「人間関係で悩んでいる」という相談に"まずは気分転換しよう"は大間違い…本当に優しい人がすること

2024年2月24日(土)15時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Yue_

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相手に優しくしても、優しいと思われない人は何が原因か。精神科医の和田秀樹さんは「優しさというのは、相手のためにならなければ、優しさにはならない。男女がデートなどで食事をする場合、女性は『どんな店に連れて行ってくれるか』という期待と『自分の知らない店に行ってみたい』という願望があるため、『どこの店がいい』と女性に聞くような男性は、その2つを見事に打ち砕きすぐに『優しくない人』に分類される」という——。

※本稿は、和田秀樹『なぜか人生がうまくいく「優しい人」の科学』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。


写真=iStock.com/Yue_
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■優しさが空回りしてモテない男性の共通点


ほとんどの男性は、女性に優しくすることが「モテる男」の条件と考えていますが、どんなに優しくしても、女性から愛されない男性もいます。


周囲の人から、「あの人はイケメンだね」と言われている人であっても、例外ではありません。


これは一体、どういうことでしょうか?


その原因は、男性が「優しさ」と思い込んでいる言動が、女性には「優しくない」と映っていることにあります。


男性が「相手のため」と思ってやっていることが、逆に裏目に出ているケースが少なくないのです。


日本人の男性に多いとされる3つのパターンを紹介します。


男性にとっても、女性にとっても、日常的な「あるある」だと思います。


【ケース①】女性に決定権を委ねて、自分の意見を言わない男性

最も多いのが、「女性の意思を尊重する」ことが優しさと思い込んで、すべての決定権を相手に委ねてしまうことです。


旅行先を決めたり、どこかへ食事に行く際に、よくあるパターンです。


【女性】今度の休みは、どこに行こうか?
【男性】そっちの行きたいところでいいよ
【女性】私は京都がいいな。どこかある?
【男性】すぐには思いつかないな
【女性】じゃぁ、京都でいい?
【男性】京都には詳しくないけど……


男性は女性の考えを大事にして、それを「最優先」することを大事にしています。


すべての決定権を女性に委ねることが、女性に対する優しさだと思っているからですが、こうした対応をされると、女性は「優柔不断な人だな」とか、「自分の意見はない人なのかな?」と感じてしまいます。


男性が考える優しさを、女性は「物足りない」と受け取ってしまうのです。


「彼女は何を望んでいるんだろう?」と考えることは大事ですが、それだけでは相手を不安にさせるだけです。


女性によっては、「黙って俺についてこい」的な強気な言動を好む人もいるでしょうが、多くの女性が「一緒に考える」くらいの協調的な姿勢は見せてほしいと思っています。


優しさが空回りしている男性は、こうして恋愛対象から除外されているのです。


■相手に迷惑な「リフレッシュ法」を提案していないか


【ケース②】優しさが「的外れ」な方向に走ってしまう男性

女性が悩みを打ち明けたときなどに、意外と多くの男性がやってしまうのが、「的外れ」な方向に優しさが走ることです。


「自分では何もしてあげられないな」という思いが、的外れを誘発しています。


【女性】最近、人間関係で悩んでいるの
【男性】そうなの?
【女性】職場の先輩とトラブルがあって
【男性】そりゃ、大変だね
【女性】明日、先輩と顔を合わせるのイヤだな
【男性】じゃあ、映画でも観て気分転換する?


