世界で活躍する茶道家が教える、自宅でできる「プチ茶道」。「お茶」を通して心と体を整える【2025編集部セレクション】

2025年4月23日(水)12時30分 婦人公論.jp


竹田さん「茶道におけるお点前と禅の思想は共通しているため、昔から結び付きが深い」(写真提供:Photo AC)

2024年上半期(1月〜6月)に『婦人公論.jp』で大きな反響を得た記事から、今あらためて読み直したい1本をお届けします。初公開日:2024年1月5日)
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2020年に文化庁が1,500人に対して行った国民意識調査によると、茶道を経験したことがない人は全体の約6.5割だそうです。そんな茶道を、日本だけでなく世界にも広めようと活動しているのが、茶道家(裏千家教授)の竹田理絵さん。今回は、茶道にまつわる教養を紹介していただきました。竹田さんいわく、「茶道におけるお点前と禅の思想は共通しているため、昔から結び付きが深い」そうで——。

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お点前(てまえ)


お湯を沸かし、お茶を点ててお客様に振る舞うまでの一連の作法を「お点前」と言います。

茶道におけるお点前と禅の思想は共通しているため、昔から結び付きが深いと言われています。

*お点前の5つの手順
(1)茶室に、水指やお茶碗、棗、建水など、お茶を点てる道具を運びます。
(2)お客様の前で、それらの道具を帛紗で清めます。
(3)お茶を点て、お客様にお出しします。
(4)使用した道具を全て清め、もとの場所に片付けます。
(5)茶器や茶杓などの道具を、お客様に鑑賞していただきます。

お茶を点てるための道具はすべて綺麗な状態ですが、それをさらにお客様の前で丁寧に清めていくことで、「おもてなしの心」を伝えます。

お点前は、おもてなしの心を表したもの


海外の方に喜ばれる教養
日本では「書道」の授業はありますが、残念ながら「茶道」の授業はありません。しかし、海外では自国の歴史や美術、音楽など独自の文化を学ぶ機会が多いと聞きます。日本でも子どもたちがもっと身近に茶道を親しむ機会があれば、これから先も茶道文化を継承できるのではないかと思います。

自分をさらに高める教養
お点前と呼ばれるようになった理由には諸説ありますが、中国の点茶を由来とする説や、「点」という字には「小さな目印」「少量」という意味があるため、少量のお茶をお客様の「前」で「点てる」ことから「お点前」と呼ばれるようになったとする説などがあります。

「お客様の前で一つひとつ丁寧にお点前をすることで、まずは自分の心が整い、その空間やお客様も清められる」と言われています。

まさにその空間にいるすべての人が清められ、心が整っていくことがわかり、それが禅の精神とつながっていることが実感できます。

自宅でできる「プチ茶道」


敷居が高いと思われがちな茶道ですが、いくつかのポイントを押さえておけば自宅でも美味しくお茶を点て、素敵な時間を過ごすことができます。

いきなり高価な茶道具を揃える必要はありません。まずは、自宅にある道具で抹茶に触れることから始めてみてください。


いきなり高価な茶道具を揃える必要はありません(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

*用意するもの
抹茶・茶筅・茶こし・深めの器・スプーン

*作り方
(1)用意した器と茶筅をお湯の中につけ、温める(竹製の茶筅はお湯につけることで柔らかくなるため、点てやすくなる)
(2)お湯を捨て、布巾で器と茶筅をしっかり拭く(水滴が残っていると抹茶がダマになりやすいので気をつけましょう)
(3)茶こしに抹茶(ティースプーン山盛り1杯・約2g)を入れ、器の中にふるう(茶こしでふるうことで細かい粒子になり、美味しく点てられます)
(4)70〜80℃の低めのお湯(70ml)を器に注ぐ
(5)手首のスナップをきかせながら、茶杓を縦に数字の「1」を描くように上下に振り、20秒ほど点てたらでき上がり

自分をさらに高める教養
紅茶やウーロン茶の場合、100℃の熱湯の方が美味しく頂けますが、緑茶や抹茶の場合は70〜80℃の低めのお湯を使います。これは甘み成分のアミノ酸が出るためです。

海外の方に喜ばれる教養
抹茶を点てる時は1箇所だけでなく、右・左・真ん中と、大体20秒くらい細かい泡を点てるようにします。そして最後はくるっと一つ円を描いて、真ん中から静かに茶筅を引き上げると、空気と触れてまるで「ラテ」のように柔らかい味の抹茶ができます。これなら、海外の方にも親しみやすいかもしれませんね。

※本稿は、『「お茶」を学ぶ人だけが知っている「凛とした人」になる和の教養手帖』(実務教育出版)の一部を再編集したものです。

婦人公論.jp

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