本当は怖い タバコの健康被害 医師が教える肺がん以外にも気を付けたい病気とは

2022年11月30日(水)20時30分 ココカラネクスト

「禁煙したいけどどうしてもやめられない」という悩みをお持ちの方は、多くいらっしゃるのではないでしょうか。

中毒性のあるタバコはからだに悪いということを知っていても、つい吸ってしまいますよね。今回は、タバコの健康被害と禁煙のコツをご紹介します。

【関連記事】イタチごっこはもう止めましょう…ミスマッチな喫煙室

1.タバコの害はどのくらい大きい?

「タバコは有害」とはよくいわれますが、具体的にはどのような害があるかご存じですか? ここでは、タバコがもたらす害を3つご紹介します。

1‐1.タバコに含まれる有害物質
タバコには、ニコチン・タール・一酸化炭素の三大有害物質のほか、70種類以上の発がん性物質が含まれています。また、普段タバコを吸わない人は喫煙者に比べて、少しの量でも大きな健康被害を受けるという報告もあります。

ニコチンには依存性を高める作用のほか、血流を悪くする作用もあり、動脈硬化を促進させるでしょう。さらに、タール(ヤニ)には、数十種類以上の発がん性物質や発がん促進物質が含まれています。加えて、一酸化炭素は、酸素不足を引き起こし動脈硬化を促進させます。

1‐2.喫煙が原因で発症する病気
タバコが原因で発症する病気でよく聞くのは肺がんですが、発症するのは肺がんだけではありません。

ほとんどの部位に発生するがんのほかに、脳卒中、ニコチン依存症、歯周病、慢性閉塞性肺疾患、呼吸機能低下、結核、虚血性心疾患、腹部大動脈瘤、動脈硬化、糖尿病などのさまざまな病気や、早産、低出生体重・胎児発育遅延の原因にもなってしまいます。

1‐3.喫煙と平均寿命の関係
喫煙者の平均寿命は、非喫煙者と比べて10年程度、短くなるといわれています。タバコは吸えば吸うほど病気のリスクが高まり、寿命にも関わるため、早めの禁煙をおすすめします。(※1)(※2)

2.なかなかやめられない人の禁煙のコツ

タバコは依存性が高いため禁煙するのはなかなか難しく、挫折してしまった人も多くいると思います。禁煙のコツにはどのようなものがあるのでしょうか。

2‐1.禁煙を宣言する
周囲の人に禁煙を宣言することで、禁煙への意識がさらに高まります。また、周囲の協力も得やすくなるため、ほかの喫煙者からタバコ休憩などに誘われる心配が減り、禁煙しやすくなります。

2‐2.自分の喫煙行動パターンを見直す
自分がいつタバコを吸いたくなるのかを分析して、吸いたくなる状況をさけたり、吸いたくなった場合にどうするのかを決めたりしておきましょう。

たとえば、暇な時間に口元が寂しくなりタバコを吸いたくなってしまう方は、ガムや飴を持ち歩いて食べるなど、日々の生活に取り入れやすいタバコの代わりになるものを見つけます。

2‐3.きっぱりやめて離脱症状を乗り越える
本数を減らしたり、電子タバコに変えたりしても、有害物質を摂取してしまうことには変わりません。結局のところニコチンをとり続けることになるため、ニコチン依存から抜けられずにニコチン切れの症状が続き、かえって禁煙しにくくなってしまいます。

離脱症状のピークは2〜3日、もしくは長くても1週間なので、きっぱりとタバコを吸わないようにして、つらくても気を紛らわせる工夫をしながら乗り越えましょう。(※3)

3.禁煙中のつらい症状には漢方がおすすめ

ニコチン依存症の治療過程で生じる、イライラ・頭痛・嘔気・便秘などの症状に対しては、漢方薬の活用もおすすめです。たとえば、野田隆らが禁煙科学に発表した論文(11巻 2017)によると、禁煙中に禁煙補助薬と漢方薬を併用することで、禁煙成功率に著効を示したとの報告があります。(※4)

また、漢方薬は、自然の生薬から作られているため副作用も比較的少なく、医療分野でも使用されており、安全性も高いともいわれているのです。

禁煙中の不快な症状には、「水分循環を改善し、頭痛や嘔気を解消する」「血流を促して腸の動きをスムーズにして便通をよくする」「自律神経を整えて神経の高ぶりを抑え、イライラ・不眠などを改善する」などのアプローチをします。

漢方薬で心とからだ全体のバランスを整えることで、健康なからだを手に入れられるでしょう。

<禁煙中の不快な症状におすすめの漢方薬>

・五苓散(ごれいさん)
禁煙中の頭痛、嘔気の症状に使用された症例があります。からだの水分循環を改善して、吐き気や嘔吐、下痢、むくみ、めまい、頭痛に効果が期待できます。(※5)

・桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
禁煙中の便秘の症状に使用された症例があります。がっちりした体格の方におすすめです。血液循環をよくし、便通の改善と不安感・イライラを鎮める効果が期待できます。(※6)

・抑肝散(よくかんさん)
禁煙中の頭痛、イライラ感、不眠の症状に使用された症例があります。神経の高ぶりを抑え、イライラ感や不眠などに効果が期待できます。(※7)

漢方薬を選ぶときは、自分のからだと症状にあった漢方薬を選択することが重要です。間違った漢方薬を服用してしまうと効果が出なかったり、副作用が生じたりしてしまう可能性が高まります。そのため、必ず漢方に詳しい医師や薬剤師に相談して漢方薬を選択するようにしましょう。

手軽に漢方薬の相談をしたい方におすすめなのが、オンラインの個別相談サービスです。「あんしん漢方」では薬剤師などの医療チームがAIを利用し自宅まで漢方薬を郵送してくれるため、手軽に漢方薬を手に入れられます。

●あんしん漢方

4.禁煙で健康的なからだに

今回はタバコの害と禁煙のコツをご紹介しました。タバコは百害あって一利なし。吸えば吸うほど健康被害が出ますし、死亡率も高まってしまいます。

身近な人にも害を及ぼしてしまうため、今喫煙している方はなるべく早めに禁煙するべきです。健康的なからだを手に入れ、健康寿命を少しでも延ばしましょう。

(※1)eーヘルスネット「喫煙者本人の健康影響」厚生労働省
(※2)たばこと健康に関する情報ページ「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書」厚生労働省
(※3)すこやかライフ「自力で禁煙にチャレンジするときは」環境再生保全機構
(※4)禁煙化学「禁煙外来における漢方薬追加処方の効果」野田隆
(※5)くすりのしおり「クラシエ五苓散料エキス細粒」くすりの適正使用協議会
(※6)くすりのしおり「ツムラ桃核承気湯エキス顆粒(医療用)」くすりの適正使用協議会
(※7)くすりのしおり「オースギ抑肝散料エキスTG」くすりの適正使用協議会

[文:あんしん漢方]

医師 木村 眞樹子

医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科にて臨床に従事。
妊娠、出産を経て、産業医としても活動するなかで、病気にならないからだをつくること、予防医学、未病に関心がうまれ、東洋医学の勉強を始める。
臨床の場でも東洋医学を取り入れることで、治療の幅が広がることを感じ、西洋薬のメリットをいかしつつ漢方の処方も行う。
また、医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、漢方のプロがAIを活用して自分に適した漢方薬を選びお手頃価格で自宅に郵送してくれる「あんしん漢方」でも情報発信をしている。

ココカラネクスト

「タバコ」をもっと詳しく

「タバコ」のニュース

「タバコ」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