大阪・西成で児童7人負傷、車から引きずり出された容疑者は放心状態で立ち尽くす…事件2日前に車をレンタル

2025年5月2日(金)15時0分 読売新聞

警察官や保護者らに見守られながら登校する児童たち(2日午前、大阪市西成区で)=前田尚紀撮影

 大阪市西成区の市立千本小学校前で車が児童の列に突っ込み、7人が重軽傷を負った事件で、殺人未遂容疑で逮捕された無職矢沢勇希容疑者(28)(東京都東村山市)が事件2日前の先月29日、JR新大阪駅近くのレンタカー店でスポーツ用多目的車(SUV)を借りていたことが捜査関係者への取材でわかった。事件で使われた車で、大阪府警が事件前の詳しい足取りを調べている。

 発表によると、矢沢容疑者は1日午後1時35分頃、西成区の市道で、大阪ナンバーのレンタカーのSUVを運転し、下校中の児童の列に突っ込んで7人に重軽傷を負わせたとして現行犯逮捕された。調べに「全てが嫌になったから、数人の小学生をひき殺そうとした」と供述。「以前は放射線技師をしていた。4月に辞めた」とも述べているという。

 捜査関係者によると、矢沢容疑者は先月29日午後7時半前、JR新大阪駅近くの店舗で、白色のSUVを借りたという。別の関係者によると、返却予定時刻は事件当日の1日午前8時だったが、期限までに返却されなかった。店側は矢沢容疑者に対し、同日午前10時半前と同11時、事件直前の午後1時半の計3回、電話をかけたが、つながらなかったという。

 矢沢容疑者は自宅のある東京から大阪に来たとみられるが、到着日時や経路は明らかになっておらず、府警が詳しく調べる。

 一方、事件の目撃者が府警に対し、「直前にブレーキランプは点灯していなかった」と証言していたことも捜査関係者への取材で判明した。

 捜査関係者によると、目撃者は、府警OBで同小の生活指導支援員の70歳代の男性。当時、正門付近で見守り活動をしていた。車は児童らに衝突後、停車。男性は車のドアを開け、矢沢容疑者を取り押さえた。現場にブレーキ痕はなかったという。

 府警は、矢沢容疑者がブレーキをかけずに児童の列に突っ込んだとみて、防犯カメラ映像の解析を進めている。

 また、府警は2日、当初、7人のうち1人が重傷、6人が軽傷としていたが、6人のうち2年の男児(8)が左腕を骨折しており、重傷だったと発表した。

容疑者は慌てる様子なく

 事件直後、現場に駆けつけた近隣住民らによると、矢沢容疑者は一貫して放心した様子だったという。

 児童の脚が後輪の下敷きになっており、住民の男性(23)が助手席を開けて「バックしろ」と指示すると、無表情でうなずき、後進。男性は「慌てる様子がなかった」と振り返る。

 降車を呼びかけてもすぐには応じず、約10分後に引きずり出されると、何もしゃべらず、立ち尽くしていた。小学校関係者から運転免許証を求められると、おとなしく差し出したという。

「車が怖い」…保護者の付き添いで登校

 千本小では2日午前8時頃、警察官が見守る中、児童らは保護者に付き添われて登校した。

 2年の娘を校門まで見送った近くのパート職員の女性(30)は「娘は事件の時に学校内にいて、音や声を聞いていたようだ。『車が怖い』と話しているので、しばらく送り迎えをする」と話した。3年と1年の子どもが事件を目撃したという母親(37)は「今後精神面のケアをどうすればいいのか」と不安そうだった。

 市教育委員会によると、千本小では、不安を訴えて休む児童もいた。同小はこの日朝、全校集会を開いて事件について説明し、市が緊急派遣したスクールカウンセラー2人を紹介したという。

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