関節リウマチという症状をご存知ですか?

2022年9月16日(金)20時30分 ココカラネクスト

Q:手の指が痛くて関節リウマチかと心配しています。他の病気とどのように見分けますか?

指の関節のどの場所が痛いかで判別がつく場合があります。指の第1関節(指先の関節)が痛いのであれば、関節リウマチではなくヘバーデン結節という病気かもしれません。手や指の関節で、関節リウマチで障害を受ける関節は、第2関節から手首までの関節(PIP関節、MCP関節、手関節)であって、第1関節(DIP関節)はほとんど障害を受けないことがわかっているからです。

また、関節リウマチの診断は、関節症状だけではなく、関節の痛みの部位が肩などの大きな関節か、手指などの小さな関節に起こっているのか、採血で測定された自己抗体反応(自分の体の免疫細胞がどれくらい活動しているのか)、リウマチの活動度を測る炎症反応、その他に症状が起こっている期間を総合して判断します。このためそのような検査を受けることも重要です。

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Q:関節リウマチと診断され内服治療が始まりました。なぜ関節リウマチになってしまったのでしょうか?遺伝ですか?

遺伝だけではなく、遺伝と環境要因の両方があると考えられています。また最近では環境要因のほうが大きいと考えられています。

遺伝要因としてはHLA-DR4と呼ばれる遺伝子が関節リウマチの発症および重症化と関係があることが知られています。

環境要因としては喫煙が関節リウマチの発症のリスクを高めるのみならず、関節破壊の進行にも関連することが示されています。もし喫煙をされていたらおやめになったほうが良いです。

Q:関節リウマチと診断されました。薬は一生飲み続けないといけないのでしょうか?

関節リウマチへの薬剤治療でもっとも中心となる(最も多くの人が用いている)薬剤はメトトレキサートです。メトトレキサートは強い副作用が生じて続けられなくなった場合を除いて、基本的には飲み続けていくことが多い薬剤です。

メトトレキサートの他に、生物学的製剤と呼ばれる薬剤があります。こちらは一部の人がやめられる可能性があります。ただし一部の人にのみといったところが現状です。生物学的製剤を減らしたり中止したりできる可能性がある人は、生物学的製剤で十分な効果が得られており、関節炎がなくなって、寛解と呼ばれる状態になった人だけです。少し効果はあるが、 関節に腫れが残っている人、X線検査で骨破壊が進んでいる人は、治療の手を緩めるわけ にはいかず、減量や中止はできないというのが現在の主流の考え方です。

では、十分に効果があり、寛解になった人が全員止められるかというとそうでもありません。半分の患者さんは1年後も官界状態が続きますが、残りの半分の患者さんはリウマチ症状が再燃してしまい、また生物学的製剤を再開する必要があることになることが知られています。

Q:私と私の姉がリウマチです。親戚にも関節リウマチの人がいます。遺伝のようなものはあるのでしょうか?私の子どもたちに気をつけるべき事があれば、教えてください。

家族の人に関節リウマチの方がいると、子供や親戚もなりやすいということが知られています。

スウェーデンの研究では、
・親が関節リウマチの場合の子供の関節リウマチ発症リスクは3.02倍。
・兄弟姉妹が関節リウマチの場合の関節リウマチ発症リスクは4.64倍。
・親と兄弟姉妹が関節リウマチの場合の関節リウマチ発症リスクは9.31倍
と報告しています。

関節リウマチ発症のしやすさに遺伝的な要因があるのは確かのようですが、遺伝だけでなく環境要因のほうが大きいとされ、感染症や喫煙などが挙げられます。

Q:右肘にだけ症状のある45才の主婦です。メトトレキサートの処方を始めて10ヶ月内服しました。レントゲンや血液検査の数値も改善しているのですが、痛みが消えません。主治医にはレミケードをすすめられましたが選択する決心がつきません。他に痛みを改善させる方法はありますか?

