厚生年金保険料を払っていても、老齢年金を61歳から繰上げ受給できますか?
2025年3月7日(金)18時30分 All About
年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、年金の繰上げ受給についてです。
Q:厚生年金保険料を払っていても、老齢年金を61歳から繰上げ受給できますか?
「1965年1月生まれの60歳です。61歳から老齢年金を繰上げ申請しようと思ってます。厚生年金保険料を払っていても、61歳から老齢年金をもらえますでしょうか?」(男性)A:厚生年金に加入しながら、繰上げ受給で年金を受け取ることはできます
老齢年金は、原則65歳から受給できますが、希望すれば、65歳になる前から、繰上げて受給することができます。繰上げ受給をすると、早く受け取ることができますが、繰上げする期間に応じてひと月当たり0.4%減額(昭和37年4月1日以前生まれの方の減額率は0.5%)された年金を受け取ることになります。年金の減額率は、一生変わりません。相談者は60歳以降も厚生年金保険料を払っていくとのこと。厚生年金に加入し、給与収入があっても、繰上げ受給で年金を受け取ることはできます。
60歳以降厚生年金に加入すると、厚生年金の加入期間が長くなりますので、老齢厚生年金受給額が増えることになります。65歳時点で、60歳以降65歳になる前の厚生年金に加入した期間に基づき、年金額が再計算されることになります。
65歳で再計算されるものの、繰上げ受給の減額率は変わりません。65歳で再計算された後の年金も、減額された金額を受け取ることになります。
繰上げ受給をすると、65歳になる前から老齢年金を受け取れますが、一度手続きすると取り消しはできません。繰上げ請求した日以後は、事後重症(障害認定日には基準に該当しない障害状態の場合、その後障害の状態が重くなること)などによる障害基礎(厚生)年金を請求することができません。
さらに繰上げ受給して老齢厚生年金をもらう場合にも「在職老齢年金制度」に注意が必要です。厚生年金に加入して働き、月収などと老齢厚生年金の月額の合計金額が50万円(令和7年度から51万円)を超えると、老齢厚生年金の一部または全額が支給停止になります。
繰上げ受給にはさまざまなデメリットがありますので、よく検討した上で手続きするようにしましょう。
監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
(文:All About 編集部)