身長を伸ばしたい子には「エナドリ禁止」がいい…"身長先生"が「牛乳は1日3杯」をおススメする理由
2025年3月28日(金)18時15分 プレジデント社
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Hakase_
※本稿は、田邊雄『身長先生式 子どもの身長が伸びる食事のルール30』(Gakken)の一部を再編集したものです。
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■普通牛乳と低脂肪乳の「違い」とは
牛乳といえば、カルシウムという印象があると思いますが、身長を伸ばすという点においては、たんぱく質を含んでいることが大きなメリットです。
普通牛乳と低脂肪乳があるので、1日にコップ3杯(600mL)飲んだ場合の栄養価を比べてみましょう(図表1参照)。
※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像をすべて閲覧できない場合があります。その際はPRESIDENT Online内でご確認ください。
出所=『身長先生式 子どもの身長が伸びる食事のルール30』
たんぱく質を補うことができるうえに、カルシウムは小学生ならどちらの牛乳でも1日の推定平均必要量をクリアできます。また、成長に欠かせない亜鉛を含むのも牛乳のいいところです。
ただし、上に示したように普通牛乳と低脂肪乳では、エネルギーや脂質の量が大きく異なります。
なんとなく普通牛乳を飲み続けた結果、エネルギーを摂りすぎて子どもの体脂肪が増え、早熟を招いて身長があまり伸びなかった……。または、やせている子どもが低脂肪乳を飲み続け、エネルギー不足の状態が続き、身長があまり伸びなかった……。こんなことにならないよう、子どもの状態をよく見て、どちらの牛乳を飲むかを考えてください。
■給食に加えて朝と夜も1杯ずつ
なぜ、1日3杯なの? 学校の給食でほぼ毎日1杯は飲むから、それで十分じゃないの? と思われたかもしれません。1日3杯をおすすめする理由は、アメリカで5000人あまりの女子を対象にして行われた、牛乳が成長に及ぼす影響を調べた研究結果にあります(図表2参照)。
出所=『身長先生式 子どもの身長が伸びる食事のルール30』
牛乳を1日に3杯飲んだ女子と1日に0〜1杯の女子の成長曲線を見ると、調査開始から7年後には平均で約1インチ(約2.5cm)の差ができたのです。
伸び率が高かったのは1日に牛乳を3杯飲んだ女子。つまり、1日3杯飲んだほうが身長が伸びる可能性が高いのです。
1日に3杯を飲むタイミングは、朝、昼、夜に分けてください。体が一度の食事で吸収できるたんぱく質の量は限られています。そのため、一度にたくさん飲むのではなく、分けて飲んだほうが効率よく吸収できるのです。
食が細い子どもは、食事と食事の間の時間に牛乳を飲むなどして、食事量が減らないように注意しましょう。
■睡眠中に成長ホルモンが分泌される
子どもの成長を促す成長ホルモンは、睡眠中や運動後にたくさん分泌されます。特に睡眠中に分泌される成長ホルモンは重要。しっかりと分泌させて成長につなげたいものです。
そこで重要となるのが栄養です。牛乳に含まれるトリプトファンというアミノ酸は、睡眠のリズムを整えるメラトニンというホルモン産生に欠かせません。
くわしく説明すると、食事で摂ったトリプトファンからセロトニンという神経伝達物質がつくられ、そのセロトニンからメラトニンがつくられ、睡眠のリズムが整うという仕組みです。
出所=『身長先生式 子どもの身長が伸びる食事のルール30』
つまり、トリプトファンを含む牛乳を飲むことで睡眠のリズムが整い、成長ホルモンの分泌がスムーズになり、身長の伸びが促進されやすくなるというわけです。
ちなみに、セロトニンは朝日を浴びることで分泌が促されます。朝食で牛乳を飲んでトリプトファンを摂取し、朝日を浴びてセロトニンをしっかり分泌する習慣をつけることで、メラトニンの分泌もスムーズになるということです。
■カフェインは子どもの成長の邪魔をする
カフェインは、摂りすぎると動悸、めまい、吐き気、下痢、さらに興奮や不安、不眠などの症状を引き起こすことがあります。大人でも摂取量に注意が必要な成分ですから、子どもにとってはさらに注意が必要です。
身長を伸ばすという点においてもカフェインは要注意。成長期には摂らないほうがいいといえます。
カフェインの代謝には、大人でもかなりの時間がかかります。個人差はありますが、カフェインの血中濃度は摂取後30分〜2時間程度で最大となり、効果が半分になるのにさらに2〜8時間がかかるとされています。
代謝機能が未熟な子どもがカフェインを代謝するには、さらに多くの時間がかかるため、たとえ日中に摂ったとしても睡眠の妨げになるおそれがあります。睡眠の質が低下すれば、成長ホルモンの分泌量が減少するおそれも出てきます。
さらに、カフェインには利尿作用があるため、尿とともにカルシウムが排泄されやすくなるというデメリットもあります。
■インスタントコーヒー1杯でオーバー
しかし、日本ではカフェインの摂取量の目安が設けられていません。そこで、カナダの保健省が設けている1日あたりのカフェイン摂取の目安量を紹介しておきます(図表4参照)。
出所=『身長先生式 子どもの身長が伸びる食事のルール30』
カフェイン摂取の1日の目安量と、カフェインが含まれている飲み物、食べ物(図表5)を見ると、いとも簡単に目安量をオーバーすることがわかります。
出所=『身長先生式 子どもの身長が伸びる食事のルール30』
9歳の子どもがインスタントコーヒーをティースプーン1杯(2g)入れたコーヒーを飲んでいるなら、それだけで80mgのカフェインを摂取することになり、目安量をオーバーしてしまいます。