関節リウマチで炎症反応やレントゲンが改善されても痛みが残ってしまっている人もいらっしゃいます。そのような場合、以前アクティブであった関節リウマチの炎症によって生じた異常な血管が残存しており、血管と神経が一緒になって増える性質があることから、異常な血管の周囲に神経線維も増加して、治りにくい痛みの原因になっている可能性があります。

最近ではそのような異常な血管をカテーテルで塞ぐ治療も開発されており、関節リウマチの患者さんにも安全に受けてもらえるようになっています。

Q:関節リウマチになり服薬を始めましたが、私はメトトレキセートが効かないタイプのようです。医師からは生物学的製剤を勧められました。治療費用はどれくらいかかりますか?

生物学的製剤は、とても高価なのが難点と言えます。3割負担の場合、自己負担額は年間で約45万円にもなります。JAK阻害剤はさらに高く3割負担でも年間約60万円。また、皮膚に痛みのあるヘルペス(帯状疱疹)などの副作用が出る場合もあり、100人のうち5〜6人にヘルペスが出たという報告があります。

Q:生物学的製剤(エンブレル)を始めましたが、効果が不十分です。今後どうしたらよいでしょうか?

現在発売されている生物学的製剤は、いずれも概ね4割程度の患者さんで著効し、7−8割の患者さんで一定以上の効果があることが分かっています。逆に言えば生物学的製剤でも全ての患者さんに有効なわけではありません。思ったほどの効果が得られなかった場合、明確な指針はありませんが、現時点で以下のような選択肢が考えられます。

1)使用している生物学的製剤の増量、投与期間短縮
レミケードとシンポニーという薬は標準使用量以上の増量が可能です。また、エンブレルは半量から開始した場合には標準使用量(週50mg)までの増量が可能ですが、それ以上の増量は認められていません。

2)他の生物学的製剤への変更
最初に始めたのがTNF阻害薬(レミケード、エンブレル、ヒュミラ)の場合、少なくとも2剤目までは同じグループである他のTNF阻害薬への変更も充分に有効であると報告されています。

3)併用している抗リウマチ薬の追加、増量
特にリウマトレックスの増量、プログラフの追加、増量が有効であることが報告されています。

4)関節手術の併用
生物学的製剤を使用しても一つないしは少数の関節炎のみが残る場合には、手術によって病巣を除去することも効果的です。

5)異常血管へのカテーテル治療の併用
痛み症状の原因は「異常に生じた血管とその周囲の神経線維」と考えられており、関節リウマチの滑膜組織で生じた異常な血管を標的としたカテーテル治療の有効性も報告されています。

Q:関節リウマチでメトトレキサートを内服しています。妊娠を希望しています。妊活できますか? やめるとしたらどれくらいやめる必要がありますか?

メソトレキセートは服用により流産や奇形の頻度が上がる事がわかっています。男性の服用によってもその頻度があがります。男女ともに妊娠を計画する場合は3ヶ月間の服用中止が必要です。また授乳中も、母乳に移行するため、服用はできません。

詳しくは主治医にお問い合わせください。

Q:関節リウマチでメトトレキサートを始めました。副作用が心配です。どんな副作用がありえますか?

軽いものでは、口内炎や脱毛などがあります。重い場合だと、白血球減少や肺炎などの感染症を引き起こします。また、たばこを吸っていて肺の機能が弱っている方や、薬の代謝を司る肝臓や腎臓が悪い方は服用できない可能性が高くなります。

Q:関節リウマチと診断され、メトトレキサートの内服が始まりましたが副作用(吐き気)で使用できません。今後どのようにしたらいいでしょうか?

メトトレキサート製剤で嘔気があり使用できない場合、費用負担が増えてしまいますが、生物学的製剤で治療をするのが、最も有力な選択だと思います。特にIL-6を抑制するアクテムラまたはケブザラは、メトトレキサートが使用できない場合に有効性が証明されています。治療費は1か月あたり3割負担の方で3〜4万円程度かかってしまいます。

より安価な方法としては、ケアラムやリマチルなどの内服がある程度期待できます。メトトレキサートよりは副作用は少ないとされ、ケアラムは肝機能障害、リマチルは腎臓の障害がたまに出ることがあります。

Q:メトトレキサートを始めました。ずっと飲んでいないといけませんか?少しでもやめてしまうと問題でしょうか?

