青木さやか「わたしは昭和48年生まれの就職氷河期世代。いつだって隣にいる誰かと競争していた。思い描いていた50代とは雲泥の差…」

2025年5月21日(水)7時30分 婦人公論.jp


写真提供:青木さん

お笑いの仕事だけでなく、俳優・エッセイストとしても忙しい毎日を送る青木さん。この春『Nスタ』ゲストコメンテーターを務めることも決まりました。今回は「就職氷河期を経験した人として」を綴ります。

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前回「平成の飲みニケーション」を思い出す…令和に働く娘、平成にOLだった母……東京ガス〈ふたつの人生〉CMに思うこと」はこちら

団塊ジュニアの苦悩


昭和48年3月生まれ。第二次ベビーブーム。中学校はマンモス校でK組まであり、同級生も大半を知らないという状態で卒業した。
いつだって隣にいる誰かと競争していた。

高校生の頃、テレビから流れてくる情報はまさにバブル。大学を卒業し、良いところ(漠然としているがともかく良いところを目指した)に就職すると、いい思い(漠然としているが、ともかく楽しく安全で安心な状況)をするのだろうと想像した。

バブルははじけ、大学を卒業する頃には就職氷河期に突入。テレビでみていた就職活動とは全く違っていた。たしか、説明会にいけば弁当が出るとか、手土産をもらったとか。
いやいやまさかまさか。

持ち上げられない分厚さの就職情報誌から企業を選びはがきを書き、通知が届いて初めて、エントリーができる。エントリーとは試験を受ける権利のこと。ほとんどが不合格の通知であり、落胆し、自信を失い…「この企業はブラックだから、誰でも受かるが受けないように」と大学のチューターに言われた企業も落ちて、立ち上がる元気もない。

わたしって一体…。

人生後半、悠々自適のはずが…


やむなく入ってきた芸能界でおかげさまでここまでやってこられたが、
思い描いていた50代とは雲泥の差の未来が待っていた。


本連載から生まれた青木さんの著書『母』

何がって、もはや人生後半、悠々自適だろうと、その一択で想像していたが
現在52歳、人生で今が一番稼ぐぞ、稼ぎ続けるぞ、そうでなくては困るのだモードに入っているのだ。

蓄え、子どもの学費、老後の心配を考えると、しばらくそのモードで走り続けるしかない。

わたしに限ったことか、と思っていたら、就職氷河期世代、多くの人が同じような悩みを、いやもっと深刻な生活をされているようで、先日のMr.サンデーでの就職氷河期の実態VTRはなかなか辛くてみていられなかったし、貯金も少ない世代、給料が上がる割合も少なければ、職場でいま肩叩きに合う、なんて話も。勤め上げ、上と下のバランスをとり、頑張りつづけ、挙句「自己責任論」なんという言葉がでてきた令和7年の今。

おかげでガッツはある


もちろん氷河期世代に限った話ではない。

が、色々なことがあった。おかげさまでわたしにはガッツがあり、倒れては立ち上がり、倒れては立ち上がり、いやもうこれ、わたしじゃなければ立ち上がれませんでしたわ、と思うこともあったが、「立ち上がれ立ち上がれ立ち上がれ…」と、ガンダムだって躓くんだもの!と心のテーマソングにしてやってきたのだ。

氷河期世代でラッキーだったわ、と、一度でいい、感じさせてくれる何かをいただけないだろうか…。

そんなことを切に願う中年です。

婦人公論.jp

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