「体重は今、120キロくらい」相撲協会を退職した貴乃花(52)が語る“意外な食生活”と、再婚後も苦しんだトラウマの克服法とは
2025年4月25日(金)12時10分 文春オンライン
細雪が舞う中、半島の山間部に差し掛かると、起伏の激しい迂回路が幾度も現れる。崩落した路面を横目に、元横綱貴乃花こと花田光司氏(52・以下、貴乃花)は、自らレンタカーのハンドルを握り、「のと里山海道」を北上した。

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2月19日。貴乃花は妻のA子さんと一緒に、石川県の能登半島北部にある能登町鵜川を目指した。
2020年の暮れ、貴乃花はテレビ番組の企画で能登町の寒ブリ漁を体験。以来、地元の漁師集団「日の出大敷」の5代目網元である中田洋助さん(38)との交流が続いていた。
「県産最高級ブランドの寒ブリ『煌(きらめき)』が獲れる定置網漁の土地。漁師は相撲と同じく師匠と弟子のいる世界で、網を引く作業はまわしを引く動作に通じるものがありました。昨年元日、能登半島地震が起きてすぐ中田親方に連絡すると、幸いご自宅やご家族は無事とのことでした。ただ、各地で大きな被害が出ていると聞き、能登の人たちと美しい景色が傷ついたことに心が痛みました。中田親方たちとは悲願の再会でした」
能登は他人事ではない
金沢市を出発して2時間半。鵜川漁港で中田さんと合流した貴乃花夫妻は、能登町の宇出津(うしつ)港、さらに北上し、被害が甚大だった珠洲(すず)市内を見て回った。
「積雪が覆い隠していましたが、不自然な更地は、もともと建物があった場所だと教わりました。手付かずのまま残っている傾いた家屋も。実際に見て痛感したのは、発災から1年以上が経つのに、復旧、復興が遅いこと。より多くの人に自分の目で現状を見てもらいたい。関東をはじめ、日本ではいつ大地震が起きてもおかしくない。決して他人事ではありません」
能登から戻り、あらためて「週刊文春」の取材に応じた貴乃花。話題は被災地慰問のみならず、愛妻や元弟子たちへの思い、世の関心事まで多岐にわたった——。
父と輪島さんの思い出
能登を訪れた日は偶然にも、父親である元大関・初代貴ノ花(故人)の誕生日。
「能登といえば、親父と仲のよかった元横綱の故・輪島さんの故郷。親父と輪島さんは、現役引退後、2人で資生堂のCM共演もしていました。親父の遺品を整理している時、輪島さんからもらった奥能登伝統の輪島塗がいくつも出てきたことを思い出しました」
七尾市出身の輪島は角界唯一の大卒横綱であり、幕内優勝は14回を数える。
「親父は輪島さんとの思い出話を楽しそうにしていましたね。現役時代の輪島さんは、取材で稽古の様子を撮ってもらい、記者さんが帰ると、本人も帰っちゃったそうです。親父によれば『あいつは天才。まともに稽古をしたら、大横綱になっていた』と」
初恋の人と再婚。「今はストレスなく生活ができています。」
平成の大横綱と呼ばれた貴乃花が日本相撲協会を去ってはや6年半。 一昨年の夏に再婚した1つ年上のA子さんは、10代の頃に交際した初恋の人でもある 。
「妻には目いっぱい支えてもらっています。素直な自分を出せる存在。相撲協会にいた頃は、これまで自分が培ってきたものに嘘をつきたくなくて、歯を食いしばって生きていました。あのまま残っていたら、命がもたなかったかもしれないし、やめたからこそ妻とも再会できた。亡くなった妻の前のご主人と私の親父に線香をあげ、手を合わせるのが日課です」
再婚後も、前触れなく辛い過去が脳裏に蘇り、苦しむことがあった。幼少期からの記憶だ。そこで“アニマルセラピー”を提案してくれたのが妻だった。
「動物の力を借りてはどうかと、雄と雌のボストンテリアを飼い始めたんです。いま1歳4カ月と1歳ちょうど。毎日散歩したり、走ったりしています。ワンちゃんたちに癒されて、今はストレスなく生活ができています。ご飯も妻と家で食べるのが楽ですね。3食しっかり食べているので体重は今、120キロくらい。もう少し落とすつもりです」
