福島12市町村 × ソトコト 創造する、私とまちの未来

2023年4月5日(水)11時0分 ソトコト

このまちだからこそチャレンジできる、無限の可能性。


「福島12市町村」は、福島県の温暖な「海側」と自然豊かな「山側」に位置し、『東京電力福島第一原子力発電所』の事故に伴う避難指示等の対象となったエリアを指す。復興に向けたまちづくりが活発に行われ、移住者や若者のコミュニティが生まれている。
そんな福島12市町村を舞台に、主に都市部在住者を対象とした関係人口創出講座「ふくしま未来創造アカデミー」(主催:福島相双復興推進機構)が開催された。2022年11月から始まり、17名の受講生が集まった。東京での2回の座学を経て、年が明けた1月の3日間、復興の歩みやその先の未来について学ぶ、現地フィールドワークが実施された。


雪降る福島県を降りて、まずはバスで飯舘村に向かう。訪れたのは飯舘村をはじめとした福島県産の草花を使ったドライフラワーやボタニカルキャンドルの販売を行う『工房マートル』。お店のオーナーでキャンドル作家の大槻美友さんは受講生に、「関係人口として外からの視点を大切に、地域の良いと思ったものをそのまま伝えてほしい。それが地域の支えになる」と話した。





講座のメンターとして受講生を支えるデザイナーの西山里佳さんの案内で、その後は南相馬市小高区へ向かう。小高区では若者の移住や起業する人が徐々に増え、明るい変化が起きている。訪問先の一つである『小高パイオニアヴィレッジ』は、震災で多くのコミュニティが失われたこの地域で、「そこをフィールドに欲しい暮らしを自ら創り上げていく人たち」(=パイオニア)の拠点となるように建てられた施設だ。コワーキングスペースやゲストハウス、さらには就労やチャレンジを支援する場としてガラス工房を運営している。その様子を受講生は真剣にインプットしていた。








2日目は浪江町・双葉町・大熊町と、富岡町・楢葉町を訪ねる2班に分かれて行動する。複数のまちで、それぞれの地域性や復興の過程とまちづくりを学んでいく。新しくできたカフェやシェアハウス、新たに立ち上がったプロジェクトなどに躍動を感じる一方、さまざまな課題も知る。一時は居住者がゼロになった地域に帰ってきた人や新たに移り住んだ人から、新しいまちづくりへの期待や暮らしていくなかの困りごとなどそれぞれの話を聞くことで、受講生たちはリアルな地域の今とこれからのまちづくりに目を向けた。





フィールドワーク最終日は、大熊町でスタートアップ支援の拠点となっている『大熊インキュベーションセンター』へ移動し、今後の福島12市町村との関わりを考えるワークショップを行った。訪問先で出会ったチャレンジする人たちの力強さに刺激を受け、受講生たちも何ができるかを真剣に考える。「力になりたい」、「自分もやってみたい」など、自らの正直な気持ちをていねいに整理していく。今回学んだこの地域の文化や暮らしを大切にしながら、自分らしくどう関わっていくか。自由な発想とそれを受容してくれる地域の温かさに、関わり方の可能性は無限に広がっている。











photographs by Jouji Suzuki text by Mioko Ito(SOTOKOTO)


記事は雑誌ソトコト2023年5月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

ソトコト

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