避難や求職で離れても「故郷との絆忘れないで」…能登の被災者らに「ミニコミ紙」広がる

2025年4月2日(水)15時0分 読売新聞

金蔵新聞の最新号を住民に配る井池さん(中央)(3月27日、石川県輪島市で)

 能登半島地震後、仮設住宅や避難先で生活する同郷の住民に地元の現状を知ってもらおうと、被災者らが独自にミニコミ紙を発行する動きが広がっている。避難や求職で地区を離れる人もいるなか、「故郷との絆を忘れないでほしい」と復興の状況や祭事などを伝えていく。(武山克彦、佐野真一)

「見守り」にも

 石川県輪島市の金蔵かなくら地区の集会所で3月27日、「金蔵新聞」の第6号が配られた。手にした住民たちは紙面に映える花の写真に「きれいやね」と話しながら、仮設道路の完成や祭りの開催を伝える記事に笑顔を見せた。仮設住宅で暮らす女性(78)は金沢市で一時的に避難生活を送っていたが、「自分が金蔵の住民ではなくなった気がしたが、この新聞のおかげで地元の様子を知ることができた」と振り返る。

 金蔵新聞はNPO法人の協力を得て昨年4月29日に創刊し、2、3か月に1度のペースで地区内外に届けられる。53世帯95人いた住民は地震後に半減したが、編集を担当する井池光信区長(69)は「地元のニュースを知ることで、愛着を持ち続けてほしい」と言う。配布は見守り活動にもつながっている。

正確な情報を

 輪島市深見町地区でも、住民有志が昨年3月から「深見町復興ニュース」を定期的に配っている。避難先では混乱から情報が錯綜さくそうした教訓もあり、深見町復興協議会の佐藤克己代表(58)らが「正しい情報に触れることで、少しでも安心してほしい」とこれまでに10回ほど発行した。道路の復旧状況やイベントなどが掲載されている。佐藤さんは「ポケットに入れて持ち歩いてくれる人もいる」と話す。

広がる発信

 金蔵新聞を知った住民の提案で、南志見なじみ地区でも4月から公民館の広報誌を活用して「なじみ今が分かるかもつうしん」を発行し、地域密着の情報を届けていく。里町団地の古酒谷こざかや政幸区長(77)は「子どもたちの声も掲載し、明るく親しみやすくしたい」と語る。

 珠洲市北部の大谷地区でも昨夏から、「外浦地区たより」が発行されている。市の広報誌に折り込み、月1回200部ほどを配布している。編集作業を担う地元のNPO法人代表の重政辰也さん(37)は「避難先での情報不足から、住民同士の分断が生じることがないように取り組みたい」と力を込める。

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