枝元なほみさんも死去…「間質性肺炎」とは?階段の息切れ、長引く乾いた咳に注意!

2025年3月27日(木)11時0分 女性自身

日本人の死亡原因11位にもなっている間質性肺炎。なかでも、原因不明の特発性は余命宣告されてしまうことも。知らぬ間にジワジワと進行するという病魔に予防策は?


料理研究家の枝元なほみさんが、2月27日に69歳で亡くなっていたことがわかった。


3月12日付の本人のX上で「チームむかごスタッフ一同」により公表された。5年ほど前に間質性肺炎と診断されていた枝元さんは「かねてより病気療養中」だったという。


2023年12月に、73歳で亡くなった歌手の八代亜紀さんも、死因は急速進行性間質性肺炎と報じられていた。


さかのぼれば、あの美空ひばりさんも1989年、間質性肺炎による呼吸不全のため、52歳の若さで亡くなっている。


このように「女性が比較的若い年齢で命を落としている」印象だ。


“間質性肺炎”とは耳慣れないが、本誌読者(50代主婦)の75歳になる母親も、昨年12月に同病と診断されていたという。


「病院で『間質性肺炎です』と診断されたものの『特別な治療法はありません』と言われたそうです。


家に帰ってきてから、スマホで検索してみたところ『余命5年』とあってとしたといいます。


それ以来、母は『私も、もう長いことないわ』とすっかり意気消沈してしまっているんです」


間質性肺炎とは、いわゆる肺炎と、なにが違うのか。


前出の枝元さんも「病気療養中」だったというが、まだ治療法が見つかっていない病気なのか、薬はあるのか、ないのか……。


■本人も気づかないうちに症状はジワジワと進行していく


多摩ファミリークリニック院長の大橋博樹先生に、詳しく聞いた。


「間質性肺炎は、よくいう肺炎とは異なる病気です。肺炎は、肺胞という袋の中が炎症を起こしますが、間質性肺炎は、間質つまり肺胞の壁の部分が炎症を起こします。


すると肺自体が硬くなってしまい、酸素を取り込んで二酸化炭素を出すという肺機能が弱まってしまうんです」


間質性肺炎によって硬くなった肺胞は膨らみにくくなり、息苦しさや、息切れするなどの症状が出るようになる。


「ご本人は『加齢のせいかな』とか、『風邪が長引いているから、が止まらないんだ』と思い、受診されないことも多いです。そうして、気づかないうちに症状はジワジワと進行していくんです」(大橋先生、以下同)


たとえ受診しても、ぜんそくなどほかの病気と勘違いされるケースもあり、発見されずにいるうちに、気づいたときにはかなり悪化していることもあるという。


■年々増え続ける間質性肺炎患者


「階段を上るときに息苦しさを感じるようになり、次に、歩いているときや、衣服の着脱という日常動作だけで息苦しいと感じ、最終的には、身動きしていなくても、息苦しくなってしまいます」


厚生労働省によれば、2023年10月のある日の時点で、継続して医療を受けている間質性肺疾患の総患者数は147,000人で、前回調査時(2020年)の112,000人より、35,000人も増加している。


間質性肺疾患による死亡者数は、2023年に23,875人にのぼり、3年前の19,220人より4,655人も増えていることになる。


また、死亡者の数を年齢別で区切ってみると、50代あたりから増え始め、年代を経るごとに増加していく傾向がみられる。


「ここ数年、厚労省公表の患者数が増えているように見えますが、医学の進歩によって、病気の特定がよりしやすくなったことの表れともいえます」


直近で年間2万人以上が亡くなっているとみられる間質性肺炎は「数十種類ある」という。


「大きく分けて2とおりに分類できます。ひとつは、その原因がハッキリしている間質性肺炎です。


これは女性に多い関節リウマチなどのや、抗生物質などの薬剤の副作用によるもの、放射線治療や抗がん剤治療の影響、アレルギー物質やアスベストなどのを吸入してしまったことによる影響、マイコプラズマ肺炎や新型コロナウイルスの影響など、さまざまな原因があります」


■怖いのは原因不明の間質性肺炎


これらの「原因が明らかな間質性肺炎」にった場合は、まずは「原因の除去」から始めることが多いという。


「薬をやめる、放射線治療をいったん停止する、ハウスダスト除去などをします。マイコプラズマ肺炎や新型コロナウイルスの場合は、まずそちらの治療をします。


そのうえで、ステロイドの服薬などで治療していきます」


■余命3年とも……早期に発見できるかが生死の分かれ道


一方で、「原因がわからない間質性肺炎があるんです」と大橋先生は説明する。


「これにも多くの種類がありますが、こちらを全般的に『特発性間質性肺炎』と呼んでいます。これは、難病指定もされている、治療が難しい病気です。


この特発性間質性肺炎の大多数を占めるのが『特発性肺線維症』で、発症してしまうと『平均生存期間3〜5年』とされているんです」


なんとも恐ろしい「平均生存期間3〜5年」の特発性肺線維症。患者の男女比率は2対1程度。


「この特発性肺線維症は、ステロイド治療の効果が薄いため、一昔前までは『肺移植しかない』とも考えられていました。


しかし近年では新薬(オフェブなどの抗線維化薬)も承認されていますので、肺が硬くなるのを抑える治療ができます。そのほかの治療としては、酸素投与や肺移植などもあります。息切れや、咳が止まらないなどの症状があったら、加齢のせいと思わず、かかりつけ医に相談してください。


間質性肺炎は胸部CTスキャンやレントゲン写真で発見できますし、健診や人間ドックなどで見つかる場合もあります」


早期発見であればあるほど、治療の効果が上がり、より症状を抑えることができるという。


「階段を上ると息が切れる」とか「風邪をひいてないのに乾いた咳が続く」のは、体が発する警告なのかもしれない。年のせいとせず、早めに受診し対策することが大切だ。

女性自身

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