■エナジードリンクやチョコの大量摂取はNG
カフェインを含まないと思われていることが多いほうじ茶にも100mLあたり20mgのカフェインが含まれていますから、1日にペットボトル1本(500mL)飲むだけで100mgのカフェインを摂取していることになり、こちらも目安量をオーバー。
玄米茶も同様に、ペットボトル1本(500mL)で50mgのカフェインを摂取することになります。無意識のうちにカフェインを大量に摂取している可能性があるということです。
エナジードリンクは商品によって異なりますが、100mL中に300mgものカフェインを含む場合があるので、子どもには飲ませないようにしてください。
また、チョコレートにもカフェインが含まれています。普通のチョコレートを1カケラ食べるくらいなら問題ありませんが、一度に大量摂取するのは控えましょう。
子どもでも1日を通してみると1〜1.2Lの水分を補給しています。飲み物は日常的に口にするものだからこそ、カフェインの摂りすぎには注意が必要です。中学校を卒業するまでは、基本の飲み物は麦茶やミネラルウォーター、牛乳にすることをおすすめします。
■コーラ、スポーツドリンクは砂糖だらけ
清涼飲料水の注意点は、糖質が大量に含まれているものが多いことです。
たとえば、コーラの糖質量を「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」でチェックしてみましょう。500mLのペットボトル1本で57gの糖質が含まれています。これを角砂糖(1個3.3g)に換算すると約17個。砂糖より少量で甘味が強い果糖ブドウ糖液糖(異性化糖)が使われているため、500mL中にこれだけの糖質を含むことができるのです。
同様に、果糖ブドウ糖液糖を含むスポーツドリンクも調べてみると、500mLの糖質量は25g。角砂糖に換算すると約7.6個。夏場の熱中症対策としてスポーツドリンクを2本飲めば角砂糖を約15個も摂ることになります。
2015年、世界保健機関(WHO)は「成人及び児童の糖類摂取量」のガイドラインを発表しました。その内容の概要は次のとおりです。
成人および児童の1日当たりの遊離糖類摂取量をエネルギー総摂取量の10%未満に抑えるなら、過体重・肥満・虫歯のリスクを減らせる明確な証拠がある。また5%まで減らして、1日25g(ティースプーン6杯分)程度に抑えるなら、さらに健康効果は増大する。
遊離糖類とは、おもにブドウ糖、果糖といった砂糖のこと。簡潔に言うなら、食品、飲料に添加されている糖類は控えめにしたほうがいいということです。
■「カロリーゼロ」「糖類ゼロ」の落とし穴
さらに、WHOは2023年に、非糖質甘味料に関する新しいガイドラインを発表。「非糖質甘味料の使用は、成人および小児の体脂肪を減らす上で長期的な利益をもたらさないばかりか、成人の2型糖尿病、心血管疾患、死亡率の増加など、長期使用による望ましくない影響の可能性も示唆されている」としています。
田邊雄『身長先生式 子どもの身長が伸びる食事のルール30』(Gakken)
非糖質甘味料とは、アセスルファムKやスクラロース、アスパルテームといった合成甘味料や、ステビアなどの植物の甘味成分を抽出して精製された天然甘味料のことで、おもに「カロリーゼロ」「糖類ゼロ」「カロリーオフ」の飲料などに使われています。これらを活用することは、逆に肥満を引き起こす可能性があるということもわかっています。
また、清涼飲料水に多く含まれている異性化糖(果糖ブドウ糖液糖や高果糖コーンシロップなど)と肥満は関係しているという論文も発表されています。子どもの肥満を予防して早熟を防ぎ、身長を伸ばすためにも清涼飲料水を常飲することは避けたほうがいいのは明らかです。
■健康そうなフルーツジュースも要注意
しかし、日本の小学校高学年の子ども135人の清涼飲料水の摂取状況を調査した結果、清涼飲料水由来の炭水化物を1日50g以上摂っているという子どもが約30%もいたという報告もあります(平成22年「日本家政学会誌」より)。
肥満傾向児の割合は男女ともに10歳から12歳が高く、10〜12歳で10%を超えています。清涼飲料水を常飲し、糖質を過剰摂取している子どもも、肥満児も特別珍しいというわけではないのです。
最後に、摂りすぎに注意したい清涼飲料水を糖質量とともにまとめておきます。飲み物は、子どもが自分で購入して飲むことも多いので、飲みすぎないよう、子どもにも知らせておきましょう。
出所=『身長先生式 子どもの身長が伸びる食事のルール30』
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田邊 雄(たなべ・ゆう)
東京神田整形外科クリニック院長
身長を伸ばす専門医。愛称は「身長先生」。金沢医科大学医学部を卒業後、順天堂大学医学部附属順天堂医院整形外科へ入局。西新宿整形外科院長職を経て、2020年に東京神田整形外科クリニックを開業。活動が高く評価され、2023年にアメリカの経済紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』の「Next Era Leaders(次世代のリーダー)」に医師として最年少で選出された。身長アップの方法を伝授するYouTubeチャンネル「身長先生田邊雄」は、登録者数3万4千人を超える(2025年2月現在)。著書に『1万5000人のデータに基づいたすごい身長の伸ばし方』(KADOKAWA)などがある。
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(東京神田整形外科クリニック院長 田邊 雄)