小泉農相、コメ店頭2000円台に向け備蓄米「まず30万トン放出」…買い戻しの条件付けず
2025年5月23日(金)22時28分 読売新聞
スーパーのコメ売り場を視察する小泉農相(右)(23日午後、東京都江東区で)=代表撮影
小泉農相は23日、政府備蓄米の放出を巡り、6月初旬をめどに5キロ・グラムあたり2000円程度で備蓄米をスーパーなどの店頭に並べる目標を表明した。価格がつり上がる要因とされた従来の一般競争入札に代わり、政府が安い価格を設定して売り渡す随意契約に変更する。26日にも小売業者などとの手続きを始める。
小泉氏は23日夜、東京都内で報道陣に対し「スーパー店頭には、流通経費なども含めて2000円で並ぶ」と説明した。同日午前の閣議後記者会見では「2000円台」を目標と表明していたが、一段と低い水準を目指す考えを強調した。
放出の規模については「まずは30万トンとする。必要であれば無制限で出す」と述べた。これまでの備蓄米入札では放出したコメと同量を政府が買い戻すことを条件としてきたが、今回は買い戻しの条件はつけない考えも示した。随意契約による売り渡し先として、1万トン以上のコメを扱える大手小売り50社程度を想定しているという。備蓄米を倉庫から運搬する費用は政府が肩代わりする方針で、政府高官によると、先着順で契約を結び始める予定という。
石破首相は21日の党首討論で、「コメは3000円台でなければならない。一日でも早くその価格を実現する」とし、「(実現できなければ)責任を取っていかねばならない」とコメ問題に最優先で取り組む考えを示した。小泉氏は備蓄米の店頭価格の低下を促し、流通するコメ全体の価格引き下げにつなげていく。
政府はこれまで、全国農業協同組合連合会(JA全農)などの大手集荷業者に参加者を限定して入札を行っていた。今月下旬に予定していた4回目の備蓄米の入札は中止を決めている。
楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は23日午前、小泉氏と面会し、備蓄米の随意契約に応じる意向を示した。三木谷氏は報道陣に対し「(随意契約に)手を挙げさせていただく」と述べた。今月5〜11日に全国のスーパーで販売されたコメ5キロ・グラムあたりの平均価格は前週より54円高い4268円だった。