葉桜の季節「酷暑の足音」…混み始めてきたエアコン売り場、例年より「2か月早まった」

2025年4月23日(水)16時55分 読売新聞

強い日差しの中でバスを待つ人たち(21日、甲府市で)

 満開だった桜が葉桜に変わりつつある山梨県内に、早くも酷暑の足音が近づいている。19日には観測開始以来3番目に早い真夏日を観測。21日も甲府市などで29度を超えるなど、6〜7月並みの気温が続いた。今夏は平年よりもさらに気温が高くなるとの予想もあり、迫り来る真夏を前に、各家庭では冷房機器の電気代への懸念が高まり、自治体や農家は準備や対策に追われている。(加藤慧、次井航介)

 21日は甲府市、山梨県甲州市で29度を超えたほか、身延町や韮崎市でも28度超を記録するなど各地で真夏日に近い気温となった。

 笛吹川フルーツ公園(山梨市)では、猛烈な日差しの中、子どもたちが水遊びで涼をとる姿がみられた。子ども2人と訪れた甲州市、自営業の女性(33)は「エアコン代の節約も兼ねて訪れました」と話し、「電気代も上がり、早い時期にここまで暑くなるのは家計に打撃。熱中症に気を配りつつ、節約して夏を乗り切りたい」と汗を拭った。

 甲府地方気象台によると、6〜8月の関東甲信地方の平均気温は平年に比べ高くなると予測。5月も気温が高い状態が続く見込みだ。

 甲府地区消防本部によると、20日には甲斐市で70歳代男性が河川の清掃中に吐き気などを訴えて搬送されたといい、熱中症になったとみられている。同本部の石川賢治係長は「急激な気温上昇で、気がつかないうちに熱中症になることもある。4、5月だからとあなどらず対策を取ってほしい」と呼びかける。

 ここ数日の暑さを受け、家電量販店ではエアコンを買い求める客が押し寄せている。「ヨドバシカメラマルチメディア甲府」(甲府市)で家電担当を務める橋本遼太郎さん(31)は「例年、エアコン売り場は6月に混み始めるが、2か月ほど早まった印象」と打ち明け、「電気代の高騰もあって省エネモデルが特に売れている」と話す。

 自治体も対策を急いでいる。山梨市では23日から、暑さをしのげる避難施設「クーリングシェルター」を開設する。2023年から毎年開設しており、当初は市役所や支所など4か所のみだったが、今年は民間にも協力を依頼し、銀行やスーパーなど35か所に増やした。市健康増進課の望月誠課長補佐は「電気代高騰でエアコンの使用をためらう高齢者も多い。涼みに来るだけでも良いので、ぜひ活用してほしい」と話す。

 農家は暑さ対策に頭を抱える。甲州市勝沼町菱山のブドウ園「ぶどうばたけ」の代表三森斉さん(60)によると、近年は酷暑で「巨峰」や「クイーンニーナ」といった人気品種の色付きが悪くなっているという。

 5年ほど前から、ブドウを直射日光から守る「傘かけ」の紙を二重にしたり、夕方に散水を行ったりして農園の温度を低くする対策を打っているが、毎年色付きの悪い房が出てしまうという。

 JA山梨みらい(甲府市)や県によると、高騰が続くコメや野菜の品質が落ちたり、収穫量が減る可能性もあるといい、農家に定期的な水やりや換気の徹底などを呼びかけている。

 ただ、三森さんのブドウ園では約10年前に比べ、暑さ対策にかかる費用が2〜3割増加しているといい、「農家にとって昨年より厳しい夏になるだろう。やれることは全てやっており、これ以上暑くなったら手の打ちようがない」とため息をついた。

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