トランプ政権がハーバード大の留学生受け入れ認定停止発表…「キャンパスで反ユダヤ主義助長した責任問う」

2025年5月23日(金)12時10分 読売新聞

ハーバード大のキャンパスを歩く人たち(4月15日、米マサチューセッツ州)=ロイター

 【ニューヨーク=金子靖志】トランプ米政権は22日、名門ハーバード大に対し、留学生の受け入れに必要な連邦認定を取り消すと発表した。同大は新たな留学生を受け入れられず、在籍中の留学生も滞在資格を維持するには他大学への転校が求められる。日本人留学生を含む約6800人に影響が及ぶ恐れがある。

 取り消しの理由について、国土安全保障省のクリスティ・ノーム長官は22日の声明で「ハーバード大がキャンパス内で反ユダヤ主義を助長したことや、中国共産党と協調した責任を問うためだ」と説明した。同省の発表によると、中国を巡っては「ウイグル族の虐殺に加担した準軍事組織のメンバーを受け入れた」としている。今回の措置は「全ての大学と学術機関に対する警告だ」と強調し、留学生が同大にとどまれば「合法的な米国の滞在資格を失う」と通告した。

 同大によると、現在140以上の国・地域の学生らを受け入れており、日本人の留学生や研究者は260人。国別で最多の中国が2126人で、インド788人、カナダ769人と続く。

 トランプ政権は反ユダヤ主義対策が不十分だとして3月以降、名門大への資金を相次ぎ凍結しており、ハーバード大は4月に22億ドル(約3200億円)の補助金が凍結された。これに同大が反発し、政権を提訴するなど対立が深まっていた。

 政権が同大の留学生受け入れ停止に踏み切った背景には、大学の収入源をさらに狭めることで支配力を強める狙いがある。同大の在学生のうち留学生は27%を占め、学部生の年間授業料は約5万9000ドル(約850万円)に上っており、留学生の受け入れは重要な収入源となっている。

 ノーム氏は声明で「ハーバード大が留学生を受け入れ、高額な授業料から利益を得て数十億ドルの基金を膨らませることは権利ではなく特権だ」と非難した。

 ハーバード大は政権の認定取り消しに対し「違法だ」と反発し、「大学のコミュニティーと我が国に深刻な損害を与える恐れがある」と批判した。「国外の学生と研究者を引き続き受け入れていくよう力を尽くす」と強調しており、留学生の受け入れ継続に向けて法的対応を検討している。

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