愛弟子が現役を引退
一時は敬遠していた大相撲中継の視聴も妻と共に楽しんでいる。中継の音声を消し、取組をA子さんに解説しているという。
昨年9月、愛弟子だった元大関の貴景勝(現・湊川親方)が現役を引退。
「あの子は頑張り屋さん。よくやったと思います。貴景勝が自分の実力で親方として生き残ってくれた。お互い連絡を取ることはないですし、もう私が言うことは何もありません。人生はこれからの方が長い。武士道精神を持った弟子を育ててほしいと願っています」
現役力士の中で“貴”の字を継ぐ元弟子は、これで貴健斗のみ。最高位は十両四枚目、現在は幕下だが、
「貴健斗がもう一度、関取に上がってくれたら、私は大相撲にもう何も思い残すことはありません。私の元後援会の人にも、弟子を応援してやってくださいと伝えています」
“漢気”を見せてほしかった
貴乃花が注目している力士は、苦楽を共にした元兄弟子・貴闘力忠茂氏の子供たち。新横綱の豊昇龍らと今年初場所で三つ巴の優勝争いを演じた三男の王鵬、四男で幕下の夢道鵬の兄弟だ。2人は元横綱の大鵬の孫でもある。
「力関(貴闘力)の子たちは応援していますね。ともに華のある力士になれると思っています。貴景勝の内弟子だった若ノ勝も、子供の頃から知っています。次の3月場所では新十両。期待しています」
一方、今年に入って最も印象に残った話題のひとつが、10時間を超えたフジテレビの記者会見だ。
「妻と一緒に9時間近く辛抱して見ていたんです。実質トップの日枝久さんはいつ出てくるんだろうかと思って。フジテレビとは前妻(河野景子さん)との結婚式や引退相撲を中継していただいた縁もあります。フジといえば日枝さん。個人的なお付き合いはなかったですが、ご自身が出てきて話す“漢気”を見せてほしかった」
その弁舌は、フジの危機と深く関わる中居正広、そして「週刊文春」が性加害疑惑を報じた松本人志にも及んだ。
「同い年の中居さんとは5年ほど前、『金スマ』の土俵作りや田植えをするロケでご一緒しましたし、松本さんにも『ガキ使』や『ドキュメンタル』で芸人の世界を学ばせてもらいました。番組に呼んでいただき、感謝の気持ちはありますが、お2人ともテレビに出て活躍してこられた方。誰かを傷つけたのであれば、ケジメとして、表に出てきて話してほしかったですね」
知見を深めるため、YouTube番組も幅広くチェック
個人の活動としては、講演や「一般社団法人 貴乃花」の会員向け懇親会で土俵文化や自身の研究テーマを中心に発信している。
「私は相撲を通じて体を鍛え、痛めてきましたし、医学や体の仕組みに興味があるんです。学んでいくと点と点が線になる感覚がある。最近は経絡の勉強をしています」
知見を深めるため、政党やインフルエンサーなどのYouTube番組も幅広くチェックしているが、中でもお気に入りは——。
「元テレビ朝日アナウンサーで弁護士の西脇亨輔さんの番組です。裏表のない人柄がいいですし、『朝刊全部買ってみた』シリーズとか、世の中のことがとても勉強になります」
また、これと決めたらとことん突き詰めるのが、貴乃花の性分である。
「講演の資料作りで『Googleスライド』を使うようになったんです。伝えたいことが多すぎて、試行錯誤しているうちに、パソコンに向かったまま数時間経っていることも。妻も声をかけられないほど集中しちゃっているみたいで。でも、自作した資料の出来は横綱にはほど遠いです。まだ前頭五枚目といったところでしょうか」
よき理解者のA子さんを伴い、貴乃花は第二の人生も我が道を歩んでいる。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2025年3月6日号)
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