生徒が抱える将来リスク、学校ができること…NIERが公開

2018年4月5日(木)13時15分 リセマム

キャリア教育リーフレット2「生徒が直面する将来のリスクに対して学校にできることって何だろう?」(表紙)

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国立教育政策研究所(NIER)は平成30年4月3日、キャリア教育リーフレット2「生徒が直面する将来のリスクに対して学校にできることって何だろう?」をWebサイトに掲載した。高等学校において、人生上のリスクに対する対処の手立てを学習する機会を作る大切さと、公的な相談機関の存在と活用方法を紹介している。

 公開されたリーフレットはPDFファイル4ページ。NIERによると、離職や失業といった人生上のリスクに対処する手立てを身に付ける機会を作ることは、高等学校のどの学科でも大切だとしているものの、潜在的なリスクについての学習は必ずしも広まっておらず、特に普通科では卒業生の半数以下しか学んでいない状況にある。

 リーフレットでは、NIERが過去に発表した調査結果「再分析から見えるキャリア教育の可能性—将来のリスク対応や学習意欲、インターンシップ等を例として—」を引用しながら、高等学校や生徒の状況を紹介している。

 調査によると、人生上の諸リスクへの対応について学んだ卒業生の割合(高等学校)は、普通科で47.1%、職業に関する専門学科で70.6%、総合学科では62.6%。高等学校卒業者の約5%はアルバイトなどの一時的な仕事に就いたり、無業者だという。また、調査からは、就職した生徒の約40%は3年以内に仕事を辞めている。大学に進学したとしても、そのうち約10%が中途退学しており、そのうち半数近くが非正規雇用としてのキャリアを歩んでいることがわかっている。

 NIERは、離職などによって困難な状況に陥ってしまった場合、自分一人で抱え込んでしまうと、解決するのは容易ではないとし、セーフティネットとして機能している公的な相談機関について、学校教育で積極的に情報提供するよう求めている。

 リーフレットではこのほか、進路に関するおもな相談機関のリストとして、ハローワーク、ジョブカフェ、地域若者サポートステーション、総合労働相談センター、労働基準監督署の情報を掲載。また、高等学校向けに「雇用問題・労働問題の解決方法について知る」と題した授業の事例を3つのステップに分けて説明している。グループ活動を通じて相談の意義に気づかせ、困難に直面したとき実際の行動につなげることを目指した例が掲載されている。

 NIERは高等学校に対し、生徒が将来働くうえでの困難に直面したときに「自分のせい」や自分の責任だと思い公的な相談機関の利用をためらうのではなく、公的な相談機関を利用して解決していけばよいことを生徒に気づかせるよう呼びかけている。リーフレットは国立教育政策研究所のWebサイトからダウンロードできる。

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