「絶対買ってはいけない目薬」の見分け方…成分表で必ずチェックしてほしい「3つの要注意ワード」

2025年3月5日(水)18時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maroke

良い目薬を選ぶコツはあるのか。眼科医の真鍋佑介さんは「市販の薬を買うときは、必ずどんな成分が入っているかを確認してほしい。『防腐剤』『血管収縮剤』『清涼剤』が入っているものは避けたほうが良いだろう」という——。(第2回/全2回)

※本稿は、真鍋佑介『一生目が見える人のすごい習慣』(扶桑社)の一部を再編集したものです。


写真=iStock.com/maroke
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■「第二類医薬品」のほうが良い?


ドラッグストアで目薬を買うときに、成分を見ているでしょうか。第1回のコンタクトレンズの解説でも書いたように、市販の目薬が自分の状態と合うかどうかしっかり確認しないと、逆効果になってしまうことがあります。


市販の目薬は眼精疲労やドライアイ、花粉症用など様々です。ほとんどの目薬は第二類医薬品と第三類医薬品なのですが、有効成分を多く含んでいるのが第二類医薬品なのでそちらが良いと思っていたとか、高い目薬であればあるほど良いだとか、そういった判断をしてしまう人も多くおられます。


まず、目薬に「防腐剤」、「血管収縮剤」、「清涼剤」の3つが含まれていないものを選んでください。


■「スッキリする目薬」の本当の効果


防腐剤は「塩化ベンザルコニウム」というものです。防腐剤は目薬の中で雑菌が繁殖しないようにするために入っている成分なのですが、この塩化ベンザルコニウムは角膜の表面に傷をつける原因になる場合があります。また、塩化ベンザルコニウムが入っている目薬は、ソフトコンタクトレンズを装着している状態では使用できません。


血管収縮剤は「塩酸ナファゾリン」や「塩酸フェニレフリン」という名前のように塩酸○○とついているものです。この成分は血管を収縮させて充血を一時的になくせるのですが、効果が切れたらまた充血するだけでなく、リバウンドといってかえって充血する原因になることがあります。


そして清涼剤。「カンフル」や「メントール」といった成分が含まれているものです。これらは医療用医薬品には含まれておりません。すっきりするので目に効いている感じがありますが、一時的な眠気覚ましか、さし心地が良いくらいの効果のみです。


■「弱い抗菌薬」は逆効果になる可能性


次に、「ものもらいが治る」と書かれた目薬を購入する際は注意してください。抗菌薬含有と書かれていても、市販のものには「スルファメトキサゾール」という弱い抗菌薬しか含まれておりません。


弱い抗菌薬を使うと単純に効果がないだけでなく、治療するうえで抗生剤に抵抗するやっかいな耐性菌ができる原因にもなります。


ものもらいは適切な治療が遅れるとしこりが残りやすいですし、感染性の角膜炎なら同様に視覚障害を残す場合もあります。目やにが出るなど感染を疑う場合は自己判断せずにすぐに受診しましょう。


目の感染症は、大きく3タイプに分けられます。アデノウイルスが感染するウイルス性のものや、ブドウ球菌による細菌感染症、またはカビのような真菌感染症があります。このうち抗菌薬は細菌に対する作用しかないので、細菌感染症にしか効果がないですし、その効果も弱いです。


■「目のかゆみ」には市販薬より処方薬


最後に、アレルギー用の目薬です。市販のアレルギー薬はたくさん出ているのですが、多くの目薬に含まれているものは「クロモグリク酸ナトリウム」というものです。


これはケミカルメディエーター遊離抑制作用があるもので、簡単に言うとかゆくなる前にさしたら一定の効果が期待できるものです。そのため、かゆくなってからでは効果は限定的です。


以前「インタール」という名前で医療用医薬品にも含まれていたのですが、現在はもっとかゆみを抑えられる成分が出てきており、市販の目薬よりも安価で処方することができます。市販のアレルギー用目薬を買うときは注意してください。


原則は、市販の目薬を購入する前に、眼科医に相談していただきたいです。自分の症状を自己判断し、市販の目薬だけで対処していると、治療が遅れて後遺症を残してしまう場合があります。


夏場に多いアデノウイルスが感染する結膜炎は、適切な治療が遅れると角膜に後遺症を残して視力低下を起こすことがあります。緑膿菌(りょくのうきん)やアカントアメーバだった場合、適切に治療をしないと角膜潰瘍になって失明の恐れもあります。


