焼岳 火山性地震の多い状況続く 8日(土)には傾斜変動を観測
2025年3月9日(日)10時0分 ウェザーニュース

2025/03/09 09:46 ウェザーニュース
長野県と岐阜県にまたがる火山「焼岳(やけだけ)」では火山性地震の多い状況が続いています。昨日8日(土)には一時的な傾斜変動も観測されました。噴火警戒レベル2(火口周辺規制)が継続中で、想定火口域から概ね1kmの範囲では火山弾と呼ばれる大きな噴石に警戒してください。
火山活動の状況及び予報警報事項
4日(火)に噴火警戒レベルが2に引き上げられた焼岳では火山性地震の多い状況が続いています。6日(木)には56回、7日(金)は60回を観測しました。昨日8日(土)は14回と地震回数は減少したものの、2時16分頃の地震の後には山頂方向が上がるわずかな傾斜変動が一時的に観測されました。
人工衛星からのGNSS連続観測では、山頂付近で緩やかな膨張を示すと考えられる変化が続いており、中長期的に火山活動が高まってきています。山頂付近の噴気の状況には特段の変化は認められていません。
引き続き、想定火口域から概ね1kmの範囲に影響を及ぼす噴火が発生する可能性がありますので警戒が必要です。
▼対象市町村等
火口周辺警報:入山規制等
長野県松本市 岐阜県高山市
傾斜変動とは?
火山の周辺では地下のマグマや火山ガスの動きによって、地盤の隆起、沈降などの地殻変動が生じることがあります。地殻変動を捉えるために傾斜計と呼ばれる微小な地面の傾きを測定する装置を設置し、その変化を観測しているのです。
「山頂方向が上がる傾斜変動」はマグマの上昇や火山ガスの圧力の増加などを要因として、山体が膨らんだことを捉えたとみられます。
今回は一時的な変化でしたが、こうした変動が継続すると噴火の前兆となることがあるため、より警戒が必要です。
防災上の警戒事項等
想定火口域から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石(火山弾)に警戒して、地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。
噴火時には、風下側では火山灰だけでなく小さな噴石(火山礫)が風に流されて降るため注意が必要です。
**(参考:噴火警戒レベルの説明)**
【レベル5(避難)】:危険な居住地域からの避難等が必要。
【レベル4(高齢者等避難)】:警戒が必要な居住地域での高齢者等の要配慮者の避難、住民の避難の準備等が必要。
【レベル3(入山規制)】:登山禁止や入山規制等危険な地域への立入規制等。状況に応じて高齢者等の要配慮者の避難の準備等。
【レベル2(火口周辺規制)】:火口周辺への立入規制等。
【レベル1(活火山であることに留意)】:状況に応じて火口内への立入規制等。
(注:避難や規制の対象地域は、地域の状況や火山活動状況により異なる)
写真:気象庁 火山監視カメラ