母体の体温維持が胎児の神経の成熟に重要…阪大・京大等

2021年11月25日(木)17時15分 リセマム

大阪大学 蛋白質研究所

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胎児の神経の成熟には母体の体温が37度で厳密に維持されていることが重要であることが、大阪大学らの研究グループによって明らかになった。神経細胞を形成する仕組みが温度によって精密に制御されていることを発見した。

 大阪大学、京都大学、早稲田大学等の共同研究グループは、細胞の形づくりに関わるタンパク質と、温度に応じた力の制御に着目し、神経細胞の成熟に重要な細胞内の仕組みが、温度によって精密に制御されることを発見した。

 2021年のノーベル医学・生理学賞では、体内のある特定の種類のタンパク質が、それぞれの温度範囲を担当する温度センサーであることを見出したことが受賞理由の1つとなったが、精製したタンパク質は熱に弱く、機能を失いやすいため、体温付近での性質を調べるのが一般に困難だった。

 研究グループでは、赤外レーザーを用いた素早く精密な温度操作技術を顕微鏡による計測技術と組み合わせることで、体温付近での実験に成功。その結果、37度付近でのみ、神経細胞が力を出し、形を変えるときに働くタンパク質に、温度を制御する能力があることを発見した。

 この発見により、母体の体温の精密な制御には、タンパク質が出す力を整え、神経系の正常な成熟を支える役割があることが示唆され、母体の体温が37度で厳密に維持されていることが、胎児の神経の成熟に重要であることがわかるという。

 同研究成果は、アメリカ化学会(ACS)発行の「Nano Letters」(オンライン)に、2021年11月9日より公開されている。

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