朝、たんぱく質、ビタミン、食物繊維を一挙に摂取できる…管理栄養士が勧める"最強の食材2つ"

2025年4月24日(木)16時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/onlyyouqj

中高年におすすめの朝食メニューは何か。管理栄養士の森由香子さんは「朝食でたんぱく質を食べてアミノ酸を補給しないと、自分の筋肉を分解してアミノ酸として使ってしまい、筋肉が減ってしまう恐れがある。これだけ食べておけばとりあえずは○、という朝食はゆでるだけ、カットするだけで食べられるこの2つの食材だ」という——。

※本稿は、森由香子『60歳からの「少食」でも病気にならない食べ方』(青春出版社)の一部を再編集したものです。


写真=iStock.com/onlyyouqj
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■朝食はこれだけ食べていればとりあえず大丈夫


年齢が上がってくると、どうしても落ちていく筋肉。


筋肉を作るためにもっとも大切な栄養素がたんぱく質であることは、皆さんもご存じでしょう。たんぱく質は、できれば朝、昼、晩としっかり摂っていただきたいのですが、特に重要なのが朝食です。


朝食を食べていない方のためにも、なぜ朝食でたんぱく質を補給する必要があるのか、簡単に説明しておきましょう。


筋肉の合成に欠かせないのが、食事で摂ったたんぱく質から分解・吸収されるアミノ酸です。アミノ酸は、体内で私たちの健康を維持するためにさまざまな働きをしていて、寝ている間も使われ続けています。


そのため、朝起きて朝食を食べる前が、もっともアミノ酸が不足している時間帯になります。朝食でたんぱく質を食べてアミノ酸を補給しないと、私たちの体は自分の筋肉を分解してアミノ酸として使ってしまい、筋肉が減ってしまう恐れがあるのです。


そこで、「そうはいっても、朝からそんなに食べられない」「朝食を準備する余裕がない」という方に、これだけ食べておけばとりあえずは○、という食事をご紹介しましょう。


それは、ゆで卵とキウイフルーツの組み合わせです。


卵はたんぱく質が補給できるだけでなく、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンD、ビタミンEも含んでいる非常に優れた食品です。一方、キウイフルーツには、体内でビタミンAに変わるβ-カロテン、ビタミンC、ビタミンE、そして食物繊維が豊富に含まれています。


卵にはビタミンCと食物繊維だけが含まれていないので、キウイフルーツを一緒に食べることで、栄養素が見事に整うのです。


ゆで卵はゆでるだけで食べられますし、コンビニでも買えます。キウイフルーツは横半分にカットすれば、スプーンですくって簡単に食べられます。


朝食を敬遠気味だった方も、これなら気軽に試していただけるはずです。


■どうしてもの緊急対策に「菓子パン」も有り


少食の方や、中高年になって食が細くなってしまった方は、「どうしても食欲がない」と言って、朝食をパスしてしまうことがあるでしょう。


でも、朝食を食べることは、私たちの体と頭にとって、本当に重要です。私たちは寝ている間にもエネルギーをどんどん使っていますから、朝起きたときには、エネルギー不足の状態です。


もしそのまま、散歩に出たり、仕事や家事をはじめたりすると、体は足りないエネルギーを補おうとして蓄えていた脂肪や筋肉を分解するしかなくなります。


「脂肪なら分解されてもいいや」と言えるのは、若くて太り気味の方だけです。中高年になったら多少は脂肪がついていたほうが健康的ですし、エネルギー不足で筋肉が落ちていくと、要介護状態の一歩手前といわれるフレイルに少しずつ近づいていくことになりかねません。


そこで、私からの提案です。どうしても朝食が食べられないときは、デニッシュなどの甘い菓子パンでも良いので食べてください。


実は、甘い菓子パンは、栄養学ではお菓子の扱いで、「心の栄養を摂るためのもの」とされ、「体の栄養を摂るためのもの」としては推奨されていません。糖質や脂質が多過ぎるからです。


でも、どうしても朝食を作れないときや、食欲はないけれど菓子パンなら食べられそうだというときは、それでもいいので食べてください。すぐにエネルギーを摂取できます。


写真=iStock.com/kuppa_rock
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ただし、菓子パンだけでは栄養のバランスはまったく整いませんし、毎日続ければ、確実に糖質と脂質の摂り過ぎになります。


あくまでも、「どうしても……」というときの緊急対策として、「いざというときは、これも有り」くらいにとらえておいていただきたいと思います。


■だから1人用のミキサーがあると、不思議と栄養が整う


改めて言うまでもなく、私たちは毎日野菜をたっぷり食べる必要があります。野菜類には、ビタミン類やミネラル類、食物繊維、そして体をサビさせない抗酸化作用の高いカロテノイド類やポリフェノール類などが豊富に含まれているからです。


とはいえ、「1日に必要な野菜の量」と言われている350gの野菜をテレビなどで見て、「こんなに食べられない!」と思われた方が多いのではないでしょうか。


野菜をたくさん食べるのに手っ取り早いのは、やっぱりミキサーでジュースにしていただく方法です。


「ミキサーは手入れが面倒だし、野菜の準備も手間がかかる」とおっしゃる方が少なくないのですが、1人用のミキサーであれば、そうした問題はすべて解決します。


シンプルな構造なので手入れが簡単。容器がそのままカップになっているものもあり、扱いが非常にラク。しかも価格もリーズナブルです。


■噛めない中高年の消化吸収も良くなる


材料は、レタス類や小松菜など、洗ってちぎるだけで食べられる葉物野菜を中心にすれば、手間がかかりません。ミニトマトのヘタをとって入れるのもよいでしょう。


包丁を使うのが面倒でなければ、にんじんやパプリカ、ブロッコリーなど、ほかの野菜もいろいろ入れてください。



森由香子『60歳からの「少食」でも病気にならない食べ方』(青春出版社)

さらに、バナナを入れると糖質や食物繊維がプラスされる上、味が良くなって飲みやすくなります。豆乳や牛乳を入れると、たんぱく質も補給できて栄養価が一段とアップします。


中高年になると歯の調子が悪い人も増えてくるので、しっかり噛まないと食べられない生野菜は敬遠される傾向にあります。ミキサーにかければ噛まなくてもたくさんの野菜が食べられますし、普通に食べるよりも消化吸収も良くなります。


私は以前、胃を切除し、歯も入れ歯でなかなか生野菜などが食べられなかった父に1人用ミキサーをプレゼントしたことがあります。自分で生野菜などをミキサーにかけて摂るようになり、とても喜ばれました。


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森 由香子(もり・ゆかこ)
管理栄養士
日本抗加齢医学会指導士。東京農業大学農学部栄養学科卒業。大妻女子大学大学院(人間文化研究科人間生活科学専攻)修士課程修了。2005年より、東京・千代田区のクリニックにて、入院・外来患者の血液検査値の改善にともなう栄養指導、食事記録の栄養分析、ダイエット指導などに従事している。また、フランス料理の三國清三シェフとともに、病院食や院内レストラン「ミクニマンスール」のメニュー開発、料理本の制作などを行う。抗加齢指導士の立場からは、“食事からのアンチエイジング”を提唱している。『おやつを食べてやせ体質に! 間食ダイエット』(文藝春秋)、『1週間「買い物リスト」ダイエット』(青春出版社)など著書多数。
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(管理栄養士 森 由香子)

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