なぜそこに?2世紀の古代ローマ時代の彫像頭部が、教会の土台から発見される

2025年4月27日(日)20時0分 カラパイア


Parco Archeologico dell’Appia Antica[https://www.facebook.com/photo/?fbid=719812857376870&set=pcb.719838367374319]


 イタリアの首都、ローマ南部にある「ラティーナ」街道の墓地群遺跡付近で、初期キリスト教会「サント・ステファノ教会堂」の土台部分から、大理石製の男性彫像の頭部が発見された。


 この頭部は、2世紀頃のものとみられており、5世紀に教会を建設する際、意図的に埋め込まれた可能性があるという。


  現在、この像が誰を表しているのか、なぜ教会の土台に組み込まれたのか、その解明に向けた調査が進められている。


教会の土台から姿を現した古代ローマの彫像の頭


 「アッピア街道公園」内にある、古代ローマの「ラティーナ街道」沿いにある墓地群遺跡付近には、5世紀に建造された初期キリスト教の聖堂、サント・ステファノ聖堂がある。


 今回近教会の発掘調査を行っていた所、、2世紀のものと思われる、大理石でできた古代ローマの彫像頭部が発見された。


 発掘を担当したチームは、イタリア紙『イル・メッサジェロ[https://www.ilmessaggero.it/roma/eventi/scoperta_testa_appia_antica_parco_tombe_via_latina_dio_barbuto-8781354.html]』の取材に対し、「何世紀にもわたる埋没にもかかわらず、芸術的に整えられた白い髪の美しさがまだはっきりと残っていた」と語っている。


 この彫像の頭部は、等身大を大きく上回るサイズであり、もともとはかなり大型の全身像の一部だったと考えられている。


https://www.facebook.com/photo/?fbid=719812857376870&set=pcb.719838367374319[https://www.facebook.com/photo/?fbid=719812857376870&set=pcb.719838367374319]

古代ローマの神像である可能性も


 この大理石の頭部は、発見後すぐに南イタリア・マテーラ市へ運ばれ、イタリア文化財修復中央研究所ICR)による徹底的な調査と修復が始まった。


 修復作業には、同研究所の学生たちも参加しており、表面の堆積物やモルタルの層を慎重に取り除きながら、詳細な記録を取っている。


 初期の分析では、この像が古代ローマの神を表している可能性が高いとされ、ジュピター、アポロ、セラピスといった神々の名が挙がっている。


 また、偉大な哲学者を象った可能性も指摘されているが、像の巨大さから神像である可能性が高いとみられている。



研究室で彫像の頭を調べる技術者 Parco Archeologico dell’ Appia Antica[https://www.facebook.com/photo/?fbid=719810960710393&set=pcb.719838367374319]


なぜ教会の土台に使われたのか


 特に注目すべきは、この頭部がなぜキリスト教会の土台部分に埋め込まれていたかという点だ。


 古代後期(おおよそ4〜6世紀)には、古代ローマ時代の高品質な石材を再利用することが一般的だった。


 しかし、単なる再利用ではなく、ローマの文化的・精神的遺産に対する敬意を込めて意図的に組み込んだ可能性も考えられている。


 一部の考古学者は、古代ローマの伝統を尊重する気持ちから、もしくは破壊されるのを防ぐために密かに保存したのではないかという仮説を立てている。


 さらに、建物の守り神のような存在として幸運を願い、埋め込まれたという説もある。



ローマのラティーナ街道にある墓地。像の頭部が発掘された場所の近くにある。(Sara Fioravanti/CC BY-SA 4.0[https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Parco_Archeologico_delle_Tombe_di_via_Latina.jpg])


ローマがキリスト教世界へと変遷する時期


 ラティーナ街道は、古代ローマの主要な幹線道路のひとつで、ローマ市街から南東へ延びていた。


 この街道沿いには2世紀ごろ、多くの裕福な市民たちが死後の世界への信仰や、家族の名誉を誇示するための大規模な墓を築いたため、ラティーナ墓地群」として知られている。


 この発見は、ローマが異教からキリスト教中心社会へと移行していった「古代末期」の文化の変遷を物語っている。


 サント・ステファノ古代キリスト教会が建設された時代は、まさに宗教的対立と融合が進行中だった。



研究者の手と比べるとその大きさがわかる Parco Archeologico dell’ Appia Antica[https://www.facebook.com/photo/?fbid=719810967377059&set=pcb.719838367374319]


 今回の頭部像は、当時の人々がどのように古代の遺産を受け継ぎ、あるいは変化させながら新しい時代を築いていったかを示す貴重な手がかりになるだろう。


 修復作業が進み、さらに詳しい情報が明らかになれば、像の持つ意味や背景についても理解が深まると期待されている。



追記:2025/04/28 ヴィア・ラティーナ街道をラティーナに変更して再送します。


References: Facebook[https://www.facebook.com/archeoappia/posts/pfbid0kxJDcWkt2aTmuD6RFpqx8uSwjMFSsq27Umksu38V1VbXziLUrwwKVziN7VxU4setl] / Facebook[https://www.facebook.com/archeoappia/posts/pfbid0kxJDcWkt2aTmuD6RFpqx8uSwjMFSsq27Umksu38V1VbXziLUrwwKVziN7VxU4setl]

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