「大荷物で電車に乗ったら老人に席を譲られた。常識的には逆だと思って断ると、私のことを見もせずに...」(東京都・20代男性)
2023年7月20日(木)11時0分 Jタウンネット
シリーズ読者投稿〜あの時、あなたに出会えなければ〜 投稿者:Oさん(東京都・20代男性)
Oさんは高校生時代、山岳部に入っていた。入部したてのその日は、初めての泊まり込みのために重い荷物を背負って駅へ。
乗りたい電車には間に合ったものの、もうすでにヘロヘロになっていて......。

<Oさんの体験談>
電車に乗るたびに思い出す出来事があります。
その日は夏休みの最中で、山岳部に入ったばかりだった高校生の私は、初めての泊まり込み用の重い荷物を背負って駅に向かっていました。
ヘロヘロになりながら...
慣れない装備で歩くのは大変で、予定の電車に遅れそうになり、駅まで走ることに。
登山用のトレッキングシューズというのは走るのには向きませんでしたが、ヘロヘロになりながらどうにか電車に乗り込むことができました。
重装備を背負って走ったため、息も切れ切れ。電車の座席は埋まっていたので、ドア脇の手すり棒にしがみついて呼吸を整えていました。
すると、あまりに疲れ果てた私を見かねたのか、定年は優に超えているのではないかというおじいちゃんが席を譲ってくださったのです。

常識的な話として、席を譲るというのは若者が年輩の方にたいしてすることだと思い断ったのですが、おじいちゃんはすっかり席から離れてこちらを見てもくれません。
そこでお礼を言ってありがたく席に座ったところ、チカチカとめまいがして全身の力は抜け、8駅先でようやく息切れが収まった始末でした。
この出来事以来、私はルールを改めて...
少し落ち着いた頃に気が付くと、おじいちゃんは既に降車していて、改めてお礼を言うこともできませんでした。
席に座れていなかったら、後の山登りに影響していたのはもちろんのこと、ひょっとすると倒れていたのではないかと思います。
おじいちゃんのおかげで3泊4日の大冒険は成功し、素晴らしい思い出を作ることができました。

この出来事以降、私は自分の中の曖昧なルールを改め、年齢に関係なく必要だと思った人には席を譲れるよう目配りするようになりました。いつかこの感謝の輪が、かつて席を譲ってくださったおじいちゃんに再度巡っていけばいいなと考えています。
深い感謝を伝えるとともに、「こんな気遣いを自然とできる人に私はなるぞ!」という決意表明をして、このメッセージを終えたいと思います。ひと夏の忘れられない思い出でした。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
Jタウンネットでは読者の皆様の「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集している。
読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのかなど、500文字程度〜)、体験の時期・場所、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。
(※本コラムでは、プライバシー配慮などのため、いただいた体験談を編集して掲載しています。あらかじめご了承ください)