【弥生人の女性の顔】二重まぶたのファニーなかわいさで人気者に?
2025年5月21日(水)15時0分 大手小町(読売新聞)
いつのころからか耳にするようになった「気になる言葉」を、漫画家でコラムニストの辛酸なめ子さんが独特の切り口で読み解く夕刊「popstyle」の人気連載「辛酸なめ子のじわじわ時事ワード」。今回は【弥生人の女性の顔】(やよい・じん・の・じょせい・の・かお)です。
弥生人の復元像が次々と公開されている鳥取市の「

このたび3人目にして、ついに女性の顔が復元され、青谷かみじち史跡公園では、ファンファーレとともに像がお披露目されました。
バラバラ状態だった頭蓋骨を集めてDNAを解析し、復元にかかった期間は1年ほど。黒いストレートヘアで肌の色はやや明るめ、黒い目の30〜40歳の女性です。母方が渡来系だとか。口元がやや前に出ているのが、話好きな印象で親近感が。年齢の割には若干ほうれい線が目立ちますが、当時は美容効果が高いコスメもクリニックもなかったので、現代人より年齢感が出ていると思われます。
それにしても毎日どこかですれ違っていてもおかしくないほど、今の日本人と変わらないルックス。意外だったのは、二重まぶただったことです。縄文人は彫りが深くて目が二重、弥生人は一重で切れ長の目で唇が薄い、というイメージでしたが、この女性はちょっと違うようです。現代人の顔が十人十色のように、弥生人の顔も様々だったのでしょう。
道具や人骨が豊富に出てきた青谷上寺地遺跡は「地下の弥生博物館」と呼ばれているそうです。日本海に面した湾のほとりにムラがつくられ、森もあって自然に恵まれた土地でした。しかしそこでの暮らしは常に穏やかというわけではなかったようです。100体以上の人骨が発見されましたが、墓に埋葬されずに散乱している骨や、刃物による傷痕が認められた骨もあったようです。何かの争いがあったのか、血なまぐさい事件でも発生したのでしょうか……。
しかし、これまでに復元された弥生人は、そんなダークな過去は感じさせず、澄んだ瞳で軽い

弥生人女性に先駆けて、2018年には縄文人女性の復元像が制作されていました。国立科学博物館などの研究グループが、北海道の遺跡で発掘された約3800年前の縄文人の臼歯からDNAを抽出。顔に関する遺伝子からは、目は茶色で肌色は濃いめ、シミがあり縮れた髪の毛、という外見が推測されるそうです。弥生人女性と比べると、髪がボサボサで老け顔に見えます。しかし縄文時代の人口の少なさから考えると、現代人の共通の祖先の一人かもしれません。国民的祖先だと思うと、どんな姿でもありがたく、手を合わせたくなります。