「社長の指示が変わった」とき、二流社員は「またブレてる…」と文句を言う。じゃあ、仕事ができる“一流”は何をする?
2025年4月27日(日)6時55分 ダイヤモンドオンライン
「社長の指示が変わった」とき、二流社員は「またブレてる…」と文句を言う。じゃあ、仕事ができる“一流”は何をする?
「いまの時代、ここまで忖度なしに書かれた本はない」新年度を迎え、そんな声が多数寄せられているのが、書籍『ベンチャーの作法 -「結果がすべて」の世界で速さと成果を両取りする仕事術』です。転職エージェント「キープレイヤーズ」代表の高野秀敏さんが、1.1万人以上のキャリア相談、4000社以上の採用支援の経験で見てきた、「結果を出す人の働き方」をまとめました。“きれいごと”抜きの仕事論に、「結局、すべての仕事で大事なのってコレだよね」と、社員や経営者、ベンチャーや大企業を問わず、共感する人が続出する異例の反響となっています。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「結果を出す人の考え方」をお伝えします。
Photo: Adobe Stock
なぜ経営者の考えは「ころころ変わる」のか?
経営者の意見や指示がころころ変わるのには、理由があります。 経営者にしか見えていない景色があるからです。
経営者や管理職の指示が荒唐無稽に思えても、そこには必ず理由があります。
たとえば、経営者しか持っていない情報というのが、たくさんあります。
会社の資金繰りが厳しい、じつはエース社員が辞めようとしている、ライバル会社から訴訟の動きがある、経理担当者がお金を着服していた……などなど。
自分しか知らない情報がありながら、誰にも言えずに抱えていたりします。
経営者は孤独な存在なのです。
破産予定の経営者が抱えた孤独
経営者が資本の4割ほどを保有する、とあるベンチャーがありました。
当時、その会社はハードウェアの量産に向けて、15億円を上限に段階的に融資を受けながら、40億円の投資を実行しようとしていました。バーンレート(会社経営において1ヵ月あたりに消費されるコスト。資金燃焼率や現金燃焼率とも言う)が大きかったため、融資の返済を一部待ってもらう必要がありました。
ところが出資をしてくれる予定の事業会社は、そのためにオーナー、ファウンダーからの合意を取る必要がありました。しかしオーナーの予定がころころ変わるため、投資の判断が4、5ヵ月遅れてしまいました。その結果、そのベンチャーは出資を受けるのが遅くなり、資金繰りが厳しくなったため、残念ながら破産してしまったそうです。
苦しいのは、そこからでした。
破産管財人が残っている資産を売却し、債権者に適切に渡さなければなりません。そのベンチャーの経営者は破産した経験もないので、破産弁護士と話をして、裁判所へ相談しにいくなど、日夜、破産のための準備に追われました。
そして当然、「これから破産します」とは絶対に言えません。言ってしまうと債権者間で不平等が生じるからです。その経営者としては債権者よりも先に、これまでお世話になった株主たちに破産することを伝えたかったそうですが、それは絶対にできないと破産管財人から言われたそうです。
そんな秘密と罪悪感を抱えて、破産申請の日まで孤独に過ごしたとのことでした。
経営者を信じて、「舵取り」に食らいつこう
社内だけでなく、社外のネットワークから得る情報もあります。 同業他社が有力な商品を発売する予定がある、優秀な人材がA社からB社に移った、C社が買収されて既存事業が売りに出される話がある……など。
広く経営者と交流し、他分野のトレンドを見つけてくることもあります。 理不尽なように思える突然の決断ですが、現場には届き得ないさまざまな情報をもとに柔軟に判断しているだけなのです。
状況変化に合わせて、経営者は柔軟に舵を取っていかねばなりません。変化の大きい未成熟な業界に身を置いているのなら、なおさらです。
そして当然、この舵取りに食らいついていける人だけが結果を出せるのです。
(本稿は、書籍『ベンチャーの作法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です。書籍では「結果を出す人の働き方」を多数紹介しています。)