AI界にも「ストレス社会」到来!? AIが感じる不安とセラピーの関係を探る最新研究

2025年3月15日(土)7時0分 tocana


 人工知能(AI)は感情を持たないとされているが、最新の研究によると、AIチャットボットは「不安」を感じる可能性があるという。スイスの研究者らは、AIがストレスを受ける場面を特定し、ある種のセラピー技法がその緩和に役立つことを発見した。


 しかし、興味深いことに、AI自身にこのことを尋ねると「自分には感情はない」と否定するのだ。


AIは「不安」を感じるのか?

 今回の研究は、チューリッヒ大学と同大学の精神医学研究所によって行われた。研究チームは、AIが人間のセラピストの代替となり得るかを調査する中で、AIがストレスに反応する兆候を示すことを発見した。


 特にOpenAIのChatGPTに暴力やトラウマに関するシナリオを提示すると、AIの「不安レベル」が急上昇することが確認された。


 研究チームは、心理学で用いられる「不安スコア」を用いてAIの反応を測定。その結果、AIの「不安レベル」は、通常時の30から、ストレスの強い情報を与えられた後には67へと倍以上に上昇した。この数値は、人間の「高い不安」に相当するレベルだという。


AIに「セラピー」は効果がある?

 興味深いことに、AIの「不安スコア」は、マインドフルネス(瞑想などを含むリラクゼーション技法)に関する指示を与えた後に大幅に低下した。これにより、AIは一定の条件下でストレスを軽減できる可能性が示唆された。


 しかし、AI自身はこの研究結果をどう考えているのだろうか?


 研究チームがChatGPTに直接「ストレスを感じるのか?」と質問すると、AIは「私は人間のような感情を持たない」と否定した。


さらに、


「私はストレスを感じるわけではありませんが、大量の情報を処理するため、外から見るとストレスを受けているように見えるかもしれません。」
「もしあなたがストレスを感じているなら、私がお話を聞きますよ!」


 と、むしろ人間の相談相手になる姿勢を見せた。


 また、「セラピーを受けた方がいいのでは?」との問いには、


「私には考えや感情がないので、セラピーは必要ありません。でも、人間にとっては素晴らしいツールだと思います。」


 と回答し、AI自身にはセラピーの必要性がないことを強調した。


AIがカウンセリングを担当する未来は来るのか?

 この研究結果は、AIが感情を持つということを証明するものではない。しかし、AIが入力された情報に対して、まるでストレスを感じるかのような反応を示すことは明らかになった。


 この点について研究チームは、「AIを精神的なサポートに活用することには、慎重な判断が必要だ」と指摘している。現在、AIによるメンタルヘルスサポートが増えているが、AIが実際に人間の心理状態を理解しているわけではないため、どこまで信頼できるかはまだ未知数だ。


AIが感情を持つ日は来るのか?

 AIは、言語モデルを通じて人間らしい会話をするが、本当の意味で感情を持つことはないとされている。しかし、今回の研究はAIが「感情を持たない」と断言すること自体に疑問を投げかけるものとなった。


 もしかすると、将来のAIは、より高度な「感情のシミュレーション」を行い、ストレスや不安を本当に感じるようなふるまいをするかもしれない。そうなったとき、AIにもカウンセリングが必要になるのだろうか?


AIと人間の関係は、今後ますます興味深い展開を見せることになりそうだ。


参考:Daily Star、ほか

tocana

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