トランプ氏、日鉄のUSスチール買収支持「米国経済に140億ドルをもたらす」…集会出席の意向
2025年5月24日(土)6時17分 読売新聞
23日、大統領専用機「エアフォース・ワン」に搭乗するトランプ米大統領=AP
【ニューヨーク=小林泰裕】日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画を巡り、トランプ米大統領は23日、自身のSNSで、日鉄によるUSスチールの買収計画を支持する方針を表明した。日鉄の買収によって米国の安全保障に懸念は生じないと判断したとみられる。
トランプ氏は「これはUSスチールと日鉄の計画的なパートナーシップであり、少なくとも7万人の雇用を創出し、米国経済に140億ドル(約2兆円)をもたらす」と投稿した。この投資の大部分は今後14か月以内に行われるといい、ペンシルベニア州の歴史の中で最大の投資になると強調した。
トランプ氏は「長年にわたり、『USスチール』の名は偉大さの代名詞だったが、今、再び偉大さの代名詞となる時が来た」とも投稿した。今後もUSスチールの本社はペンシルベニア州ピッツバーグにとどまるという。
英紙フィナンシャル・タイムズによれば、トランプ氏の投稿は、日鉄によるUSスチールの買収計画を「暗黙的に承認」したものとみなされる可能性が高いという。投稿を受け、投資家の間では買収が実現するとの見方が広がり、23日の米株式市場でUSスチールの株価は21%上昇した。
日鉄の買収を巡っては、対米外国投資委員会(CFIUS)が、米国の安全保障にリスクを及ぼす可能性があるかどうかを審査してきた。報道によれば、CFIUSは21日に審査を終え、トランプ氏に勧告書を提出した。トランプ氏が買収を認めるかどうかに注目が集まっていた。
日鉄は2023年12月にUSスチールを141億ドルで買収すると発表したが、25年1月にバイデン前大統領が安全保障上の懸念を理由に禁止命令を出した。トランプ氏は4月、CFIUSに買収の再審査を指示した。
トランプ氏は今月30日にピッツバーグで開催されるUSスチールの集会に出席する意向も表明した。