「りんご染め」デニム、パリコレに…廃棄する剪定枝で黄緑色に染め上げ「リンゴに新たな価値を」

2025年4月30日(水)22時45分 読売新聞

 長野県内有数のリンゴの産地・飯綱町に伝わる、剪定せんてい枝を使った「りんご染め」を施したデニムが、仏・パリで3月に行われた世界最大級のファッションの祭典「パリコレクション」で紹介された。ファッションブランドの協力を得て地域おこし協力隊の男性が企画したもので、「リンゴに新たな価値を吹き込み、町を盛り上げていきたい」と話す。(金沢ひなた)

 都内から移住した同隊隊員の原口光雄さん(33)は、2023年5月から「いいづなアップルミュージアム」の学芸員を務めている。近くのリンゴ並木を管理するうちに、剪定枝などの農業廃棄物を有効活用できないか模索するようになったという。

 町では約40年前から、女性5人による「苹果ピンゴ染グループ」が、りんご染めに取り組む。廃棄物などを付加価値の高い新たな製品に再生させる「アップサイクル」の一環として世界にPRしようと、妻の知人でパリコレに参加するファッションブランド「再倖築さいこうちく」(埼玉県)に声をかけた。

 再倖築は古着を再利用したファッションを得意とする。彼らがデザインした青色のダメージデニム3着を同グループで黄緑色に染め上げ、準備を進めたという。

 ショーは先月9日に行われ、約300人のファッション業界関係者などが参加した。デニムを着用したモデルが登場すると、会場からは大きな拍手が上がった。りんご染めならではの特徴的な色合いは現地でも大好評で、「かわいい」「販売してほしい」といった声が寄せられた。

 ショーの様子を動画で見た同グループ代表の佐藤アツ子さん(80)は「言葉に表せない感動を覚えた。りんご染めがパリに行くなんて夢にも思わなかった」と振り返る。担い手が高齢化している現状にも触れ、「これを機に若い人たちにも広まってほしい」と期待を込めた。

 今秋には、パリコレの様子を模したショーや展示会をミュージアムで開催する予定だ。原口さんは「単なる一過性の出来事にせず、観光客の増加や地域おこしとしても貢献したい」と力を込める。

 同町は、「日本一のリンゴのまち」を目指している。峯村勝盛町長は「色んな意味でリンゴを活用していくことは、町の発展や交流人口の増加にもつながる」としている。

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