三井物産の豪鉄鉱石事業買収は、吉と出るか凶と出るか?

2025年2月26日(水)9時25分 財経新聞

●三井物産が豪鉄鉱石事業を8000億円で買収
 大手商社の三井物産が19日、豪州西部ビルバラ地域のローズリッジ事業の権益40%を取得すると発表した。

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 投資規模は8000億円と見られており、これは2025年3月期の三井物産の最終利益とほぼ同額であり、リスクの高い投資であると市場からは不安の声もある。

 ロイター通信によると、ローズリッジは世界最大級となる68億トンの未開発鉄鉱床であり、2030年までに資源大手のリオ・ティントと共に生産開始を目指し、最終的に年4000万トン以上の生産を見込んでいるという。

 報道を受けて、三井物産の株価は3%下落したが、この巨額投資が三井物産にとってどうなるのか?

●資源に強い三井物産
 5大商社の中でも三井物産は、資源分野に強みを持つ。鉄鉱石だけでなく、石炭、銅、ニッケル、アルミなどの金属資源の権益投資、仲介に注力している。

 会社全体の純利益構成比(2023年)は金属資源が約50%を占め、エネルギーを合わせると60%近くになる。

 鉄鉱石業界は世界の約40%の鉄鉱石がブラジルのVale社、豪BHP、英豪リオ・ティントの3社で産出されている。

●吉と出るか凶と出るか?
 三井物産としては過去最大額の投資であり、リスクとリターンがどうなるかが不透明である。

 ローズリッジは三井物産が手掛ける豪州の他の鉄鉱石鉱山と近いため、鉄道や港湾といった既存のインフラを利用して運搬できるので、コスト削減を見込める。

 三井物産からすれば、高い収益性ですぐに投資額を回収できるという思惑があるのだろう。

 ただそれは、鉄鉱石・鋼鉄の需要が拡大することが前提となる。

 中国の足元の景気は悪化しており、鉄鋼需要がどこまで伸びるかは不透明である。それでも、インドなどアジアの他の国での需要には期待があり、世界全体で見れば需要は続伸が見込まれている。

 株価は下落傾向にあったが、バフェット氏が日本の商社株への買い増しに意欲を示したことで、連休明けの25日には4%上昇し、下落分を打ち消した。

 株価はしばらく安泰かもしれないが、事業としてはまだまだ不透明さが残る。

財経新聞

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