日本人の6割が便秘がち!骨格や姿勢に着目、“出口詰まり”をスッキリさせる「直腸ストレッチ」

2024年5月18日(土)6時0分 週刊女性PRIME

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「便秘は若い女性に多いイメージが強いですが、シニア世代になると男女問わず悩む方が増えています」

骨盤の後傾が便秘を引き起こす要因に

 そう話すのは柔道整復師の高林孝光さん。

「その原因は大腸の“出口”にあります。ホースが出口で折れ曲がっていると、水の出が悪くなりますよね?

 だから、ホースをまっすぐにすれば、スッキリ気持ちよく出すことができます。そのホースの出口をまっすぐにする方法を試してもらうと、多くの方がその効き目にびっくりします。ホースの出口とは、肛門近くの直腸を指すんです」(高林さん、以下同)

 便秘の主な原因は加齢や運動不足、食物繊維や水分の不足などだが、高林さんは自身の専門分野である「骨格」や「姿勢」に着目した。現代人の骨格や姿勢の悪さが、便秘と深く関わっているのでは、と思ったのだ。

「日本人は骨格の形状から、出口である直腸の曲がりが強いとされています。洋式トイレに背筋を伸ばして座った姿勢だと、直腸に対して肛門が後ろ向きになり、便がスムーズに出にくいため、便秘になりやすい」



 和式トイレが主流の時代では、いわゆる「ヤンキー座り」の姿勢をとっていたので、直腸がまっすぐに近づくので肛門への負担が少なく排便できたのだという。

「洋式トイレへのシフトなど、生活様式の変化は便秘が増えた大きな要因ですが、もうひとつ見逃せないのがスマートフォンやパソコンの利用。

 骨盤が後ろに傾いた『骨盤後傾』の姿勢で長時間の作業をすると、まっすぐ立っても“背骨が曲がって下腹が出て、骨盤が後ろに傾いたまま”の姿勢が常態化します」

 普段からこのような直腸を圧迫する姿勢をとっているのも便秘を慢性化させやすい。

 骨盤後傾タイプかどうか確かめるには、ヤンキー座りをためしてみて。足のかかとを床につけ、しゃがんだ姿勢をしばらくキープできず、すぐに後ろに倒れてしまうなら可能性大だという。

「このタイプの人は、トイレに行ったとき上半身を前方に倒して前かがみの姿勢をとると、排便しやすくなります。

 直腸に圧力をかけやすく、大腸をまっすぐな形状に近づけられて便がツルリと出ます。前かがみの姿勢がとりにくい人は足の下に台を置くと安定しやすいです」



朝食前に自分のペースで

 現代人の多くに見られる骨盤の後傾により、直腸が圧迫されて曲がっていることが便秘の隠れた原因とする「直腸屈曲仮説」。それをもとに考案されたものが「直腸ストレッチ」だ。

「便秘に悩む患者さんたちに1日1回、自宅でストレッチをしてもらったところ、全員が約1週間で効果を実感したという、うれしい反響がありました」

 実際に便秘を解消した女性2人に体験談を聞いてみた。

 30代のスポーツアスリートのT・Yさんは、ひどい便秘ではないものの、環境が変わると、3日ほど便通がないことがよくあったという。

「ストレッチを行っているときから、腸がグルグルと活発に動くのを感じ、即効性があるな、と驚きました。2週間ぐらい続けると、毎日やらなくても便秘になりにくくなりましたが、今では朝や寝る前の習慣になっています。先日の海外遠征でも便秘にならず、競技に集中できました」

 40代の主婦のS・Mさんの便秘歴は高校時代から。5日間出ないこともあるが、下剤は貧血になるため在宅の日にしか使えず、便秘のツボを調べるなど、自己流で模索しても改善できなかった。

