日本の海に異変が起きている!?富山湾の異変と黒潮の異常蛇行が示すものとは

2025年2月23日(日)20時0分 tocana


「最近、海の様子がいつもと違う気がする」いつの頃からか、そんな声が漁師たちの間で囁かれるようになった。


 2024年1月1日の能登半島地震の後、富山湾では本来深海に生息するエビの大量発生や漁獲量の減少が報告された。一方、太平洋側では、黒潮続流がこれまでにないほど北へ蛇行し、三陸沖の海洋環境が急激に変化しているという。


 これらの現象は偶然なのか、それとも日本の海に何か大きな変化が訪れているのか?さらには、黒潮続流の異常な動きが、今後の地殻活動に影響を与えることはないのか——。


富山湾の異変と漁師たちの証言

■地震後の異常現象


 2024年1月1日に発生した能登半島地震(M7.6)の影響で、富山湾の海底では大規模な地滑りが起きたとされている。その影響なのか、普段は深海付近に生息するエビが、漁場に大量に現れるという異変が発生した。


 また、TOCANA関係者が過去に取材した富山湾で漁を営む漁師の中には、10年ほど前から『海の変化』を感じていたと話す者もいた。


「大王イカ(全長10m超)が大量に出現するようになった」
「海底の様子が変わっているのではないか?」


 2010年代から、富山湾では大王イカの出現が続いていたという。


 当時から「何かが起こっているのでは?」と噂されていたが、2024年の地震をきっかけに、さらに不安の声が広がった。


■富山湾の海底の変化


 2024年の調査では、深海900m地点に崖のような段差が形成されていることが確認されたと報じられている。震災後、海底の高さが最大80mも変化していたという。


 地震による影響は否定できないが、海洋環境そのものに、もっと大きな変化が起きているのではないだろうか。



黒潮続流の異常蛇行がもたらす影響

■黒潮の異常な北上


 黒潮続流(Kuroshio Extension, KE)は、通常36°N付近を東向きに流れる暖流で、日本の気候や海洋生態系に大きな影響を与えている。


 しかし、2023年4月以降、この黒潮続流が極端に北へ蛇行し、2024年冬には40°Nに到達した。


 これは、1993年に人工衛星による観測が開始されて以来、最も北へ蛇行した事例であり、三陸沖の海洋環境に大きな変化をもたらしている。


■記録的な海洋熱波


 黒潮続流の異常な蛇行により、三陸沖では記録的な海洋熱波が発生。2023年4月〜2024年8月にかけて、三陸沖の海面水温は+4.9°C上昇し、ほぼ毎日が海洋熱波状態となった。


 さらに、黒潮続流から分離した渦が三陸沖に暖水を供給し、通常は寒冷なこの地域に高温の亜熱帯水が流入。結果として、水深50〜400mの深さで過去数十年よりも最大10°C高い水温が観測された。


■大気への影響


 極端な海水温の上昇により、通常の2倍以上の熱(300 W/m²)が海から大気へ放出。これにより、大気中の水蒸気量が増加し、日本全体の気候に影響を与えている可能性が指摘されている。


 2023〜2024年の異常気象(記録的猛暑や暖冬)との関連も疑われており、今後の気象への影響が懸念される。


黒潮の異常な動きは何を示しているのか?

■日本列島の海に何が起きているのか?


 黒潮続流の北上が、単なる海流の変化で終わるならよいが、近年の異常な動きには「長期的な変化の前触れではないか」という指摘もある。過去の研究では、黒潮の変動が地球規模の気候変動に影響を与える可能性も示唆されている。


 また、黒潮の動きと日本周辺のプレート活動との関係については、まだ明確な結論は出ていないものの、「無関係ではないのでは?」と考える専門家もいる。


 特に、今回のような極端な蛇行が、海底のプレッシャーに影響を及ぼさないのか——今後も慎重に観測を続ける必要があるだろう。


未来の予測と課題

 黒潮蛇行の長期化は、日本の漁業にどのような影響を与えるのか?太平洋側の異常な水温上昇が、今後の気候変動にどう影響するのか?黒潮の異常な動きは、今後の地殻活動と無関係なのか?


 日本の海は今、未曾有の変化を迎えているのだろうか。


 富山湾で起きていた異変、黒潮続流の蛇行、そして異常気象。これらはすべて、日本の海がこれまでと違うステージに入りつつある兆候なのかもしれない。


 現時点では、それらが地震などの地殻活動に直接関係するという確証はない。しかし、もしも「何かが起きつつある」のだとすれば、今後の海洋環境の変化を注意深く見守る必要があるのかもしれない。


参考文献
Influence of extreme northward meandered Kuroshio Extension during 2023–2024 on ocean–atmosphere conditions in the Sanriku offshore region, Japan. Journal of Oceanography. DOI: 10.1007/s10872-025-00747-x

tocana

「異変」をもっと詳しく

「異変」のニュース

「異変」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