怪我をした我が子を命がけで守っていた母犬、保護された後も寄り添い続ける愛情物語
2025年4月20日(日)12時0分 カラパイア
Kentucky Humane Society[https://www.facebook.com/kyhumane?__tn__=-UC*F]
アメリカ・ケンタッキー州で路上をさ迷っているところを保護された一組の犬の親子が、多くの人の心を動かしている。
母犬は、過酷な野良生活の中で生まれた子犬を守り抜いた。飢えて自分の体がやせ細っても、娘の命を優先し続けた。
怪我を負っていた子犬の手術がすぐに行われたのだが、別の部屋にいた母犬は、心配のあまり叫び声をあげ続けた。
これは、苦しみの中でも離れずに支え合い、再び人間との暮らしに一歩を踏み出した親子の犬の心温まる物語だ。
母犬が命を削りながら守っていた我が子
アメリカ・ケンタッキー州にある動物保護施設「Kentucky Humane Society[https://www.kyhumane.org/]」に、一頭のやせ細った母犬と、その子犬が保護された。母犬はミス・ハニー、生後約2か月の子犬はマチルダと名付けられた。
ミス・ハニーはシベリアンハスキー、もしくはそのミックス種と思われ、その体重は15kgほどしかなく、明らかに栄養が足りていなかった。
それでも、ミス・ハニーは母乳を与え続け、子犬の命を優先してきた。
施設のスタッフであるジェニファー・ハリスさんは、「彼女は自分の体力をすべて子犬のために使っていた。体は弱りきっていたが、その目には強い意志があった」と語っている。
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脚に重い怪我を負っていた子犬の手術中、鳴き叫ぶ母犬
子犬のマチルダは後ろ脚に重い怪我を負っていた。感覚がなく体重をかけることもできなかった。
獣医が怪我の治療を始めると、別の部屋にいたミス・ハニーは、心配のあまり激しく鳴き始めた。
その声は痛ましく、スタッフが思わず駆けつけるほどだった。きっと、母と子が離れたのはこれが初めてだったのだろう。
治療が終わってマチルダが戻ると、ミス・ハニーはすぐに寄り添い、安心した表情を見せた。その姿に、スタッフたちは「この親子を絶対に離してはならない」と強く感じたという。
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2匹は共に仮里親の家へ
2匹はすぐに、一時的に預かってくれる仮里親の家へと移された。落ち着いた環境で過ごすようになり、人間に対して強い警戒心を持っていたミス・ハニーだったが、今では少しずつ心を開きはじめた。
マチルダは人懐こく、よく母犬のあごの下に潜り込んで眠るという。
そして今では、ミス・ハニーも人間からの抱っこやなでられることを好むようになり、人の温かさを受け入れ始めている。
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その後一週間ほどたち、マチルダの怪我した脚は、残念ながら切断を余儀なくされた。
手術を前に、ミス・ハニーはそばに付き添うことはできなかったが、術後に麻酔から目を覚ましたマチルダにそっと寄り添い、やさしく抱きしめた。
現在、マチルダは3本足での生活に少しずつ慣れてきており、ミス・ハニーも体重を回復しつつある。二頭は、これまで決して離れることなく困難を乗り越えてきた。
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2匹が一緒にいられるずっとの家を探して
スタッフたちは、ミス・ハニーとマチルダの深い絆を守りながら、2匹とも迎え入れてくれる最適な家族を探している。
「マチルダは人間にも自信を持って接するようになり、ミス・ハニーもその姿に安心している。今では、ミス・ハニーも抱っこをねだり、人のぬくもりを感じることを欲している」とハリスさんは語っている。
日本でも、野良犬や保護犬の譲渡活動が広がっており、預かりボランティアを積極的に行っている人も多い。
母の愛に導かれて生き延びたミス・ハニーとマチルダのように、救われる命が一つでも多くあることを願いたい。