〈コメ高騰が響いて課題山積〉吉野家が「牛丼」「うどん」に続く“第三の柱”にしたい麺類とは?

2025年5月23日(金)7時0分 文春オンライン


日本経済の中心地、東京・丸の内から“マル秘”財界情報をくわしくお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「 丸の内コンフィデンシャル 」。最新号からダイジェストで紹介します。



牛丼一本足脱却なるか


 吉野家HDは成瀬哲也・取締役アジア統括本部長が社長に昇格、河村泰貴社長が会長に就任する人事を発表した。社長交代は実に12年半ぶりとなる。



“アルバイト出身”の異色経歴で知られた河村泰貴氏は吉野家HD社長から会長に ©時事通信社


 河村氏はアルバイトから社長に上り詰めた異色の経歴。成瀬氏は生え抜きで、グループ会社のカレーうどんチェーン「千吉(現スターティングオーバー)」社長、「はなまる」社長などを務めてきた人物だ。


 だが、経営課題は山積み。2025年2月期連結決算は、売り上げは増加したが、営業利益は前期比8.4%減の73億円。コメなど原材料の急激な価格高騰が響いた格好だ。新たな原料産地の開拓や分散調達等のリスクヘッジも行うが「仕入価格が高騰し、売上原価が上昇するリスクは残る」(同社関係者)。


“牛丼一本足経営”という課題もある。吉野家HDは牛丼、うどんに続く、第三の柱にラーメン事業を据えている。そして昨年、ラーメン店向けの麺、スープなどの製造を行う宝産業(栗岡琢也代表)を子会社化するなど、ラーメン関連企業2社を買収したが、


「連結売上高に占める吉野家の割合は60%超と高く、国内の吉野家の業績に大きく左右される構造は変わらない。牛丼一本足からの脱却が最優先課題となる」(メガバンク幹部)


 海外進出も積極的に行い、中国・アセアン諸国では現地統括会社を設立。成瀬氏はアジア統括本部長も兼任するが「トランプ政権の相互関税はアジア諸国にも及び、その影響も懸念される」(前出・関係者)。


 近年、不祥事も立て続けに起こっている。22年4月、常務が社会人向け講座に登壇し、若者を狙うマーケティング施策を「生娘をシャブ漬けにする戦略」と表現。社会問題化した。常務は解任され、河村氏も役員報酬を減額した。


 同年5月には、採用説明会への参加を希望した就活生の名前を見て外国籍と判断して、参加を拒否する事案も発生した。


《 この続き では、吉野家HDの課題をメガバンク幹部が分析しています》



※本記事の全文(約4800字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています( 丸の内コンフィデンシャル )。全文では、下記の内容をご覧いただけます。
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(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2025年6月号)

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