男性が示したのは、女性のモヤモヤをスッキリとさせてあげたい……という優しさですが、一番の問題は女性の悩みをスルーしていることです。


女性は、自分が抱えている悩みを「相談したい」と思って話しかけていますが、男性は合理的に考えて、「職場のことであれば、自分は役に立てない」と結論を出して、リフレッシュ法を提案しているのです。


男性にとっては合理的な考えであっても、女性にとっては「物足りない」を通り越して、「迷惑」な優しさとなります。


自分の悩みを一緒に考えてくれないことに不満を感じるだけでなく、「こんな気分で映画を観ても、楽しめる気がしない」ということを、男性が理解していないことに、怒りすら覚えるからです。


こんなことが続くと、女性の気持ちは次第に男性から離れていきますが、多くの男性は、なぜ女性がそんな気持ちになるのか、まったく理解できないのです。


写真=iStock.com/Arisara_Tongdonnoi
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Arisara_Tongdonnoi

人間の本性が現れる決定的な瞬間


【ケース③】ピンチに遭遇したとき、頼りにならない男性

緊急事態が発生したり、何らかのピンチに遭遇したとき、女性は堂々とした振る舞いを男性に期待しています。


その頼もしい姿に、男性の優しさを感じる人もいると思います。


二人でコンサートに行くために、最寄りの駅で電車を待っていたところ、何らかのトラブルが発生して、電車が止まってしまいました。


復旧のメドは立っておらず、タクシー乗り場には大行列ができています。


あなたが女性であれば、男性にどうしてほしいと思いますか?


あなたが男性であれば、どんな行動を取りますか?


【女性】どうしよう。このまま電車を待つ?
【男性】どうすればいいと思う?
【女性】どうしようか?
【男性】コンサートは諦めたくないな
【女性】じゃぁ、どうすればいい?
【男性】ちょっと、ヤバイね
【女性】どうするの?
【男性】俺だって、わからないよ……


この男性は、思わぬトラブルに遭遇して、軽いパニック状態に陥っており、どうすればいいのか、何も考えられない状態になっています。


女性は、「どうすればいいと思う?」と代替案を相談したいと思っていますが、男性は、「俺だって、わからないよ……」と投げやりとも取れる態度に出て、女性を困惑させています。


このひと言で、女性は「優しくないな」とか、「頼りないな」と感じて、男性から気持ちが離れてしまうのです。


ピンチのときほど、人間の本性が現れるものです。


女性にモテなかったり、見限られてしまう男性には、本人に自覚がないだけで、それなりの理由があるものです。


■「相手のため」にならなければ、優しさにはならない


優しさというのは、自分が思っている通りには、相手が受け取ってくれない……という難しさがあります。


自分が「良かれ」と思って示した優しさが、相手にとっては見当違いだったり、期待外れであるという「スレ違い」は、男女の間では頻繁に起こることです。


一つだけ確かなことは、優しさというのは、相手のためにならなければ、優しさにはならないということです。


男女がデートなどで食事をする場合、「どこの店がいい?」と女性に聞くような男性は、すぐに「優しくない人」に分類されるそうです。


それが初めてのデートであれば、女性は「この人は、どんな店に連れて行ってくれるんだろう」と期待しながらワクワクしています。



和田秀樹『なぜか人生がうまくいく「優しい人」の科学』(クロスメディア・パブリッシング)

女性には、「自分の知らない店に行ってみたい」という願望もあります。


「どこの店がいい?」というひと言は、期待と願望の二つを見事に打ち砕くことになるだけでなく、自分の知っている店に行ったのでは、「美味しい店のバリエーション」が増えないため、何の面白さもなく刺激も感じないといいます。


ほとんどの男性は、「一緒に楽しく食事ができれば、店なんてどこでもいいだろう」と軽く考えがちですが、女性は「意外性」や「新たな刺激」、「新鮮な驚き」を男性に求めています。


そうした心理ニーズに応えてくれない男性は、女性のためには何ひとつなっていないため、「この人は優しくない」と思ってしまうのです。


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和田 秀樹(わだ・ひでき)
精神科医
1960年、大阪市生まれ。精神科医。東京大学医学部卒。ルネクリニック東京院院長、一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師。2022年3月発売の『80歳の壁』が2022年トーハン・日販年間総合ベストセラー1位に。メルマガ 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」
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(精神科医 和田 秀樹)

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