トランプ政権が自動車関税「軽減策」、米で生産の全メーカー対象…部品の拠点移すまでの「猶予期間」に
2025年4月30日(水)12時54分 読売新聞
トランプ氏=AP
【ワシントン=田中宏幸】米国のトランプ政権は29日、米国内で自動車を生産する全てのメーカーを対象に、輸入部品にかかる関税負担を軽減すると発表した。2年間の期限付きで、日本メーカーにも適用される。自動車部品の製造拠点を、海外から米国に移すまでの猶予期間を設ける狙いがある。
トランプ政権は3日、輸入自動車への25%の追加関税を発動した。エンジンや変速機など自動車の基幹部品には、5月3日までに同率の追加関税を課す予定だ。
米ホワイトハウスによると、米国内で最終組み立てが行われた自動車であることを条件に、車の国内販売価格の最大15%を免除枠として設定。使用した輸入部品にかかる25%の追加関税の一部を、メーカーに還付する仕組みとなる。
1年目(今年4月3日〜来年4月30日)に組み立てられた自動車の販売価格の最大3・75%分が軽減される計算となる。2年目は2・5%分となり、3年目に廃止する。
ラトニック米商務長官は29日、記者団に対し、「国産部品を85%以上使えば、自動車には関税は一切かからない」と説明した。自動車と部品について、鉄鋼・アルミニウム製品への追加関税や、カナダとメキシコからの輸入品への追加関税とは重複しないようにする。
米国で完成車を組み立てている日米欧などの自動車大手は、米国外で生産した多くの自動車部品を輸入している。各メーカーからは、販売価格や製造コストの上昇につながるとして、関税の適用免除などを求める声が出ていた。
トランプ米大統領は29日、負担軽減措置に関する大統領布告を発表し、記者団に「(自動車関税の影響は)全く心配していない。部品をすぐに入手できない場合もあるので、少しだけチャンスを与えた。一時的な移行期間だ」と強調した。
自動車関税を含む米国の関税措置を巡っては、赤沢経済再生相が30日から訪米し、米側で交渉を担うベッセント財務長官らと2回目の協議を行う予定だ。米側は非関税障壁の解消や米国産農産物の輸出拡大などを要求するとみられる。