日米関税交渉 具体化した論点で前進を図れ

2025年5月4日(日)5時0分 読売新聞

 日米の関税交渉は、具体的な論点の議論に入った。日本政府は国益を守ることを大前提に、米国側と一致点を探っていってもらいたい。

 訪米した赤沢経済再生相は、ベッセント米財務長官らと2回目の関税交渉に臨んだ。「日米間の貿易拡大」「非関税措置の見直し」「経済安全保障面での協力」といった互いに関心を持つ分野で、突っ込んだ議論を行った。

 赤沢氏は、米政府が導入した相互関税や自動車への25%の追加関税などの見直しを強く求めたという。為替や防衛に関係する安全保障は議題にならなかった。

 今回の交渉について赤沢氏は、「可能な限り早期の合意に向けて前進した」と評価した。交渉の進め方などを互いに確認したのだろう。5月中旬以降には閣僚級協議を集中的に行う予定だ。

 6月にカナダで開かれる先進7か国首脳会議(G7サミット)に合わせ、日米首脳会談が開かれて一つの節目となる可能性がある。整理した論点を踏まえ、合意内容を詰めていくことが大切だ。

 日本政府は、米国が関心を示す自動車の非関税障壁と農産品について交渉材料を精査してきた。

 今回、米国産のトウモロコシと大豆の輸入を拡大することや、米国車の輸入を増やすために安全審査を簡略化する対象枠を広げることを提示したという。

 米国は中国との報復関税の応酬が激化し、農産品の輸出量が減少している。日本の輸入拡大は米国にとって恩恵が大きいだろう。

 また、日本の対米投資額の積み増しや、経済安保上、重要な半導体や造船といった分野での協力関係を議論した可能性もある。

 米国側には苦しい事情も見える。国債などがトリプル安に見舞われて、相互関税は一部の適用を7月上旬まで90日間停止した。

 米経済は1〜3月に3年ぶりのマイナス成長に陥っている。国民にインフレへの不満が高まっていることも懸念材料だ。

 トランプ米大統領は、日本などとの交渉について、「彼らは我々を求めているが、我々は彼らを必要としていない」と述べ、交渉を急がない姿勢を示した。

 揺さぶりをかけているようだが、早期の合意で成果を得たいとの思いものぞかせた形だ。

 一方、米国側は、協議対象は相互関税の上乗せ分だけで、自動車関税などは対象外と主張したという。受けいれがたい姿勢である。日本は譲れない一線を確認し、協議を進めていくことが重要だ。

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