「やり始めて4日目ぐらいから効果が表れ、朝食後、すぐにトイレに行くようになりました。最初の1か月で体重が8kg減りましたし、肌がきれいになったのもうれしい効果。現在も毎朝ストレッチを行い、ほぼ毎日、快便です」

 今回はその直腸ストレッチから効果が高い3つをご紹介する。

「骨盤後傾を改善するには、今、こり固まっている筋肉をゆるめることが大切です。太ももの裏側にあるハムストリングスが硬く萎縮していると、骨盤が後ろに引っぱられてしまいます。

 この筋肉が伸びれば骨盤が垂直になり、内臓への圧迫も軽減。おのずと直腸もまっすぐになります」

 さらに「の」の字ならぬ、「ぬ」の字マッサージで肝臓と腸の働きを活性化しよう。



「適度な刺激を与えると、肝臓や内臓は血流がアップします。特に肝臓が分泌する『胆汁』には消化を助ける作用があり、不足すると便秘になることから“天然の便秘薬”といわれることも。

 大腸の形に沿って手を動かしたら最後、直腸の位置を念入りにぐるりと刺激することで、より高い効果が得られます」

 そのあとに便意を感じたら、直腸へとつながる神経を刺激し、腸のぜん動運動を促すと、スムーズに出やすい。

「腰椎の下にある逆三角形の骨『仙骨』には『仙骨孔』という穴が並び、直腸や肛門の動きを司(つかさど)る仙骨神経が通っています。この部分をトントンたたくことで、仙骨神経を通して直腸に刺激が伝わります。便座に座りながら行ってもいいですよ」

 実践するタイミングはいつでもOKだが、朝起きてすぐ水を飲み、朝食前に行うのがベストだと高林さんは語る。

「医学的には排便が3日に1回でも、便が気持ちよくスッキリ出ていて本人が不快でなければ便秘とはいわないそうです。このストレッチを通じて、今の姿勢と大腸の“出口詰まり”を改善しつつ、自分らしい排便リズムをつくってみてはいかがでしょうか」

便秘の原因が姿勢にあるかをチェック

□スマホを使用する時間が長く、猫背になりがち

□まっすぐ立っていても、背骨が曲がり下腹が出ている

□ヤンキー座りをしたときにかかとが床につかない

↑が当てはまったら、姿勢が原因で便秘になっている可能性大!



直腸を“まっすぐ”にする新習慣

 3つの動作で直腸を刺激すればスムーズな排便につながる。

骨盤スタンドアップ

 太ももの裏側を伸ばすことで、骨盤の後傾を改善できる。



(1)イスに浅く座り、かかとを床につけて足を肩幅に開く。お腹と太ももを密着させ、両腕は太ももの後ろで交差させる。

(2)(1)の状態から、かかとを床につけたままお尻を浮かせて、そのまま10秒間保つ。

ぬの字マッサージ

 お腹を「ぬ」の字のようになでることで、胆汁の分泌を促進し、結腸と直腸を刺激。



(1)あおむけに寝て両ひざを軽く曲げ、右手のひらで右の肋骨の下端からへそまで軽く押していく。

(2)右手のひらを左の肋骨の下から右の鼠径部、右の肋骨の下、みぞおち、左の鼠径部の順になで直腸の上を念入りに。(1)(2)を1分間繰り返す。

■便をする直前に



 腰をたたいて排便に関係する「仙骨神経」を刺激しよう!



 イスに座り、お尻の割れ目の左右にある「仙骨孔」を両手のこぶしで同時に30秒間たたく。

※途中で痛みを感じたり具合が悪くなったら、無理をしないで中止を。持病がある人は、医師に相談してください



教えてくれたのは……高林孝光さん●アスリートゴリラ鍼灸接骨院院長。治療家(鍼灸師・柔道整復師)として10万人以上に施術。『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)に運動機能評論家として出演。著書は『スッキリ出る!直腸ストレッチ』(CCCメディアハウス)など。




取材・文/松澤ゆかり

週刊女性PRIME

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