フランスでは便秘の患者に対して硬水を処方するケースも…お通じをよくしたいあなたのための「水」との付き合い方

2024年4月25日(木)6時30分 婦人公論.jp


(写真提供:Photo AC)

令和4年の国民生活基礎調査によると、男性の2.5%、女性の5.1%が便秘を訴えているそう。そのようななか、「骨盤の後傾によって曲がった現代人の直腸を真っすぐに伸ばして便秘を撃退する<直腸ストレッチ>」を考案し、テレビや雑誌を通して発信しているのは、アスリートゴリラ鍼灸接骨院院長の高林孝光さん。先日『スッキリ出る!直腸ストレッチ』を刊行された高林さんいわく、「お通じをよりよくしたいのならば、硬水を飲むとよい」そうで——。

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硬水を飲む


胃が空っぽの状態で冷たい水を飲むと、胃が刺激を受け、その刺激によって腸が動きだす「胃結腸反射」が起こり、蠕動運動がより活発になります。

このときに飲む水は、もちろん水道水でかまわないのですが、お通じをよりよくしたいのならば、おすすめの方法があります。

それは硬水(こうすい)を飲むことです。

水には硬度というものがあります。硬度とは、水1リットル当たりのカルシウムやマグネシウムの含有量を表します。

WHO(世界保健機関)では、硬度120ミリグラム以上の水を硬水、120ミリグラム未満の水を軟水(なんすい)と定めています。

「軟水」と「硬水」


日本の水道水のほとんどは軟水です。一方、ヨーロッパの水道水は硬水です。これには、地質や地形が大きく影響しています。

日本の地質は水の浸透が速い花崗岩(かこうがん)が多く、しかも山から海までの傾斜がきつく起伏の激しい地形をしています。

そのため、花崗岩を通って濾過(ろか)された雨や雪は、山から海まで流下する速度が高いため、ミネラル成分の浸透が少ない軟水となります。

それに対してヨーロッパは、ミネラルが豊富な石灰岩が多く、山から海まで傾斜の緩やかな地形をしています。

そのため、雨や雪はゆっくりと石灰層を通って濾過され、その結果、ミネラル成分がたっぷり溶(と)け込んだ硬水になるのです。

便秘に効果的なマグネシウムが豊富


それでは、お通じをよくするために、なぜ軟水よりも硬水を飲んだほうがよいのでしょうか。

そのカギを握るのが、硬水に豊富なミネラルのなかでも、とくに便秘に対する効果の高いマグネシウムです。マグネシウムには、便の吸水性を高め、便を軟らかくして排出しやすくする働きがあるのです。

そのため、硬水の本場フランスでは、便秘の患者さんに対して硬水を処方するケースもあるほどです。


(写真提供:Photo AC)

実際、ふだん軟水を飲んでいる日本人のマグネシウム推定摂取量は圧倒的に不足しています。

2019年国民健康・栄養調査によると、日本人の一日のマグネシウムの平均摂取量は、236〜251ミリグラムしかありませんでした。30〜64歳の摂取基準(推奨量)が男性で370ミリグラム、女性で290ミリグラムなので、いかに少ないかがわかります。

市販されているヨーロッパ産のミネラルウオーターは、ほとんどが硬水です。ただし、便秘に効果的だからといって、硬水を飲みすぎると、おなかがゆるくなることがあります。一日にコップ6〜8杯程度を目安としましょう。

硬水が苦手な人は…


また、軟水がまろやかな口当たりとサッパリとした風味が特徴なのに対し、硬水は口当たりが重く苦みがあります。そのため、硬水が苦手という声を少なからず聞きます。そのような人には、硬水の代わりに炭酸水を飲むことをおすすめします。

国産の炭酸水のほとんどは軟水で作られているため、日本人の味覚によく合います。

そして何よりも、炭酸ガスの刺激によって胃の働きが活発になり、前述した胃結腸反射によって蠕動運動が活発になるのです。

ただし、胃腸が弱い人が炭酸水を飲みすぎると、下痢を起こすことがあります。その意味では、朝起きて直腸ストレッチを行う前にコップ1杯飲むというのは、ちょうどよいのではないでしょうか。

硬水も炭酸水も、スーパーやコンビニで手軽に入手できます。同じ水を飲むなら、どちらかお好みのものを選択することをおすすめします。

※本稿は、『スッキリ出る!直腸ストレッチ 一日3分で「出口の詰まり」を取って便秘を解消するセルフケア』(CCCメディアハウス)の一部を再編集したものです。

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