「自分も一歩手前だったかも…」人気精神科医が解説する「陰謀論にハマりやすい人」の危ない特徴
2025年5月7日(水)7時10分 ダイヤモンドオンライン
「自分も一歩手前だったかも…」人気精神科医が解説する「陰謀論にハマりやすい人」の危ない特徴
YouTubeチャンネル「精神科医がこころの病気を解説するCh」で、メンタルの病気について発信し続けている、早稲田メンタルクリニック院長の益田裕介医師。本記事では、日韓累計40万部を突破したベストセラー『人生は「気分」が10割 最高の一日が一生続く106の習慣』(キム・ダスル著、岡崎暢子訳)の邦訳1周年を記念して、益田裕介医師に気分とメンタルの関わりについてインタビューを行った。本記事では、陰謀論にはまりやすい人の特徴について精神科医の視点から解説する。(取材・文 ダイヤモンド社書籍編集局)
Photo: Adobe Stock
「知的ドーパミン中毒」かも
——最近、陰謀論にハマる人が増えているように感じます。精神科医の目から見て、これはどういう現象なのでしょうか?
益田裕介(以下、益田) 今、本当に多いですよ。昔だったら、ああいうことを言ってる人を見ると、精神的な不調を疑われたりもしていましたが、最近はもっと日常的になってきています。
背景にあるのは、「分からないことが増えている」という状況です。世の中が複雑すぎて、何が本当か分からない。
そんなときに、誰かが単純で分かりやすい説明をしてくれると、「分かった!」って感じがして、すごく気持ちがいいんですよね。
たとえば、「なんで生活がこんなに苦しいの?」ってときに、「財務省が悪い」「国が全部仕組んでる」みたいな説明をされると、納得した気になる。
いわば「知的ドーパミン中毒」とでも呼べるもので、何かを発見したときの快感がクセになっていくんです。
——そもそも陰謀論にハマることで、何が問題になるのでしょうか?
益田 いちばんの問題は、「思考が止まってしまう」ということです。
本来、世の中のことは少しずつ理解を積み上げていくものなのに、「これが真実だ!」って言い切ってしまった瞬間に、そこで学びが止まってしまう。
結果として、知識がつかなくなり、変化にも対応できなくなる。だから、どんどん騙されやすくなるし、視野も狭くなっていくんです。
「憎悪」でつながる人々
——陰謀論にハマる人には、どんな特徴があるのでしょう?
益田 まず、EQの低さがある場合もあります。EQというのは、優しさとか我慢強さとか、気持ちの安定みたいな“心の知性”ですね。
でもそれだけじゃなくて、孤立感や社会への悔しさ、ヘイトみたいなものを抱えている人も多いですね。社会の中でうまくいかないことが多かった人、居場所がなかった人。
陰謀論って、「共通の敵」を作るから、人と人がつながりやすいんです。「財務省が悪いよね」って言えば、同じ考えの人とすぐに仲間になれる。
野球の話題とか雑談はできないけど、「悪口」なら話せるって人もいる。だから孤立していた人ほど、陰謀論で人とつながれるっていう皮肉な構造があるんです。