3日間、約300件のメールを放置した驚きの結果…「本当に重要な仕事はどのくらいか」の最終結論
2024年12月30日(月)15時15分 プレジデント社
※本稿は、石川和男『要領がいい人が見えないところでやっている50のこと』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
写真=iStock.com/juststock
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/juststock
■華僑のビジネス哲学に学ぶ「仕事における3つの役割」
要領がいい働き方とは?
華僑に学ぶ役割分担の極意!
友人で著者の大城太さん。大物の華僑(かきょう)のもとで超実戦的な修行を積んだそうです。
華僑とは、中国本土以外に住んでいる中国系の人々で、様々な国や地域でビジネスを展開しています。シンガポール、アメリカ、そして日本。華僑の人たちは、その地域で店を開いたり、企業を経営して、地元の経済にも大きな影響を与えています。
そんな華僑の大物から学んだ大城さん。彼の著書『華僑の大富豪に学ぶ ずるゆる最強の仕事術』(日経BP)には、「人脈は広げ過ぎず必要な人との関係を大切にする」「多少値段が高くても友人から商品を買う」「柔軟に対応できるよう、過度な準備をせずに現場での対応力を重視する」「嫌いな人にこそ接近する」「とにかく“借り”をたくさん作る」「人を見るときは目ではなく、口を見る」など、独特の思考や行動原理が書かれています。
そのなかでも特に私が勉強になったのが、華僑のビジネス哲学で、仕事における役割です。それは次の3つの役割に分けることができます。
①お金を用意する人(投資家)
ビジネスに必要な資金を提供する人
②アイデアを出す人(起業家や発案者)
アイデアを考え、計画を立てる人
③手を動かして働く人(実務者)
実際に仕事を進め、具体的な作業を行う人
華僑は「アイデアを出す人」、つまり商売になることを見つけ出し、クリエイティブ能力を発揮し、仕事のアイデアを出すことに注力するタイプが多数を占めます。
■要領が悪い人は自分ですべてやろうとする
新しいビジネスチャンスを見つけ、どのようにしてそのビジネスを成功させるかを日々考えるのです。お金を用意したり、ましてや実際に手を動かして仕事をするのは少数派。
もちろん、華僑のなかには投資家や実務者としても仕事を兼務する人もいますが、一般的には新しいビジネスの機会を見つけ、それを実現するためのアイデアを生み出すことに注力します。
日本の成功者も同じです。
要領がいい人はやらないことを決め、要領が悪い人はすべてやろうとします。
私は、CoCo壱番屋のカレーが好きで何度も食べに行っています。
でも「4辛、チキンカツトッピング ライス200グラム カレーソースはビーフ」という私の注文を、社長自らが聞きにくるわけがありません。
社長はアイデアを考え、出資や融資を株主や金融機関から受け、多くの従業員が働くからこそ、現在、国内1200店舗以上、海外に200店舗以上も展開できているのです。お金を用意し、調理をして会計や営業や宣伝や商品開発をすべてひとりでしていたら1、2店舗で終わっていたことでしょう。
ただし、これは私の持論ですが、アイデアを出すことは、企画部や役員、管理職ばかりではなく、営業、総務、工事……どの職種でも、すべてのビジネスパーソンにとって必要なスキルです。
■「自分の力を最大限に発揮できること」を日々考える
ちょっとした工夫やアイデア次第で、仕事環境は大きく変わります。
営業職なら、GPSを使った移動経路の最適化や、訪問先の優先順位を整理することで1日の営業活動を効率化する企画を提案する。総務部なら、クラウドシステムを活用して情報の共有化とアクセスを効率化し、無駄な手間を省くことを提案する。
たとえ、新入社員であっても「なぜこの作業はこのように行っているのか?」という問いかけを日々行うことで、新たな発見のきっかけになります。
自分の力を最大限に発揮できることを考え、自分は何をやるかを決め、そこに注力する。これは要領のいい人の考え方にも通じます。
出所=『要領がいい人が見えないところでやっている50のこと』
■インターネットひとつで異常な情報量と接する現代社会
SNSに振り回されない! 情報過多時代の働き方改革
・現代の1日の情報量は、平安時代に生きた人々の一生分に相当する
・1分間で送受信されるメールの数は、20世紀初頭の1カ月分の手紙の数に匹敵する
・1日に閲覧されるユーチューブ動画の総再生時間は、過去の全映画の上映時間を超える
