いつまでも片付けられない人の<三つの傾向>とは?片付け専門家「『自分がだらしないから』と自らを責めがちだけれども、ただ単に…」
2025年4月3日(木)12時30分 婦人公論.jp
(写真提供:Photo AC)
片付けても片付けても家族が部屋を散らかし続け、毎日のように「片付けて!」と声をかけている方も多いのではないでしょうか。しかし「家が片付かないのは、あなたが家族に対して『片付けて』と言うからです」と指摘するのは、オンラインの片付けサポートや片付けスクールを運営する、オンライン片付け専門家の伊藤かすみさんです。そこで今回は、伊藤さんの著書『自然と家族が整理しはじめる、魔法の片付けしつもん術』から、一部を抜粋してお届けします。
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片付けられない人が気づいていないポイントとは?
私がオンライン片付けサポートや、片付けスクールをする中で出会った「片付けられない人」には、三つの傾向があります。「片付けられない人」は、ほぼこの三つに当てはまるのですが、残念ながら本人はそのことに気づいていません。片付けができるようになるためにも、ぜひこれらのポイントを知っていただきたいと思います。
(1)片付いた環境で育ってきていない
育ってきた環境が「片付いていない家」だったら、散らかっているのがその人にとっての「いつもの状態」です。なんとなく「片付いていない」と感じてはいても、ではどの状態を目指して家の状態を変えていけばいいのかがわかりません。
なぜなら、片付いた家を知らないから。「片付いた環境が何か」、片付けのゴールやビジョンが思い浮かばないから、片付けられないのです。
(2)片付けの方法を習っていない
たとえば、何かの勉強をするときのことを考えてください。まず説明を聞いて解き方を習ってから、練習問題や応用問題を解けるようにしてきたはずです。けれど、片付けはどうでしょうか。あなたは、今までに片付けの方法を習ったことがありますか?
おそらく、親に教わったり、片付け講座を受講した人でない限り、習ったことはほぼないのではないでしょうか。習うことなしに片付けをしているのは、解き方を習っていないのに、いきなり問題を見て答えを出そうとしているようなもの。やり方を習っていない、知らないからできないのです。
(3)できないことをしようとしている
同じ「家が散らかっている状態」でも、「片付けられるのに片付けていない」のと、「そもそも片付けができないから片付かない」のとでは違います。片付けられない人は、ほとんどが自分は前者だと思っています。できるのにやっていない、やっていないから「やらなくちゃいけない」と自分に発破をかけて、何とかしてやろうとします。
しかし実際のところは、片付けられない人のほとんどが後者です。片付けるにはどうしていけばいいのか、わからないし知らない。知らないから、できない。その「できないこと」を無理にやろうとしているのです。
片付けは、何となくしようとしてできるもの?
たとえば、同じ家事の中でも、料理は本やWEBサイトでレシピを調べたり、動画を見て作る手順をチェックしたりしますよね。
片付けをするのに、やり方を確かめてからやっている人は、どれだけいるでしょうか。おそらく、とくに調べることもなく、何となくやっている人がほとんどでしょう。
料理や掃除などは、親がしている姿を見て「こうするんだな」と学べます。けれど片付けは、親が子供の知らないうちに済ませてしまっている場合も多々ありますから、そうなると片付けをしている場面を目にする機会が圧倒的に少ないわけです。
親御さんがやり方を教えていなければ、自分から学ばない限り、「何となくやる」、それしかありません。
片付けができない自分のことを責めていませんか?
片付けられない人は、「自分がだらしないから」「自分の努力が足りないから」と、自分を責めていることが多いです。しかも、片付けができないのは「私が人としてダメだから」「自分がダメな人間だから」と言う人さえいます。総じて自己肯定感が低いのです。
片付けられないことと、あなたの人格とは別です。片付けられないのは、人格のせいではありません。ただ単に、片付け方を知らなかっただけ。片付けを知れる環境にいなかった、やり方を教えてくれる人がいなかった。ただ、それだけなのです。
(写真提供:Photo AC)
私には、看護師の友人がいます。彼女は助産師で、夜勤もあります。ご主人は郵便局にお勤めで、夫婦ともにとても忙しくしていました。実家に子供を預けて仕事に行くこともあり、子供と接する時間も少なかったようです。
けれど、子供と一緒にいる時間は、子供と濃密に過ごしていました。話すときも、子供と真正面から向き合って、目を見て話をしているそうです。
そんな彼女の家は、まったく片付いていません。けれど、家が片付いていない環境であっても、子供はすくすくと育っています。片付けはできなくとも、子供への愛情や優しさに満ちたお母さんはたくさんいます。
片付けができるかどうかと、人格は別
再度、強調してお伝えします。片付けができないのは、あなたが悪いわけではない。片付けができるかどうかと、人格は別です。ですから、そこで「片付けられない自分は、ダメな人間だ」などと自己肯定感を低めてしまうのは、非常にもったいないですし、やめましょう。自己肯定感が低いと、片付けは進みません。
ただ、片付けで自己肯定感が下がっている人が、自己肯定感を上げるには「片付けを実行する」のが早道です。一気には進まなくても、やり始めれば、少しずつ成果が出ます。
片付けた結果が目で見てわかるので、自分でも「できた!」と感じられますし、家族も気づきます。そして、家族にほめられることが出てきます。目の前の現実が変わるので、それにともなって自己肯定感も上がっていくのです。
※本稿は、『自然と家族が整理しはじめる、魔法の片付けしつもん術』(ぱる出版)の一部を再編集したものです。
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