家庭は捨てられないけど……「期限付き不倫」に走った女性2人の恋の「終わり方」「終わらせ方」

2025年3月7日(金)22時5分 All About

一番大切なのは家族。離婚する気はない。それは分かっていても、パートナー以外に恋心を抱くこともある。終わりを見据えながらも恋に走った女性二人が選んだ“期限付き不倫”とは。そして、終わりのその後とは。

人の心は止められない。互いに既婚なのに思いを寄せあうこともある。行動に移さなければ「不倫」にはならないが、心の歯止めが利かなくなり恋心が「恋愛」に発展してしまうこともあるだろう。そうなると難しいのが「終わり方」だ。

42歳、1年限りの不倫の恋

不倫の恋は、意外と長い期間続くものだ。周囲やパートナーに気づかれなければ、そして互いを思いやる気持ちがあれば揉めることもなく続いていく。
「結婚みたいに、なんとなくゴールが見えているわけでもないから、現状維持が目標になるんですよね。いかに続けていくか……。でもそれがだんだんつらくなっていく」
そう言うのはマチコさん(42歳)だ。独身時代に付き合っていた彼と再会したのは3年前だった。好きだったのに誤解が積み重なって、若かった二人は関係を修復できなかった。
「あの時はごめん、ずっと後悔していたと互いに言えた。それで気持ちが戻ってしまったんですよ。私も彼も既婚、子どももいる。深い関係になると、心が家庭から離れるのは分かっていました。でも私の一番の宝物は子どもたち。毎日、葛藤の日が続きました」
それは彼も同じだったようだ。自分の思いを成就させたい、でも家庭は捨てられない。そして2人は「どちらも大事にする」という決定をした。1年限定の約束だった。
「若いころの思いを終息させるために、1年だけデートする。あのころできなかったことをして、思いを残さずにそれぞれが家庭に戻る。話し合ってそう決めました」

1年が経って

本来は頻繁に会える状況ではない。だが期間限定だと思うと無理ができた。当時、6歳と4歳の子がいたマチコさんは実母を「最大限に利用した」と言う。悪いとは思ったが、後悔したくなかった。
「急に仕事が忙しくなったという私の言い訳を実母は信じてくれた。最初のころは週に2回くらい彼に会っていました。頻繁すぎると疑われるからと話し合って、週に1回くらいになったのは3カ月くらいしてから。本当にいろいろな意味で綱渡りでした。時間的にも精神的にも。それまで友達のように気を許せた夫のことが急に嫌になったりもした。心のどこかで彼と比べていたんでしょうね」
彼とは何でも話せた。結婚生活がうまくいかなくなるかもしれないと弱音を吐いたこともある。離婚の二文字もちらついた。
「それでもとにかく1年はこの生活を続けようと頑張った。そして1年がたった時、ふっと『もう、いいか』という思いになりました。彼のことは変わらず好きだったけど、次の段階に進もうと。無理してきた1年を2人で振り返って『もう思いを残すことはないね』と。悲しかった。でも前に進もうと」
還暦を超えたら、また連絡するねと彼女は言った。彼もうなずいたという。誰にも知られず、ひそかに思いを鎮静化させることができた。
不倫の恋を「きれいな思い出」に変えるのはむずかしいが、マチコさんはそれをやり遂げたと感じている。

45歳、職場の男性と不倫関係に

4年ほど前、単身赴任で東京に来ていた職場の男性と不倫関係に陥ったヨウコさん(45歳)。互いに家庭があったものの、彼は独身のような生活を送っているわけだ。バレたら終わりだと思いつつ、強烈に惹かれた気持ちを抑えることはできなかった。
「うちは夫が平日休みなんです。週末に休めるのは2カ月に1回くらい。だから平日、仕事だと偽っては、夫に小学校に入ったばかりの息子を任せて彼に会っていました。もともと私は仕事が忙しく、夫も家事育児を積極的にするタイプだったので、生活が急変したわけではないんですが、罪悪感はありました。でもそれ以上に、彼との関係に溺れていた」
彼は月に2回は自宅に帰っていた。それがヨウコさんにはつらかった。自分にも家庭があるのに、彼が自宅に戻るのが許せないと思ったこともある。それが恋する者の理不尽さなのだろう。
「彼の単身赴任は3年の予定だったんですが、会社の都合で2年になった。もうじき彼が帰ってしまう。いっそ不倫であることを彼の家庭に知らせてやろうかとさえ思いました。私の様子が尋常ではなかったんでしょうね。彼は『無理を承知で言うけど、最後に1泊旅行をしようか』って。それできれいさっぱり別れようという意味だったんでしょう。でも行けばさらに執着が募るような気がしました」
悩んでいた時、彼のことを相談していた唯一の親友が急死した。高校時代からの付き合いだった、大事な女友達だった。

けじめをつけた

「精一杯生きないと後悔する。そう思いました。だから彼と1泊旅行に行ったんです。2人だけで2日間、思い切り甘えあって時間を過ごし、最後にこれで終わり、ありがとうと涙ながらに言い合って……。帰りは別行動にしました」
翌日は会社を休みたいほどだったが、頑張って出社した。彼にも普通に挨拶をした。1週間後、彼は赴任を終えた。
「あれから1年、精神的にはきつかったけど、けじめをつけて別れることができてよかったと今は思っています。あんなに濃厚で楽しい2日間はなかった。あれがあるからこれからも生きていける。そんな気がしています」
怒濤(どとう)のような恋愛の日々を経て、今の落ち着いた生活をありがたく思うし、夫についても「いちばん信頼できるパートナー」だと再認識したそうだ。
「恋は恋として、なるべく早くけじめをつけた方がいい。あのころはぐちゃぐちゃに悩んだ私ですが、今は必死だった自分を愛おしいとさえ思っています」
生きていればパートナー以外に目がいくこともありうる。どう終わりにするのか、どう終わらせるのかによって、その後の人生が変わるのかもしれない。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

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