190年以上もの歴史がある製麺所が作る蕎麦【家そば放浪記】第274束:御花畑マリコが製造直売「水屋製麺」で買ってきた、ヤマタめん『水屋そば』140円(1人前140円)

2025年4月20日(日)20時0分 ロケットニュース24

同僚の御花畑マリコが、干し蕎麦を持って話しかけてきた。

「これ、幸手(さって)に行った時……」

──幸手!? 埼玉県の幸手?

「はい、幸手」

──幸手の蕎麦か! ほほう……!

なぜマリコさんが幸手に行ったのかといえば、過去記事「関東イチの花見の名所「幸手権現堂桜堤」に下調べゼロで行ってみた結果」の取材のためなのだが、私の中で幸手と言えば、つい先日亡くなった祖母の故郷なのである。

そんな幸手に製麺所があり、ふらっと入ってみたら干し蕎麦もあったので、マリコさんは私のために買ってきてくれたわけだ。ありがたし!

パッケージ裏には「水屋そばの由来」が書かれている。そっくりそのまま引用させてもらうと……

「当店は天保二年創業の歴史ある製麺工場です。初代松五郎が利根の清水を桶で各地に販売し、遠く江戸迄も販売したところから『水屋』の屋号がはじまり、2代目鶴之助がその清水でうどん・そばを製造したところ大変おいしく、当時『水屋のうどん・そば』として評判をとったと云われております。

その伝統に六代目が近代的な製造技術を加え、風味と香りを出来るだけ『生』の状態に残す様工夫しました。素朴な味の中に日本古来のほんものの味を御賞味いただけましたら幸でございます。」

天保二年といえば1831年なので、190年以上もの歴史がある製麺所ということになる。そして出てきた「うどん」の文字。私はすぐに「やはり……」と思った。

なぜなら幸手のすぐ近くにある鴻巣出身である祖父のソウルフードは「手打ちうどん」といっても過言ではなく、その辺りの地域、うどん(小麦粉)と密接な関係があるだろうな……と勝手に推理したからである。

原材料を見ると、予想通り小麦粉が先行。なんとなく「うどん的な蕎麦」かなとの予想をしつつ──

いざ調理開始!

デカい鍋に湯を沸かし……って、麺が長い! 一般的な干し蕎麦より1.2倍ほど長い印象を受ける。

約4分ゆでて……

ハイ、完成!

すごい量!

して、そのお味は──

うまいなこれ。爽やかの極みというか。

漢字1文字で表現するなら「」。つまりはピュア。それでいて食感が最高。もう食感だけで、「外」を飛び出して「店」である。

あと長さもあるのかな〜。普通の干し蕎麦よりほんのわずかロング。そんな違いが「店感」を演出しているような気もする。

肝心の蕎麦の味は、本当にクセが無い。スーッと、ストレートに「涼」を感じる清い蕎麦。どちらかといえば、ひやむぎに近いかも。

と、ここで思うのは、「たぶんこの製麺所、うどんもそうめんもひやむぎもウマイだろうな……」ということ。小麦粉のスペシャリスト感ある。

食べ方については、これはもう絶対に「冷」で攻めた方が良いと思う。まさにこれからの季節にもってこいな蕎麦であろう。

さらに具体的に、“どう食べるのが最高なのか?” を考えてみたところ、このピュアさに「天(ぷら)」をぶつけるのが最高と見た。

もちろん最強なのは「天ざる(天せいろ)」だけども、天ぷらが用意できないなら「冷やしたぬき」でも良いと思う。なんなら「天かすだけ」でも良いかと思う。

……とここまで書いて、どうしても「with天」したくなったので、ダッシュで近所のスーパーに行き天かすをGET。帰宅と同時に超簡単な「なんちゃってたぬき」をしたところ最高アンド最高。

「純」と「邪」のコントラストが素晴らしく、これはもう絶対にいつの日か「天ざる(天せいろ)」で食べてみようと決意したのであった。この蕎麦もう1束、買いに行かねば、水屋製麺に。

私も行かねば、祖母の幸手に。

執筆:干し蕎麦評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24

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