「母の日を、母のハートを想う日に。」有楽町でノボ ノルディスク ファーマが伝えた「肥満症」の実態
2025年5月12日(月)10時35分 マイナビニュース
5月9日、東京・有楽町の東京交通会館前にて、ノボ ノルディスク ファーマが「肥満症」の疾患啓発イベントを実施。「母の日を、母のハートを想う日に。」をテーマに掲げた。
通行人にカーネーションとメッセージカードを配布するスタイルで、生活習慣病としての肥満症への理解を促した。
○■約1,600万人の肥満症患者、だけど認知率は8%未満!?
ノボ ノルディスク ファーマは、デンマークに本社を置くグローバルヘルスケア企業だ。100年以上の歴史を持ち、糖尿病治療薬を中心に、現在は肥満症などの治療領域にも注力。「糖尿病で培った知識や経験を基に、変革を推進し深刻な慢性疾患を克服する」といったパーパスを掲げている。
この日のイベントは「肥満」ではなく、「肥満症」という疾患の認知向上を目的に実施された。同社でマーケティングを担う清水真理子さんは、肥満症について次のように説明する。
「単に太っているということではなく、BMIが25以上で、かつ11種類ある健康障害のいずれかを抱えている状態が“肥満症”。肥満症は狭心症や心筋梗塞、糖尿病、高血圧といった重大な疾患の危険因子になると言われています」
11種類ある健康障害とは、耐糖能障害(糖尿病など)、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症・痛風などが含まれるが、肥満症の定義を知る人はまだ少ない。
清水さんによると、「全国には約1,600万人の肥満症患者がいるとされますが、その認知率は8%、診断率に至ってはわずか2%程度しかありません」。つまり、ほとんどの人が自分の状態を“疾患”とは認識しておらず、適切な医療介入がされていないのである。
実は、この肥満症という疾患も日本独自のもので、「WHOの定義では肥満はBMI30以上ですが、日本では25以上で健康障害がある場合に“肥満症”と定義されます。これは、日本人が欧米人よりも内臓脂肪をためやすく、それに伴う病気のリスクが高いからです」と清水さんは解説する。
加えて、海外、特に欧米では肥満人口が多いため、肥満に関連する病気への理解や治療の普及度も高い。一方、日本では「見た目が少しふっくらしているだけ」などと誤解され、適切な治療を受けないケースも少なくないのだという。
○■なぜ「母の日」に肥満症啓発?
この日の啓発活動は母の日と連動させたものだったが、その理由について清水さんは、「日本には“記念日文化”がありますよね。大切な人に感謝を伝える『母の日』というタイミングで、“お母さん、いつまでも元気でいてね”という気持ちと一緒に、健康についても考えるきっかけになればと考えました」と明かす。
イベントでは、カーネーションとともにメッセージカードを配布。カードには肥満症の簡単な説明が記載されており、ただの贈り物にとどまらない“予防医療の第一歩”を演出していた。
当日、有楽町の駅前には多くのビジネスパーソンや買い物客が行き交っていた。立ち止まる人、カードだけ受け取って立ち去る人など反応は様々だが、多くの人が関心を寄せていたことは間違いないだろう。
同社は今後も、記念日を活用した疾患啓発を続けていく予定だという。清水さんは、「慢性疾患に苦しむ方々の健康に寄与していくことが私たちのパーパス。疾患の認知を上げていくことで、1人でも多くの方に自分の疾患に気づいてもらい、適切な相談や治療をしていただきたいですね」と意欲を語った。
肥満症は見た目ではわかりづらく、本人すら病気と気づかないことが多い。それだけに、日常のなかで「気づきのきっかけ」を増やすことが、現状を変える一歩となりそうだ。
猿川佑 さるかわゆう この著者の記事一覧はこちら