ベッセント米財務長官、急激な市場変動を懸念か…日米財務相会談「為替議論せず」

2025年5月22日(木)19時54分 読売新聞

 【バンフ(カナダ西部)=池下祐磨、田中宏幸】加藤財務相とベッセント米財務長官は21日、先進7か国(G7)財務相・中央銀行総裁会議が開かれているカナダ西部バンフで会談した。トランプ米政権の関税政策を巡って意見を交わし、為替の水準については協議しなかったという。

 両氏の会談は、4月の米ワシントンに続いて2回目。日米の財務省は会談終了後、「為替レートは市場で決定される」との認識を再確認したうえで、「前回と同様、為替水準については議論しなかった」と発表した。

 米国が「相互関税」を発動した4月以降、米金融市場では株・債券・通貨が同時に下落する「トリプル安」が発生するなど、ドル売りの傾向が強まっている。

 米国の産業の復活を掲げるトランプ大統領は、輸出に不利な円安・ドル高を問題視し、日本が通貨安政策をとっているとしてけん制してきた。会談で為替水準が議論されなかった背景には、急激な市場の変動を懸念するベッセント氏の配慮があるとの見方が出ている。

 会談では、加藤氏が関税措置の見直しを求め、「日米貿易協定との整合性に深刻な懸念がある」と伝えた。日米は2国間で協議を継続する方針で一致した。

 G7財務相・中銀総裁会議は21日、本格的な協議の初日を終えた。米関税政策が世界経済に与える影響や、ウクライナ支援と対ロシア制裁の強化が議論された模様だ。

 G7などは、ロシアの戦費調達能力に打撃を与えるため、ロシア産原油に対して1バレルあたり60ドルの上限価格を設ける制裁を実施しており、さらなる引き下げが焦点となっている。

 最終日の22日は、人工知能(AI)の普及に伴うリスクのほか、暗号資産など技術の進展を踏まえたマネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金供与の対策などを議論する。議長国のカナダは共同声明の採択を目指している。

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