雷をドローンに落とせ…わざと落雷させて地上被害なくす実証実験にNTTが成功、世界初

2025年4月18日(金)15時0分 読売新聞

実証実験に使用したドローン=NTT提供

 雷をドローンに落とせ——。ドローンを雷雲に向けて飛ばし、わざと落雷させて地上への被害をなくす実証実験に世界で初めて成功したと、NTTが18日発表した。ドローンは雷の直撃に耐えられる構造をしており、何度でも飛行できるという。「空飛ぶ避雷針」として、2030年頃の実用化を目指す。

 市販の大型ドローン(2・3メートル四方、重さ10キロ・グラム)を改造し、機体の周りをアルミ線で囲って雷を誘導する仕組み。

 実験は昨年12月、標高900メートルの島根県浜田市の山間部で行った。安全な建物内からドローンを目視で操作して、雷雲が接近したタイミングで高度300メートルまで上昇させ、機体から延ばした金属製ワイヤを地面に接地したところ、落雷が発生した。

 電流を地上に逃がすことでドローン自体は損傷せず、安定飛行を続けて無事に着地。機体が一般的な雷の約5倍に相当する150キロ・アンペアの電流を受けても、故障や誤作動を起こさないことも確認した。

 避雷針の設置が難しい屋外のイベント会場や風力発電用の風車などでの活用を想定する。

 今月10日には奈良市の学校グラウンドに落雷し、部活動中の中高生6人が救急搬送された事故が発生。開発チームのNTT宇宙環境エネルギー研究所の長尾篤・主任研究員は「雷の発生予測精度を向上させる研究も同時に進め、街や人を雷から守りたい」と話した。

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