそば」に比べれば高額です。また、通信販売も行っておらず、埼玉県深谷市エリアのスーパーや道の駅に行かなければ入手できない焼きそば麺でもあります。しかし、その手間を差し引いても、手に入れたいと思わせる『岡本製麺』の「鉄板焼きそば」。どうか埼玉県深谷市エリアを訪れた際は、ぜひお土産代わりに購入し、この美味しさを味わっていただきたいと思いました。
(取材・文◎松田義人(deco))
●DATA
岡本製麺
http://okachanmen.com/