この手の話はよく見かけますが、具体的なデータや研究結果に基づいたものではないようです。とはいえ、現代社会の情報の急速な増加と、インターネットやメディアの普及によって、私たちが日常的に接する情報量が異常に多くなったことは確かです。
X、フェイスブック、インスタグラム、リンクトイン、スレッズにクラブハウスなどのSNS。電話、メール、チャット、ライン、ファックスに手紙などの通信手段。テレビ、ラジオ、ユーチューブ、TikTok、ポッドキャスト、ボイシーと、数え上げたらキリがないほどの情報手段があふれかえっています。
仕事が終わってヘロヘロになって自宅に帰る。ソファーに寝そべりながらリモコンでテレビのスイッチを無造作に入れる。
以前は公共、民放にローカルを合わせても数チャンネルから選んでいたのが、Netflix、Amazon Prime Video(アマプラ)、U-NEXTなどのストリーミングサービスを受ければ、いつでもたくさんの番組を視聴することができます。
■「SNSの通知が来たから見に行く」はダメ
一昔前の小さなレンタルビデオショップが丸ごと家に移転して来たような作品数です。まさに現代の1日の番組量は、昭和時代の1000倍以上になっていると言えそうです。
こんな情報過多の時代だからこそ、情報を受け取りまくっていてはキリがありません。
SNSなどの通知をオンにしておくと、連絡が来るたびに仕事の手を止めることになりリズムが崩れてしまいます。
SNSは、「主」ではなく「従」というのが私の持論です。
本業を便利にするツールだったはずのSNSが、本業の邪魔をする存在になっています。情報に振り回される人生は疲れるだけです。通知が来たから見に行くのではなく、自分が決めた時間に見に行く。必要と感じたときに開くことが重要です。
出所=『要領がいい人が見えないところでやっている50のこと』
私はパソコンもスマホもすべての通知をオフにしています。その代わりに、出社時、13時、15時、そして退社前の計4回、自分でチェックしています。もちろん営業課長のように連絡が頻繁に来る人なら30分に1回でもいいですし、新入社員で外からの連絡が少ない人ならもっと減らしても構いません。
■3日間、約300件のメールの中で緊急なものはたった3件
大切な連絡が予想される日は15分に1回でもOKです。自分の立場や状況に合わせて、自由に決めてください。重要なのは、通知に振り回されず、自分の意志でメールなどを見に行くことです。
あとは、前述したとおり60分に1回休憩を取るので、そのときに重要か緊急の連絡が来ていないかを件名を見て確認します。重要か緊急なら開いて返信、それ以外は決まった時間にまとめて返信します。
通知をオフにしているので、すぐに返信はできません。しかし、返信が遅いと言われたことはありません。それどころか著者仲間のビジネス書に「返信の速い人」と紹介されたことさえあります。
石川和男『要領がいい人が見えないところでやっている50のこと』(明日香出版社)
通知に振り回されることなく、自分で決めた時間に確認し、それまでは目の前の仕事に集中する。「先方への返信を速くしなければ」と焦らなくても大丈夫です。
インバスケット・コンサルタントの鳥原隆志氏が、3日間メールを放置する実験を行いました。すると、約300件のメールの中で、緊急なものは電話がかかってきてすぐに対応できました。そのほか業務上影響があったのは、300件中たったの3件だけだったそうです。
3日間でもそうなのです。1時間に1回でも確認すれば大きなトラブルになることはありません。通知をオンにしてそのたびに確認していると、仕事のリズムは崩れ、仕事の進みも遅くなり要領が悪い人になってしまいます。
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石川 和男 (いしかわ・かずお)
建設会社総務経理担当役員、税理士、作家
建設会社総務経理担当役員を本業に、税理士、明治大学客員研究員、ビジネス書著者、人材開発支援会社役員COO、一般社団法人 国際キャリア教育協会理事、時間管理コンサルタント、セミナー講師、オンラインサロン石川塾主宰(受講者数250名)と9つの肩書で複数の仕事を同時にこなす。
著書に累計35万部突破で、『仕事が速い人は、「これ」しかやらない』(PHP研究所)、『仕事が「速いリーダー」と「遅いリーダー」の習慣』(明日香出版社)、『Outlook最強の仕事術』(SBクリエイティブ)など。
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(建設会社総務経理担当役員、税理士、作家 石川 和男 イラストレーション=末吉喜美)
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