ものもらいだとしても医療用の抗生剤の薬を使わないで治療が遅れた場合、切開手術が必要になることもあるので注意が必要です。2〜3日経っても改善しない場合、できるだけ早めに眼科を受診するようにしてください。


■ドライアイなら第三類医薬品がおススメ


では、市販の目薬で買っていいものはあるのでしょうか。



真鍋佑介『一生目が見える人のすごい習慣』(扶桑社)

ドライアイであれば第三類医薬品の目薬をおすすめします。これらには防腐剤や血管収縮剤は入っていません。


具体的なおすすめは参天製薬の「ソフトサンティア」です。涙と同じ成分が入っているのでドライアイの乾燥感を緩和できます。ただしドライアイは点眼だけでは治らない場合があるため、効果を感じないようであれば眼科で検診してください。


もう1つは同じく参天製薬の「サンヨード」です。こちらはポピドンヨードが入った目薬で、抗菌力が強いです。ヨード製剤は細菌感染はもちろんのこと、先ほどのアデノウイルスのようなウイルス感染、カビのような真菌感染症にも効きます。しかしヨードアレルギーの人は使えないなどの制限はあります。


■効果が出る「正しい目薬のさし方」


当たり前ですが目薬は目の表面に当たらないと効果が出ません。白内障手術後も緑内障治療も、目薬がきちんとさせていないと、意味がなくなってしまいます。点眼は毎日数回行うものですので、正しいさし方を覚えておきましょう。


目薬をさす際はどうしても目の周辺を触ります。手指を不潔にしていると感染症のリスクが高まってしまいます。目薬をさす前は必ず手を洗ってください。


そして使用する目薬が正しいものか、期限が切れていないかを確認してください。種類によっては使用前にボトルを振らなくてはならないものもあります。使用方法はしっかり確認しましょう。


出所=『一生目が見える人のすごい習慣』(扶桑社)

図表1で、「下瞼下垂(かげんかすい)法」と「げんこつ法」を紹介しています。下瞼下垂法は下のまぶたを引っ張るもので、目薬が当たる範囲が広くなるのが利点です。げんこつ法は、直接目に触れることなく行え、安定するのが利点です。自分に合った目薬のさし方を行ってください。


■目をつむったまま、目頭を押さえて1分待つ


目薬をさしても、目に当たらずまぶたに当たっていたり、ほとんど流れ出てしまっていたりして正しく点眼が行えていなことがあります。


緑内障の場合、目薬をさしているのに眼圧が下がっていない、ということがありますが、目薬が効いていないのではなく、目薬のさし方が間違っている場合があります。


出所=『一生目が見える人のすごい習慣』(扶桑社)

飲むだけでいい内服薬と違い目薬はさし方も大切になります。正しいさし方でないと、目薬の効果が発揮されません。目薬をきちんと使えている人と使えていない人とでは、緑内障の視野進行の速度はは6倍も差が出たという報告もあるぐらいです。


■直後に瞬きをすると効果は消えてしまう


目薬をさす際に気をつけたいポイントは、ボトルが汚染されないようにすること、点眼直後に瞬きをしないこと、用法容量を守ることです。


目薬をさす際に、指が目の中に入ってしまっていたり、ボトルの先がまつ毛やまぶたに触れてしまうと、汚れから感染する恐れがあります。また、点眼直後は1分程度閉眼しましょう。すぐに10回瞬きすると点眼の効果がほとんどなくなるとも言われています。ボトルから垂らす量は1滴でよいです。


出所=『一生目が見える人のすごい習慣』(扶桑社)

目薬には水溶性のものや懸濁(けんだく)性、ゲル状のものがあり、目薬をさす順番(水溶性→懸濁性→ゲル状→軟膏(なんこう)の順)も重要です。医師の指示をよく聞いて、その順番どおりにさすようにしてください。


また、目薬をさす間隔は5分ほどあけてから次の目薬をさすようにしてください。これらの用法を守ることが、眼圧を下げ、緑内障の進行を食い止めることにつながります。


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真鍋 佑介(まなべ・ゆうすけ)
眼科医
真鍋眼科院長。「近視予防を広めたい」という意思から眼科医を志し、2015年から岐阜大学病院の眼科医として長年分野を問わず疾患の診療をしてきた。後に緑内障専門医として診療と研究に従事する。2021年から真鍋眼科に勤務。なんでも相談できる「かかりつけ医」をモットーとして患者を支えている。
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(眼科医 真鍋 佑介)

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