アニメのキーホルダーも自動車部品も…リサイクル率「ほぼゼロ」だったアクリル廃材、回収本格化
2025年4月21日(月)23時0分 読売新聞
神田明神で開かれたアクリルグッズの回収イベント(17日、東京都千代田区で)=水野友晴撮影
プラスチックの一種、アクリル樹脂のリサイクルが本格的に始まった。人気アニメなどのキーホルダーから自動車部品まで様々な製品に用いられており、回収・再生を通じて温室効果ガスの排出削減を目指している。(水野友晴)
東京・秋葉原に近い神田明神で17日、キャラクターやアイドルが描かれたアクリルグッズを回収する「アクリル感謝祭2025」が開かれた。三菱ケミカルなどで作る協議会の主催で、この日は不要となったキーホルダーなど数百個が集まった。40歳代の女性会社員は「必要なくなったグッズを捨てるのはちゅうちょしてしまうので、今回リサイクルできると知り持ってきた」と話した。
石油化学工業協会や三菱ケミカルによると、アクリル樹脂を板状に加工したアクリル板の国内生産量は2024年に1万9136トンと前年比で14%減った。このうちグッズ向けは4割超の8000トン(推定)を占め、22年から1000トン増えた。
これまでアクリルの廃材はほとんどが焼却や埋め立てなどで処分され、リサイクル率は「ほぼゼロ」(三菱ケミカル)にとどまってきた。化石原料から作るよりも二酸化炭素の排出を大幅に抑えられるため、化学大手各社はリサイクル技術の開発に着手。環境規制によって再生品の使用が広がる自動車向けで実証の動きが先行している。
住友化学は、アクリル樹脂を熱で化学的に分解し、原料に戻してから新たに製造する「ケミカルリサイクル」に取り組む。日産自動車のヘッドランプ部品向けに採用が決まったという。
三菱ケミカルは、ホンダと連携して自動車のドアなど外装向けアクリル素材を開発している。廃車から回収した部品をリサイクルし、ゴム粒子を混ぜて衝撃への耐性を高めたという。三菱ケミカルは数年以内にリサイクル設備を稼働し、本格的な事業化を目指す。