「市販薬と似ている風邪薬や湿布を保険適用から除外を」維新の医療費削減案に財務省の本音は?
2025年5月26日(月)7時0分 文春オンライン
政治の中心地、東京・霞が関から“マル秘”政界情報をくわしくお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「 霞が関コンフィデンシャル 」。最新号から、ダイジェストで紹介します。
新川次官続投のけじめ
今夏の幹部人事を前に、財務省では在任1年目の新川浩嗣次官(昭和62年、旧大蔵省入省)と、宇波弘貴主計局長(平成元年、同)が揃って続投するとの見方が強まっている。背景にあるのは、来年度予算案までに解を出す必要がある“難題”の存在だ。
石破茂政権にとって通常国会における最大の関門だった2025年度予算は、現憲法下で前例のない参院での修正を経てなんとか成立した。例年ならば財務省にはしばらくのんびりムードが漂うが、今年は様相が異なる。「103万円の壁」見直しによる所得税の減収に加え、日本維新の会による高校授業料の無償化費用として1000億円余りの歳出を追加計上。来年度以降も見据えれば、無償化の拡大に向け、毎年6000億円程度を見繕う必要がある。財政上の均衡を図るなら、「年収の壁」見直しの減収分に無償化費用を合わせると、単純計算で1兆円以上の財源確保が求められるのだ。

そうした中で、維新が財源の捻出策として声高に叫ぶのが、「OTC類似薬」である。市販薬と効果が似ている風邪薬や湿布を保険適用から除外することで医療費を削減する算段だが、日本医師会は「重大な危険性が伴う」として大反対。実現は容易ではない。
こうした難局を前に、新川、宇波両氏の留任が囁かれているのだ。2人の歩んだキャリアは共通点が多く、新川氏は安倍晋三政権、宇波氏は岸田文雄政権でそれぞれ首相秘書官に就任。官房長を経て主計局長に就いた。宇波氏が「次の次官」であることは、ほぼ衆目の一致するところである。
両氏は、年金や医療制度を受け持つ厚生労働第一担当の主計官も務めた。この担当は一般会計歳出の3割程度を占める社会保障関連予算を預かるため、厚労省や日本医師会からも一目置かれる立場。さらに言えば宇波氏は、数年前から維新の前原誠司共同代表とも定期的に懇談の場を設けてパイプを築いている。社会保障に明るい2人で「無償化とOTCの“けじめ”を付けてもらわねば」(省幹部)というわけだ。
《 この続き では、OTC類似薬の保険適用除外について、財務省と自民党の本音を分析しています》
※本記事の全文(約5500文字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2025年6月号に掲載されています( 霞が関コンフィデンシャル )。全文では、下記の内容をお読みいただけます。
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(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2025年6月号)
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