メトトレキサートを内服して効果がでている場合、2週間ほどの休薬をしてもリウマチが悪化することはないとされています。ステロイドとは異なり、中止しても副作用はでません。食欲低下や風邪や肺炎、尿路感染症などで熱がでてしまったときなどには薬を飲むのを1−2週間はやめてもよいでしょう。

Q:関節リウマチで治療中です。メトトレキサートを使うことで、関節の腫れは落ち着いてきました。医師からも採血結果が良いと言われますが、「痛み」が十分に改善されません。何か良い方法はありますか?

メトトレキサートにより炎症状態が落ち着いたものの、関節の疼痛が残存する事があります。関節リウマチの痛みのコントロールに、NSAID(非ステロイド性消炎鎮痛薬)や、ステロイドの内服を併用して、痛みをコントロールする手術(滑膜切除術、人工関節置換術)を行う事があります。

また、最近では痛みのある部位に増殖した異常な血管を標的とした治療も、安全に受けられるようになっています。

Q:生物学的製剤(レミケード・エンブレル)を勧められています。使いたいけれど1ヶ月に7万円かかると言われました。一度使い始めたらずっと使わなくてはならないのでしょうか?

生物学的製剤によって寛解になった人は、生物学的製剤を止められる可能性があります。ですが、生物学的製剤で寛解状態が6か月以上続いた人が生物学的製剤を中止した場合、半分の患者さんは1年後も良い状態を維持していますが、残りの半分の患者さんは再燃してしまい症状がぶり返してしまうことが知られています。その場合、また生物学的製剤を再開することになってしまいます。つまり、効果が十分に出ていても必ず止められるとは言えないのが現実です。

Q:関節リウマチの人は寿命が短くなりますか?

関節リウマチでは多関節炎と関節破壊による関節機能障害、抑うつ、間質性肺炎などの臓器障害、感染症に代表される治療薬の副作用などがみられ、それらのために患者さんのQOL(Quality of Life)が低下することや、平均余命短縮の可能性も指摘されています。環境要因としては喫煙が関節リウマチの関節破壊の進行にも関連することが示されているので、禁煙するなども重要です。副作用ともうまく付き合いながら、上手に治療をしていくことが望ましいです。

Q:生物学的製剤は必ず効果がありますか?

関節リウマチに対する生物学的製剤が使われるようになって16年経過しようとしています。この間に使われるようになった生物学的製剤として、レミケード、エンブレル、アクテムラ、ヒュミラ、オレンシア、シンポニー、 シムジア、インフリキシマブBSの8種類が代表的です。これらはどれも有効性に大きな差はないとされており、どれも7割の患者さんに効果があるとされています。反対に言うと残りの3割の人には効果が期待できないということになります。このため「必ず効果がある」といえるものではありません。

Q:関節痛の症状が強くなりメトトレキサートが徐々に増量されています。副作用も心配です。生物学的製剤以外に関節痛の症状をコントロールするために良い方法はありますか?

仕方なくステロイドを使用する場合もあります。しかし、感染症を誘発するなどさまざまな副作用があるので、長く使えるものではないです。使う場合は、半年で止めるようにしています。

また、炎症を起こしている滑膜を取り除く手術や、軟骨が破壊されている場合は関節を固定する手術などがあります。関節の破壊が進んでいる場合は、人工関節に取り換える手術が行われることもあります。

また最近は関節リウマチで増えてしまった異常な血管が炎症と痛みを引き起こすことがわかっており、それに対するカテーテル治療も併用できる方法です。

[文:オクノクリニック | モヤモヤ血管による慢性痛治療]

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

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