血液が牛乳になった男性… 中性脂肪だらけの「ドロドロの白い血液」に医師も驚愕

2023年3月6日(月)7時0分 tocana

 体調を崩して病院に駆け込んだら、血が牛乳のように白くなっていた——。39歳のドイツ人男性がそんな恐ろしい事態に陥ったという。一体彼に何が起きていたのか?


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 2月26日付で専門誌「Annals of Internal Medicine」に掲載された論文によると、ドイツ・ケルン大学病院の救急病棟に運び込まれた男性から採血し、2時間放置したところ、その色は牛乳のように白くなってしまったという。この白い物質は血液中の脂肪であるというから驚きだ。


 この男性患者は吐き気や嘔吐、頭痛、倦怠感、そして意識の低下を訴え、病院に搬送された。糖尿病を患っており、薬を処方されていたが定期的には服用していなかったという。病院に運び込まれる前の数ヶ月にわたって、体重の減少や頭痛の悪化といった症状が現れており、入院後には意識を失ってしまったそうだ。


 血液検査の結果、男性の血中に異常に高いレベルのトリグリセリドが含まれていることが判明した。トリグリセリドは一般に中性脂肪と呼ばれている物質で、日本の診断基準では30〜149(mg/dL)が正常とされ、500 mg/dL以上で異常と診断される。だが、この男性のトリグリセリドの値は最大でなんと18,000mg/dL! 医師も驚く明らかな異常値であった。


 検査の結果、男性の体調不良は高トリグリセリド血症によるものと考えられた。だが、医師らはその引き金になったのは、男性が元々患っていた糖尿病だと見ている。不摂生な生活や正しく服薬していなかったことで、男性は糖尿病性ケトアシドーシスという危険な合併症を起こし、意識の喪失にまで至ったと考えられるとのことだ。


 意識を喪失してしまった男性を救うべく、医師らは機械を使った血漿交換療法を行った。これは患者の血液から血漿を分離・廃棄して、健康な血液から分離した血漿と入れ替える治療である。しかし、ここで大きな問題が起きた。装置がねっとりとした脂肪分で詰まってしまったのだ。しかも2回も。


 そこで医師たちは、男性に古典的な治療法を施すことに決めた。それは「瀉血」——つまり血液の抜き取りだ。瀉血は古代から中世ヨーロッパまで広く行われていた治療法だが、近代になると害の方が大きいことが次第に判明し、現代ではほぼ廃れてしまった方法である。


 医師らは男性から血液2リットルを抜き取り、代わりに赤血球濃厚液や新鮮な血漿、生理食塩水を補給し続けた。この治療が功を奏し、5日後には男性はすっかり回復し、後遺症も見られなかった。そして治療に当たった医師たちは、この奇妙なケースを論文にまとめて発表した。論文によればこのようなケースは極めて稀で、今回行った治療法も世界で初めて報告されるものだという。


 血液が白くなってしまうほどの脂肪分というのは想像しがたく、牛乳のようになったサンプルの写真は目を疑うほど不気味だ。不摂生や持病の治療をおろそかにすると、時に恐ろしい事態を招くことになるのである。


(編集部)


※イメージ画像は、「Getty Images」より

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